建前だけの『腰痛予防検診』は無意味なのに強制させられる理由

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介護職員の職業病のひとつとして
『腰痛』があります。

腰痛にならないように予防したり
対策をされているでしょうが、
既に腰痛になってしまっている人も
少なくないかと思います。

それだけ介護現場は身体(特に腰)に
負担が掛かる仕事です。

以前の記事で書きましたが、
正しい介護技術があれば腰痛にならないという間違った認識
をされている人はいないでしょうが、
腰痛リスクを軽減させることは出来ても
全くノーリスクにすることは不可能なのです。

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◆そんな現状だからこそ『腰痛予防検診』を受診しようという政策

定期の健康診断とは別に
腰痛予防に特化した『腰痛予防検診』
というものが年2回あります。
2013(平成25)年6月に
「職場における腰痛予防対策指針」が改訂されました。

近年、高齢者介護などの社会福祉施設における腰痛発生件数が大幅に増加していることを受け、このたび厚生労働省が「職場における腰痛予防対策指針」を改訂しました。
改定内容としては、適用対象を、従来の「重量物を取り扱う事業場」などから、福祉・医療分野等における介護・看護作業全般に広げるとともに、腰に負担の少ない介護介助法などを加えています。
改訂の詳しい内容は、下記厚生労働省のホームページをご覧ください。

厚生労働省「職場における腰痛予防の取組を!~19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」を改訂~

約4年ほど前に発表された指針ですが、
ちょうど同じ頃から私の職場でも
『腰痛予防検診』を取り入れ
受診を推奨されるようになりました。

純真無垢な我々は、最初は
『従業員のことを考えてくれているんだな』
と思い会社に言われるがままに
受診をしました。

◆結論からいうと無意味で時間の無駄

大まかな受診の流れと内容は、
①事前に問診票の記入
②受付
③握力測定
④診察

になります。

何も自覚症状が無い人は、
スムーズにいけば5分程度で終了です。

自覚症状があったり、
この検診で自分の腰痛を何とかしたい
という思いがある人は、
診察の際に色々訴えるのですが、
医師が肩や背中や腰を押さえ

医師:「どうですか?痛いですか?」
腰痛の人:「痛いです」
医師:「そうですか。病院は受診されていますか?」
腰痛の人:「はい。整形外科や整骨院に行っています」
医師:「腰痛を予防したり改善するのに腰痛ストレッチが有効なので、これを見ておいて下さい」
腰痛の人:「はあ…」
医師:「はい、終了です。次の人~」

と言ってパンフレットを渡されて終了なのです。


そして、毎回同じ対応の繰り返しが年2回も行われています。

これは、はっきり言って
無意味だし時間の無駄です。

受診した人たちが
「どうだった?どんな感じだった?」
と他の人の感想を聞いたり言ったりしています。

「私は腕の付け根から胸にかけて押さえられた」
「胸?私は首と背中」
「私は簡易ベッドに横にさせられて足を上げたり下げたりさせられた」
「ベッドで腰から臀部にかけて指で押された」
「私はベッドに横にもなっていない」

と症状によって診察内容も違っていたようですが、
最終的にパンフレットを渡されて終了
は皆が同じだったようです。

そして皆が口を揃えて言うのは
『これって意味ないよね?』
『うん、時間の無駄』

という内容です。

そして半年に1回ある腰痛予防検診を受診する職員は
年々減っていくのでした。

◆『無意味な検診を推奨』が『無意味な検診を強制』に

受診した人ならわかるだろうが、
本当に無意味なのです。

厚生省や事業所が
『従業員を守るため』
という建前で受診者の気持ちや思いを無視して
グイグイ推し進めてくるが、
そういうのって本当迷惑なのです。

『予防』だから
まだ腰痛になっていない人への
注意喚起の目的もあるのでしょうが、
パンフレットを渡されて終わりだったら
利用者をほっぽり出して受診する価値はないです。

あとでパンフレットだけ下さい。

というか、年に2回も同じパンフレットはいりません。

無意味さを感じた職員たちが
どんどん受診しなくなったので、
『腰痛予防検診』は閑古鳥が鳴く状態になりました。

その状況に業を煮やした会社は、
とうとう今回、強制策に打って出ました。

(当初)可能なら受診→出来れば受診→出来るだけ受診→絶対受診(今ここ)

という具合に指示・命令が変化してきました。

もちろん、文字に残る部分では『強制』とは書いてありませんが、
口頭で『会社で受診しない人は病院まで行って受診してこい』
という内部通達が出ています。

さすがに無意味な検診に更に時間を割いて
休日に病院まで行って受診するというリスク
は我々介護職員としては避けたいところです。

それなら勤務中に職場で済ませてしまおうと
考えるのが人間の心理なので、
必然的に職場での受診者は増えることでしょう。

◆国の政策だから『建前でもやらざるを得ない』状況が職員のストレスを招く

『職場で勤務時間中に受診する』のか
『公休で病院まで行って受診する』のか

またしても我々は首筋に刃を突き付けられて
無言の圧力とストレスを感じています。

事業所としても、厚生労働省の通達で
強引にでも実施しなければならない状況にあるのかもしれませんが、
厚労省は統計を取って公表して下さい。

腰痛予防検診を実施することで、
介護職員の腰痛は減っていますか?

減っていないのだとしたら、
内容や方向性を改める必要があるのではないでしょうか。

そして、もっと現場職員の声を拾い上げて下さい。

組織では『トップダウン、ボトムアップ』が推奨されますが、
いつも一方通行で押さえつけたり従わせることばかりになっていませんか?

ストレスチェックを受けさせられるストレス
の記事にも書きましたが、
もっと根本的に物事を突き詰めて考えることが
大切なのではないでしょうか。