『ロングショート』という謎のショートステイ利用法

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ショートステイとは短期入所生活介護を提供しているサービス事業所のことで、名前の通り『短期間』利用する前提の居宅介護サービスです。

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◆ショートステイの存在意義とロングステイ

ショートステイの本来の存在意義は、
・家族のレスパイト(休息・息抜き)
・家族が冠婚葬祭や旅行に行きたい時
・家族が体調を崩してしまった時
・本人(利用者)に外出・外泊の機会を作り他者との交流を持ちたい時

などに利用するサービスです。

しかしもう一つ謎の目的があって
『特養の入所待ち・順番待ちでの利用』
がそれに当たります。

何が謎で問題かというと、
特養の順番待ちでショートに入所してきた利用者は
特養に入所するまでショートを利用するので
ロング(長期間)で滞在する事が殆どなのです。

この状態、利用方法は通称
『ロングショートステイ』
と呼ばれていますが、
名前からして摩訶不思議です。

『ロング・ショート=長期・短期』
という正反対の名称がくっついており、
短期入所を目的としたショートステイの
本来の利用目的から逸脱しています。

◆特養への入所はなかなか決まらない

早々に特養の入所が決まり
ショートステイをすぐに退所になることもありますが、滅多にそれはありません。

30日を超えて利用する場合は
一旦退所して自宅へ帰り
また翌日からショートを利用するという
抜け道の手口を使い、
『本来のショートステイの利用方法は逸脱していないですよ』
という表面上の体裁を繕う場合も往々にしてあります。

早々に特養入所が決まるのは
本当にごく稀なので
大多数のそういう利用者は
ロングショートステイを利用する事になります。

『30日』という期間には意味があって

連続して30日を超えて同一の指定短期入所生活介護事業所に入所(指定居宅サービス基準に揚げる設備及び備品を利用した指定短期入所生活介護以外のサービスによるものを含む。)している場合であって、指定短期入所生活介護を受けている利用者に対して、指定短期入所生活介護を行った場合、所定単位数から30単位の減算を行う。

と規定されているために
30日を超えて利用した場合は
・事業所側は1日当たり※30単位(ひと月約900単位)減算される
・利用者は31日目は介護保険が使えず実費となる

ということになります。

※1単位の金額は地域によって差がありますが、
概ね10円だと思って下さい。

こういう規定があると
ショートステイをロングで利用するということを
やりにくくなるはずですが、
事業所は、ひと月約9000円
利用者も1日分だけ約1万円

でロングショートステイやり放題なのです。

たかだか1万円前後では
全く抑止力にもなりませんし、
ゆくゆく特養に入所することを思えば
多少コストが掛かったり減算をされたとしても、
一旦自宅に帰り家族が介護したり
他の事業所のショートを掛け持ちしたりする煩雑さを考えれば
『ロングショートの方がお得』
という摩訶不思議で邪道なフリーパス状態となっているのが現状です。

現在の国や行政の方針は
『施設から在宅へ』
『在宅介護の推進』

であるはずなのに
ショートステイを施設へ送り込むためのスケープゴートにしていると言っても過言ではありません。

◆不毛な介護方針になる

一番気の毒なのは在宅と特養の中間地点に置かれたショートスタッフたちです。

本来、在宅介護を支えるために支援するはずのショートスタッフは既に特養入所待ちで在宅復帰を目的としない利用者を介護するのです。

利用者がショートの生活に馴染み慣れてきた頃に特養に入所してしまうので、
『利用者の為の介護』なのか『特養の為の介護』なのか甚だ疑問です。

事業所側には多少減算されても
『稼働率を維持できる』という
倫理的・道義的に反するメリット
があります。

しかし、それが現在の介護保険の理念や方針に逸脱し存在意義を否定しているであろうことは明白です。

経営者や管理者の責任を問うていくべきだと思いますし、
それ以前に国や行政として、
現在もロングショートステイを野放し状態にしている事は自らの政策を自らで否定するという摩訶不思議な状態を作り出していることに早く気づいて下さい。

釈明や講釈や屁理屈や言い訳は不要です。
早急に適切な対応を求めます。