過剰なサービスを提供することによって『好かれる介護士』になる危険性

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『介護士の性格・雰囲気が良い』
『サービスの質が良い』
という理由で利用者に好かれるのは
とても嬉しいことです。

でも、中には危険性を孕んだ『好かれる介護士』が居ます。

その危険な介護士とは
・利用者の希望・訴えを良くも悪くも全て叶える召使いタイプ
・個人的に仲良くなり感情をも飲み込まれてしまう公私混同タイプ

上記の場合は利用者に
「アンタは何でもしてくれるし助かるわ」
「アンタにしか頼めないことがある」
などと言われ
一見可愛がられ重宝されている素晴らしい介護士に見えますが、
大変危険な存在です。

何故なら、介護はチームケアで行います。

単独ケアや召使い介護はアナタのスタンドプレーであり、
統一した介護が出来ていない証拠です。

もっと言うならば、そうした介護の事を申し送ったり
記録にちゃんとあげていますか?

そのケアが良いことならばチーム全体で情報を共有し、
皆で統一したケアができるようにすべきです。

そのケアに問題があればチーム内で可否の検討をし
答えを出してから行うべきことを怠っていませんか?

そうしていないならば、
それは間違った好かれ方です。

次に
自立支援の原則に反し利用者の残存能力・機能を奪っていませんか?
ということです。

介護サービスは自立を支援し残存能力を活かす為のサービスであり
何でもかんでもやってあげるサービスではないのです。

相手がアナタのおじいちゃんやおばあちゃんで
家庭での介護ならそれもありかと思います。

唯一無二の肉親であり、
一生付き合っていく存在だからです。

しかし介護士は介護保険サービスの枠内で
質の高い自立支援を目的としたケアワーカーです。

利用者の自立のために
『出来ることは自分でやってもらう』
『過剰な介護はしない』
そういうスタンスでいることが
ひいては利用者に対する最上の敬意ではないでしょうか。

もちろん、年配で高齢のこの日本を支えてきて下さった利用者に
厳しく接しルールに縛られた肩身の狭い生活をしろという事では無く、
歳を取っても
・自分らしく
・目的を持って
・楽しく
・心穏やかに
生活をして頂くことが一番大切です。

そのためのチームケアであり、
介護士一人の判断や行動、行為には
アナタの主観が入ってしまっているので
常に介護サービスの方針や方向性、
ルールや規範、コンプライアンスを意識して
本当のプロとしての介護士でありましょう。

対人援助にかかわる援助者の行動規範として有名なものに
バイスティックの7原則」と呼ばれる定義がありますので
下記に引用しておきます。

「バイスティックの7原則」

ここでは対象者をクライエント、援助者をワーカーと記載しています。
1. 個別化の原則
クライエントの抱える困難や問題は、どれだけ似たようなものであっても、人それぞれの問題であり「同じ問題は存在しない」とする考え方。この原則において、クライエントのラベリング(人格や環境の決めつけ)やカテゴライズ(同様の問題をまとめて分類してしまい、同様の解決手法を執ろうとする事)は厳禁となる。

2. 意図的な感情表現の原則
クライエントの感情表現の自由を認める考え方。特に抑圧されやすい否定的な感情や独善的な感情などを表出させることでクライエント自身の心の 枷を取り払い、逆にクライエント自身が自らを取り巻く外的・内心的状況を俯瞰しやすくする事が目的。またワーカーもクライエントに対しそれが出来るように、自らの感情表現を工夫する必要がある。

3. 統制された情緒関与の原則
ワーカー自身がクライエント自身の感情に呑み込まれないようにする考え方。クライエントを正確にかつ問題無くケース解決に導くため「ワーカー自身がクライエントの心を理解し、自らの感情を統制して接していく事」を要求する考え方。

4. 受容の原則
クライエントの考えは、そのクライエントの人生経験や必死の思考から来るものであり、クライエント自身の『個性』であるため「決して頭から否定せず、どうしてそういう考え方になるかを理解する」という考え方。この原則によってワーカーによるクライエントへの直接的命令や行動感情の否定が禁じられる。

5. 非審判的態度の原則
クライエントの行動や思考に対して「ワーカーは善悪を判じない」とする考え方。あくまでもワーカーは補佐であり、現実にはクライエント自身が自らのケースを解決せねばならないため、その善悪の判断もクライエント自身が行うのが理想とされる。また人間は基本的に当初において自らを否定するものは信用しないため受容の観点からも、これが要求される。

6. 自己決定の原則
「あくまでも自らの行動を決定するのはクライエント自身である」とする考え方。問題に対する解決の主体はクライエントであり、この事によってクライエントの成長と今後起こりうる同様のケースにおけるクライエント一人での解決を目指す。この原則によって、ワーカーによるクライエントへの命令的指示が否定される。

7. 秘密保持の原則
クライエントの個人的情報・プライバシーは絶対に他方にもらしてはならないとする考え方。いわゆる「個人情報保護」の原則。他方に漏れた情報が使われ方によってクライエントに害を成す可能性があるため。

引用元:F.Pバイスティック著 尾崎 新・福田俊子・原田和幸訳「ケースワークの原則」誠信書房
ウィキペディア「ケースワーク」の項