人材確保の為の就業支援事業が迷走している真実を暴露

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今日は日勤での勤務だった。
朝礼終了後に介護課長と相談員課長が私の所へ来て
「今日、就業支援事業の関係で、研修生が来るんだけどショートで指導してあげてくれる?」
と言われ
「はい、わかりました」
と答えた。
「二人来るんだけどどっちがいい?」
と聞かれ
「じゃ、若い方で」
と答えたのだが、
「OK、若い方は70歳ね」
と言われ恐れおののいた。

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◆人材確保の為にシルバー人材を起用するという選択肢

詳しく聞くと、
『シルバー人材センターの介護就業支援事業』
というもので、
・働きたいシルバー人材
・人材不足の介護施設

をマッチングさせる支援事業だった。
ご高齢でも働きたいと思っている人を
けなしたりバカにしているわけではないが、
70歳を過ぎてから初めて介護業務をしてもらうって
どういう感じなのか全く未知の世界だった。
もちろん、うちの施設でも70歳前後の職員がいるが、
それは若い時から介護職として働いてきた礎があるから
現在も続けられているのではないかと思う。
【参考記事】
老老介護は施設にも及んでいる
(2017年05月30日)
特に施設介護となると、
重度の認知症や全介助の利用者が多いので、
肉体的疲労はとても大きい。
在宅での老老介護も社会問題となっている昨今に、
迷走をしている国や行政や事業所は
施設にも老老介護を持ち込もうとしているのだろうか。
【参考記事】
75歳以上「老老介護」初の3割超え…同居世帯
(2017年06月28日)
施設での老老介護の推進が
『あり』なのか『なし』なのかは、
そのシルバー人材の資質次第だと思うので
年齢だけで判断できないだろうし、
強く否定はしないが
私の直観は『迷走』という印象を受けた。
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◆実際に研修の指導をした感想

研修生なので当然
重要だったりリスクのある業務はしてもらえないので
今回は
・シーツ交換
・居室の掃除
・入浴介助の見学
・レク・体操の参加
・利用者とコミュニケーション、傾聴

に絞って指導することにした。
『シーツ交換』は座学や実技で習っていない
とのことだったので、
教えながら一緒に交換した。
『居室の掃除』に関しては、
掃除は誰でも出来るので
介護施設としての注意点として
・ベッドの位置・高さを元の位置に戻す
・物を元の場所に戻す

ということを伝えた。
ベッドのリモコンの操作方法も最初に教えたが、
終わってみるとベッドが高いままだった。
どうやら、老眼でどのボタンが上がるのか下がるのかわからなかったようだ。
まぁ、それは慣れれば文字が見えなくても出来るかと思う。
『入浴介助の見学』は
座位式リフト浴の介助を見学してもらった。
見学後
「いや~人を抱えたり、洗ってあげたり大変ですねぇ」
という感想を言われていた。
『レク・体操の参加』は
利用者と一緒になって参加されていた。
まぁそれはそれでいいと思う。
『利用者とコミュニケーション、傾聴』は
以下の注意点を伝えた。
・まずは自己紹介。そして利用者の名前を覚える
・皆、平等に話しかける
・思想、信条、政治、宗教、立ち入った個人情報・プライバシーの話題は避ける
・声の大きさ、スピード、角度に配慮を行う

これはなかなか手こずっていたようだ。
話しかける声が小さくて利用者に聞こえていなかったり
認知症で意思疎通が出来ない利用者は早々に切り上げ
会話が成立する利用者に時間を掛けていた。
まぁ人間の心理としてわからなくもない。
最後の方はコミュニケーションをせずに
椅子に座ってテレビを観ていたので、
70歳の研修生に声掛けして
「どうですか?名前は覚えられましたか?」
と聞くと
「え?あぁ、なかなかねぇ…」
という返答。
「では覚えた利用者の名前を教えて下さい」
と聞くと
「まだあんまり覚えられていません」
とのこと。
「大っぴらにメモを取るのは見た目が良くないけれど、こそこそっとメモを取ってもいいですよ」
と言ってみたのだが、メモは取らなかった。
というかメモも筆記用具も持っていなかった。
貸して下さいとも言われなかった。
『なるほど。やる気はあまり無さそうだ』
という印象を受けた。
どちらかというと
私の方がメモを取っていた。
・指導した時系列
・研修生への指導内容
・指導内容に対する研修生の動き方
・感想

これは癖というか、
自分の中で『必要』と感じたからだ。
『必要』と感じたらやる。
『必要』と感じないからやらない。
時間が来たので課長が来て
「どうだった?やってもらった内容だけ教えて」
と聞いてきたので
取っておいたメモを渡した。
「うっほ。時系列でメモしてくれてたんか。さすが」
「じゃあ、『あり』か『なし』かを教えて?」
と聞かれ
「清掃員としては『あり』。介護職員としては『なし』」
と答えた。

◆まとめ

誰でもなれるのが介護職員だが、
資質の向上や今後、成長する伸びしろを総括すると
『70歳で初めて介護します』
という人材を両手を広げて
「ウェルカム!」
と私は言い切れなかった。
それは他のスタッフを守るためであり、
利用者を守るためでもある。

もちろん、ご高齢でもバリバリ肉体労働が出来たり
様々な能力の高い人もいるだろうが、
そもそもそういう人は介護現場には来ないだろう。
どこかで会社を経営していたり
不労所得や印税等で暮らしているだろう。
そう考えると、
『人材不足だからシルバー人材を』
という考え方、支援事業そのものが
迷走していると思わざるを得ない。


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