【高齢者の虐待】「グレーゾーンは不適切ケア?」その原因と改善策をわかりやすく解説します

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今回は、高齢者の虐待(グレーな部分含む)について考察していきます。

介護現場は介護職員と利用者が直接的に関わる場になります。
人間と人間との距離が近く関わる頻度も多く時間も長いので、他の職業や職種には無い「特殊な環境が存在する」というのは、まず間違いありません。

その上での現状と制度上の矛盾や問題点についても言及していきたいと思います。

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◆虐待の分類・種類は?

高齢者の虐待とは、高齢者の基本的人権を侵害・蹂躙し、心や身体に深い傷を負わせるようなものの事である。分類として大きく分けて以下の5つがあります。

【虐待の分類】
①身体的虐待
殴る、蹴る、つねるなどで、裂傷や打撲などの跡を残すことがある。本人の意に反し手足を縛る身体的拘束もある。
②性的虐待
性的な暴力(高齢者夫婦間でのドメスティックバイオレンス-DVも含む)。
③心理的虐待
脅迫や侮辱などの言葉による暴力、恫喝、侮蔑。
④ネグレクト(介護や世話の放棄)
生活に必要な介護の拒否、意図的な怠慢、必要な医療や食事、衣類や暖房の提供をしない、病気の放置など、生活上の不合理な制限、戸外への締め出し。
⑤経済的虐待
年金・預貯金・財産を横取りされたり、不正に使用されたり、売却されること。

上記の虐待内容を見ると誰がどう考えても『虐待』でありイケナイ行為である事は明白です。

しかし、施設介護ではこの虐待のグレーな部分(グレーゾーン)が横行しているのが現状なのです。
「グレーゾーン」とはどういったものなのでしょうか。

◆介護施設に横行する虐待のグレーな部分とは?

グレーな部分とは、例えば以下に挙げるものになります。

・同じ事を何回も(朝から晩まで)言う利用者を一時的に無視する。
(理由)他の仕事があり朝から晩まで付き合っていられない為。等
→ネグレクト(介護や世話の放棄)に該当します。

・食事を食べたがらない利用者や水分を欲しがらない利用者に介助して無理やり食べさせる(飲ませる)。
(理由)健康管理、栄養管理の為。等
→身体的虐待及び心理的虐待に該当します。

・お風呂に入りたがらない利用者を車イスに乗せてお風呂まで誘導し入浴させる。
(理由)身体の清潔保持の為。入浴日が決まっている為。等
→身体的虐待及び心理的虐待に該当します。

・薬を飲みたがらない利用者にバレないように食事に薬を混ぜて服薬させる。
(理由)服薬管理、健康管理の為。等
→身体的虐待に該当します。

・居室内で危険行為や転倒をするおそれがあるので居室扉を開けておき見守れるようにする。
(理由)利用者の安全確保の為。等
→心理的虐待に該当します。

・利用者にタメ語で喋る。「ちゃん」付けで呼ぶ。
(理由)親しみを込めて。親近感が湧く為。等
→心理的虐待に該当します。

上記はグレーゾーンであり、施設介護では普通に行われている事ですが、厳密に言えば全て虐待に当たります。

グレーゾーンの虐待が横行してしまっている原因や背景はどのようなものがあるのでしょうか。

◆虐待グレーゾーンの原因と背景は?

グレーゾーンの原因や背景としては、以下のことが考えられます。

・職員の知識、認識不足
・グレーゾーンを容認する職場の雰囲気
・会社の教育体制が不十分

→グレーゾーンのケアが虐待に繋がる(又は既に虐待である)という認識を持てない。
良かれと思ってやっている場合もあります。

・業務優先の職場体制
→業務を時間通りに行うことが求められるため、利用者の希望は後回しにされる。

・現場の声が届きにくい組織体制
→介護者が抱えてる問題や利用者の不満を把握できない(しようとしない)ため、改善がされない。

・人員不足
→介護者ひとりあたりの負担が大きく、疲労やストレスによって心の余裕が無い。
グレーゾーン(又は虐待)だとわかっていても、そうせざるを得ない状況や環境しか与えられていません。

・関係法令の矛盾や強迫観念
→例えば高齢者虐待防止法では高齢者の基本的人権を侵害しないように書いてありますが、老人福祉法に基づく運営基準では「一週間に二回以上、適切な方法により入浴(又は清拭)しなければならない」という規定が書いてあったりします。

明らかに矛盾した対応を求められているのが現場職員になります。

利用者が「入浴したくない」と言った場合、
・利用者の人権や意思や希望
・一週間に2回以上入浴させなければならないという運営基準

どちらを優先させるべきでしょうか?

最終的には会社や現場での判断に委ねられるのですが、一方では「無理やり入浴させるのは虐待だー!」と言われ、一方では「一週間に二回以上入浴させなければ減算だー!」と言われる矛盾の中で強迫観念に駆られ苦渋の選択がグレーゾーンになってしまっているのではないでしょうか。

そんな未熟で不完全な環境の中で生活している利用者と働いている介護職員は一体どうすればいいのでしょうか。

◆どうすれば虐待のグレーな部分を解消できるのか?

介護職員個々の資質の向上も大切な事ですが、職場単位・事業所単位・行政・国単位で環境や関係法令の整備をもっともっと進めていく事の方が大切だと思います。

当然、現在でも職場・事業所・行政・国単位で整備を進められているとは思いますが、
「全くもって足りていない」
というのが私の認識です。

要は
「現場職員に責任を押し付け資質の向上を求め続けてもグレーゾーンはなくなることがないので、国や業界単位で早く利用者と職員を助けて下さい」
という結論になります。

語弊があるのを覚悟で声を大にして言います。
介護職員が幸せになれば利用者も幸せになります。
利用者の幸せの追求と同じくらい介護職員の幸せを追求して下さい。

そうすれば必ずこの業界は激変、改善し必然的に介護職員の資質も向上しグレーゾーンを含めた虐待事例も大幅に改善され相乗効果で利用者も幸せになっていくWin-Win(ウィン ウィン)の関係が構築出来ると信じてやみません。

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「介護職員の幸せって具体的に何よ?」
「どうせお金(給料)だろ?」

という声も聞こえてきそうですがもちろん、給料面の改善も必要かと思います。

他には
・社会的地位の向上
・職場環境や人間関係の改善
・資質の向上の名のもとに研修等で搾取している高額受講費の改善

などが必要かと思います。

給料面の改善と言えば、「介護職員処遇改善加算」という加算手当が手厚くなってきています。

テレビや新聞、雑誌等のメディアでそのタイトルばかりが報道されるので、利用者や知り合いから
「給料が上がって良かったね」
「これでもっともっと頑張れるね」

などと言われることがありますが
「給料は上がっていません」

あの加算にはカラクリがあって
支給額や支給者、また、支給時期は事業所が決められるのです。
例えば
・毎月支給
・ボーナスとして支給
・不定期に支給

といったように自由に決められます。

でも結局はいつかのタイミングで貰えるんだし良いじゃないかって?
実は事業所は個人別に支給額を決められるので、
・身内の介護職員
・気に入っている介護職員

などに全額支給して
「他の介護職員には支給なし」
といった事が可能なのです。

だから同じ介護職員でも貰えない人(支給0)が発生するのです。

これはお国がそう決めているので事業所も堂々とそれをします。

だから世間の人は介護職員の給料が全て上がったと勘違いしている人がいて、イチイチ上記の事を説明するのも面倒くさいのでしませんが
「貰っていないのに貰っていると思われるのは甚だ迷惑な話です」

こういう、人をバカにしたようなシステムや支給方法が
「益々、介護職員を惨めなものにし、改善どころか窮地に陥れていると言っても過言ではない」
と言えます。

「グレーゾーンは不適切ケアだからダメ!」
と頭ごなしに言う前に、そういった根本的なことから改善していく必要があるのではないでしょうか。