「介護ミスで母親が死亡」遺族が特養老人ホーム提訴へ

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認知症で座位保持が困難な利用者に対して
食事介助を行った際に起きた誤嚥事故を遺族が提訴した
という内容の記事がニュースになっています。

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◆ニュース概要

埼玉県ふじみ野市の特別養護老人ホームに入所していた高齢女性が介護ミスで死亡した、などとして、遺族が近く、施設の運営法人に約4千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こす。遺族は「同様の事故を減らすため、裁判で原因や背景を明らかにしたい」としている。
 亡くなったのは中野小夜子さん(当時86)。認知症を患い、2015年1月から特養「上野台の里」に入所。事故時は要介護度4で、座った状態を保つのも困難だった。原告となる中野さんの息子2人や代理人弁護士によると、事故は15年9月7日の夕飯時に起きた。中野さんは、食事を飲み込んだ後に吐き出す動作をくり返し、病院に救急搬送されたが、10月23日に死亡した。死因は食物が肺に入った場合に起きる「誤嚥(ごえん)性肺炎」と診断された。
 施設側が県に出した事故報告書では、食事介助の際に上半身を起こすベッドの角度を過度に垂直に近づけたことや、食事を早く食べさせ過ぎたことを認めている。遺族によると、謝罪され和解金の提示も受けたというが、「入院中の見舞いにも葬儀にも来ず、誠意を感じなかった。命を扱う事業者として責任感を持ってほしい」と提訴を決めたという。
 施設長は朝日新聞の取材に、「個人としても法人としても、取材は受けない」と回答。同市は取材に対し、救急搬送の直後に施設から報告があったことを認めたが「詳細な報告内容は言えない」としている。
引用元:朝日デジタル 2017年7月6日14時54分
http://www.asahi.com/articles/ASK734QFWK73UTIL01V.html

介助の方法やスピードに過失があったことは否めませんが、
介護士はプロなので『完璧な介護をして当然』という危険な考え方
の記事でも述べたように
人間が人間を介護している以上、
どうしても間違いやミスは出てきますし
ヒューマンエラーは起こり得るリスクです。

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◆肝は「事業所の誠意」

誤嚥は健康体な我々でも起こり得るリスクもありますし、
嚥下機能障害がある人は尚更で、
介助をしたり食事を摂取しなくても
自分の唾液で誤嚥してしまうリスクも十分にあります。

今後はコンピューターや介護ロボットを導入して
『完璧な介護を』なんて考え方も時期尚早で、
誤作動とかメンテナンスミスという新たなリスクを生む可能性があります。
そういったヒューマンエラーやリスクを
未然に防いだり最小限に抑えるために
リスクマネジメントが有効とされていますが、
そんなことはもうわかりきったことなので、
ここではこれ以上、深追いはしません。
このニュースの肝は
「入院中の見舞いにも葬儀にも来ず、誠意を感じなかった。命を扱う事業者として責任感を持ってほしい」
この部分ではないでしょうか。
家族だって高齢の親を施設に預けている以上、
100%安心・安全だとは思っていないでしょう。
そう思っている人がいたとすれば
不老不死を信じている人くらいだと思います。
問題は、
事故が起こったあとの施設側の対応が不誠実だった
ということに起因して提訴に至ったという経緯です。
介護施設の現場職員はともかく、
上の人間、施設長クラスの人間は配慮に欠けたり不誠実な初動をすることが多いです。
忙しさにかまけて
ということもあるでしょうが、
今回のニュースだけでなく
入院した利用者に面会に行ったりお見舞いに行くことなんて
まずあり得ませんよね。
『奉仕』だの『利用者の幸せの追求』だの言うくせに
その辺はビジネスとして割り切っている姿は
矛盾していて滑稽な姿です。
利用者やその家族が
土地・地元の名士だったり親類だったりすれば
いそいそとお見舞いに出向く姿は
その腹黒さに嫌悪感さえ抱きます。
そういった、
現場の職員ならばいち早く気づいていた
介護業界や介護施設のダークな部分に家族も気づきはじめた結果ではないでしょうか。
事業所の方針や常識や考え方は
世間には通用しなかった
という事を証明する一例といえます。
今後の介護業界は、家族や遺族だけでなく、
従業員もパワハラ被害や違法な運営や
隠蔽体質な運営の会社をどんどん提訴して
賠償金や和解金を貰うことが主流になる時代も
近いのかもしれません。


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コメント

  1. 上山崎 静子 より:

    私は上野台の里で数ヶ月働かせて頂きました。施設長はお爺さんお婆さんが大好きという基本的な大切なベースを持っておられるような方で、入居者様の事も全てハークしていました。人手不足の時は率先して夜勤もこなし、パット交換の際も『私はグローブなしでも平気なんだけど、ホントはグローブしてね』と優しくて頼もしい介護を見せて下さいました。後輩の指導も熱心な施設です。あの施設長のお人柄的に態度が悪かったなんて思えません。他の職員も、それぞれのプライドを持ち、介護士同士の仲違いはあるが、入居者様には、愛情を持って接していました。悪い施設ではありません。

  2. 山嵐 より:

    >上山崎 静子さん
    こんばんは。コメントありがとうございます。
    人の感じ方や受け取り方も様々で、誰でも選択を間違う事があり得ます。
    「素晴らしい人」と感じる人もいれば、そう思わないと感じる人もいることでしょう。
    このニュースの場合、家族はこの施設長を「素晴らしい」と思わなかったから提訴に至ったというのは事実のようです。
    今回の事故についても、一方の偏った側面だけではなく、多角的に真実が明らかにされる事を願っております。
    最後にひとつ気になった事があるので書いておきます。
    パット交換の時にグローブをするのは基本の「き」です。
    排泄物が汚いからとか触りたくないからグローブをしていると思われがちですが、次の利用者の介助や食事の盛り付けをするのに、いくら手洗いをしても不衛生ですし、感染症対策の観点でも1介助1グローブが推奨されています。
    グローブは自分を守るためだけでなく、利用者を守るためにも必ず使用するべきです。間違ったお手本のマネをしたり憧れを持つ介護職員が出てこないことを祈っております。

  3. 俗物 より:

    こんにちは。このような記事を見ると、医療従事者や施設で働く方々は、
    「お~こわ。そのうち誰も引き受け手がなくなり、現場が崩壊するよ。患者や利用者は自分で自分の首を絞めるような真似をしている」
    と感じるでしょう。
    ブログ主さんのおっしゃる、施設側の不誠実さが訴訟の引き金になった、という可能性もありますね。ま、あくまで可能性ですが。
    それにしても95歳、介護4のお年寄りの賠償金4千万ってどういう計算なのか・・・
    は、置いといて。
    私はこの手の記事でいつも感じるのは、作り手(マスコミ)側が、あえて双方の立場の人間をあおり、苛立たせ、敵意を抱くような記事作りをしているなということです。
    「謝罪や示談金を提示された」にもかかわらず、
    「入院中の見舞いにも葬儀にも来ず、誠意を感じなかった。命を扱う事業者として責任感を持ってほしい」
    て文章。
    これって、介護側からすれば「なんじゃそりゃ、示談金が物足りなかったか(w)」って内容ですし、介護を受ける側からすれば、「サービス業に携わる人間として最低ラインすら守っていないじゃないか!」と受け取られますよね。
    実際にブログ主さんのおっしゃるような不誠実があったのか、具体的にどこが気に入らなかったか。一言では書けないとは思いますが、なら、言葉の端っこを切り取って記事にせず、割愛してほしいものです。
    実際には施設側の、現実離れした介護(医療)レベルをうたった広告や説明にも問題があると思いますし、それを施設に期待する入居者も勉強不足といわざるを得ません。
    と、おもいました。
    乱文失礼しました。

  4. 山嵐 より:

    >俗物さん
    はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます^^
    マスコミも含め、問題は山積みだと思っています。
    裁判においては『争点』がどこにあるかが大変重要になります。
    ①お金(示談金)が欲しいのか
    ②誠意の無さなのか
    ③その両方か
    という点を明らかにした上で、その証拠を示したり証明をしていきます。
    マスコミの記事がどこまで発信してどこまで割愛しているかはわかりませんが、事実だけを発信して欲しいのは確かです。
    日本が法治国家である以上、和解が成立しない場合は裁判となり法律が裁くシステムです。誇大広告が悪いのか、錯誤に瑕疵があるのかなども含め、介護業界自体がまだ歴史が浅いので今後の判例に注目していきたいと思います。
    私こそ乱文失礼致しました。夜勤明けなもので(笑)

  5. めど立てたい人 より:

    でも、割と完璧さを要求する家族って多いですよね…詳細は別記事で触れられていますが、うるさい家族は割とその気がね。
    ヒューマンエラーなど知らんという前に、あなたの目の前でやった介護職員の業務はじt つh 
    あれ?どうやら打てないようだ。
    まぁ、興味のないことや、疑問に感じないことを調べる殊勝な人間なんて極わずかにいるかどうか?ですからね。
    邪推ですが、職場ではなく、現場を擁護するなら件の食事介助時刻には看護師がいない時間だったのかもしれません。この意味分かりますよね?
    原告の意図が誠実さがほしいなら、いくらでもくれてやればいいけど、真実を知りたいなんて言い出したら、介護業界のタブーにふれますからね。金なら金で訴訟ビジネスとして上々。

  6. 山嵐 より:

    >めど立てたい人さん
    完璧を求める家族は結構いますね。
    あくまで老健等のように医学的管理を提供する施設を除く介護施設は自宅での介護の延長線上にあるので、家庭で出来る範囲のケアを家族に成り代わった職員が提供しているということをもっと広く知ってもらいたいと思いますね。