介護職の『専門性』とは一体なんなのか?

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多職種連携とか協働とは
分野の異なる専門職が目標を共有してともに働くことです。
『専門職』というからには
各々が専門性を持っているはずです。
【各専門職の専門性】
・介護支援専門員はケアマネジメント
・医療職は医療行為や管理
・機能訓練士は生活リハビリや機能の評価

●リハビリテーションと機能訓練の実施者の違いについて追記
◎リハビリテーションの実施者
○理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士が実施します。
◎機能訓練の実施者
○機能訓練指導員が実施します。機能訓練指導員とは日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者。
→ 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格を有する者であれば機能訓練指導員として「機能訓練」を実施することが可能です。
(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第93条第6項より)

・管理栄養士は栄養管理や療養食の提供などの食事に関すること
・介護職はケアの内容に関わること

になりますが、
『ケア』は専門性と言えるでしょうか。

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◆ケアとは具体的に何?

介助業務は、
・食事介助
・排泄介助
・入浴介助

が『三大介助』と呼ばれています。
そしてその他にも、
・利用者の身の回りの世話
・見守り
・傾聴

など『寄り添う介護』があります。
そして現状では更に進化していて、
・自立支援
・意欲を引き出す
・自分らしさの実現

という高尚なケアが求められています。
私はこの辺りから介護業界がおかしくなってきたのではないかと思っています。
いや、元々からおかしいのですが、
『おかしさに拍車が掛かってきた』
と言えます。

◆自己実現はまずは職員から

経営学や人間心理学を学んだことのない介護業界の上の人たちの目線は、ただひたすらに『利用者』にあります。
その理由は、介護というものが
・公共の福祉
・慈悲や慈愛
・奉仕やボランティア
・利用者の理想郷

と信じ切っているからです。
利用者に目を向けることは当然大切ですが、
それでは『木を見て森を見ず』になってしまいます。
『スタッフがいて利用者がいるから介護業界は成り立っている』
ということを認識できなければ、
介護業界の未来は危ぶまれます。
スタッフの『自己実現』を確立し
その余力を以て利用者の『自己実現』を達成すべきです。
今の業界はスタッフの
『自己実現』と『自己犠牲』を履き違え混同しています。
スタッフの『自己犠牲』を以て
利用者の『自己実現』を達成しようとしているのです。
『北風と太陽』という寓話がありますが、
業界が太陽ならばスタッフも自ら良い働きをするでしょう。
しかし、現実では北風でしかないので
逃げ出す人が多くいるのです。
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◆介護職の専門性はあってないようなもの

介護福祉士は国家資格になりますが、
『名称独占』なので、
名乗ることや肩書に書くことは出来ますが、
介護福祉士でないと出来ない業務というものはありません。
要は誰でも出来る仕事なのです。
しかし、そこに専門性を持たせるとすれば、
上に述べたように
『自己実現の提供』
と言えるのでしょうが、
正直とても抽象的で
専門性を無理矢理捻出させた感が否めません。
日本介護福祉士会のホームページに
『介護福祉士の専門性』について
下記の記述がありました。

「介護福祉士の専門性」と言われることはよくありますが、その内容についてはっきり示されたものはありませんでした。 日本介護福祉士会では26年度、研修委員会において都道府県介護福祉士会からのご意見をもとに「介護福祉士の専門性」について明文化できるように検討しました。
senmon.jpg
引用元:公益社団法人 日本介護福祉士会ホームページ
http://www.jaccw.or.jp/fukushishi/senmon.php

『「介護福祉士の専門性」を示したものはなかった』
とはっきり明記してありました。
だからその上で、
『明文化できるよう検討しました』
ということですが、
やはり具体性に欠けるように思います。
大変残念ですが、
介護職の専門性とはあってないようなもの
ということが言えるのではないでしょうか。

◆専門性にこだわらないのが専門性

現状のように『自己実現』という専門性は
抽象的であるが故に評価もされにくい部分です。
日本介護福祉士会が提唱している
①介護過程における根拠に基づいた介護実践
②指導・育成
③環境の整備、多職種連携

も同様かと思います。
専門性が明確でなく評価もされにくいとすれば、
・社会的地位の確立
・処遇や環境の改善

が難しいように感じますが、
よくよく考えてみると介護職は
・医療現場
・リハビリ
・日常の相談事
・看取りやグリーフケア

の多岐に渡って利用者の人生や業務に関わることが出来ます。
これはひとつの専門性と言えるのではないでしょうか。
そして、『業務独占』など無くても
・営業
・販売業
・飲食業
・接客業
・タレント業

などは自分のスキルで地位や名誉や収入を確立できたり
独立開業して夢を追うことが出来ます。
それは、『業界自体がそういう環境を整えている』
ということが介護業界との大きな違いと言えるのではないでしょうか。
現場スタッフ個々の資質の向上や
利用者ばかりに目を向けさせて、
介護福祉士に環境整備を強いる前に
国レベルで制度の改革を行い
業界全体の環境整備が必要なのです。

◆余談

先日9月25日に安倍晋三首相が記者会見を開き、
9月28日開会の臨時国会冒頭に衆院を解散する方針とその理由を説明した中で、
・介護人材を25万人確保
・介護職員の賃上げ

を表明していました。
具体的な施策の明言はありませんでしたが、
貰えているのか貰えていないのかわからない
『介護職員処遇改善加算』だとか
ベトナム人や中国人を連れてくる
『外国人介護技能実習生』だとか
結果や成果が未だ現れていない表面上の施策ではなく、
もっと本質に切り込んだ施策や政策を期待したいと思います。
労働環境については、
・同族経営の事業所に多いパワハラ問題
(人員確保を著しく妨げています)
・人員配置基準のカラクリの廃絶
(職員1人:利用者3人は書類や帳簿上でしか達成できてません)
処遇改善については
・介護職員の手元に確実に加算手当が行き届く政策
(給与明細に載らず帳簿上でごまかしている事業所があります)
・若しくはもっと大胆な財源の確保
(介護保険制度では限界が見えています)
などなど、掘り下げていくべき問題が山積みです。
指定取り消しや業務停止等の行政処分も含め、
罰則や罰金も設定し本来あるべき適切な運営を求めることで
業界も事業所も労働環境も改善します。
当然、我々ももっともっとスキルを高め
自分を磨いていく必要があるでしょう。


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コメント

  1. デイちゃん より:

    介護職の専門性とは、年を取って死んでいくまでの過程を知っていることだと思います。
    私は、「とにかく老化から死までの過程を知らなければ」と思って、介護職をはじめたのですが、施設などで経験をつんで、母親の看取りや父親の介護にも対応することができました。
    また、母親の看取りを一人でしたことで、死んだ後のことも、深く知ることができたのです。
    それがとてもよかったですね。
    人は必ず年をとり死ぬので、老化から死への過程を知っていることはとても重要なことだと思うのです。
    たいていの人は、老化や死から目をそむけて生きています。
    介護職は、少なくとも、老化や死から目をそむけたりしません。むしろいつか来るであろう死にむかって生きていく人をサポートする、とても有意義な仕事だと思っています。
    ヘルプマン!という漫画で、「オムツ交換は介護職の誇り」というセリフがあるんです。
    介護職のしてる仕事は、誰でもできる誰でもしてる仕事かもしれません。
    でも下剤かけられて便の海にお尻がういてるような状態から、数分でほおずりできるくらいに体をきれいにしてあげられる・・・のはすごいことだと思います。
    これからも、介護の仕事をしてきてよかったと、胸をはりたいですね。
    ただ介護職は仕事の対価が少ないので、仕事自体が軽く見られてるような気がします。それが残念ですね。

  2. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    うんうん、そうですね。
    「ヘルプマン!」という漫画は初めて聞いたので、先程ググってみましたが、面白そうな漫画ですね^^
    私も胸を張って介護職をしたいと思います。ありがとうございました。

  3. デイちゃん より:

    えっ!そうなんですか?
    「ヘルプマン!」は結構有名な漫画なんですが、ちょっと内容が極端で。(笑)
    それこそ、介護に熱い人が読んじゃうと、感化されておかしな方向にいっちゃうかも?です。
    でも、結構涙ダラダラ出ますよ。(笑)
    認知症編で、家族の人が主人公に、「どうしておじいちゃんにそこまでしてくれるの?どうして私たち家族よりもおじいちゃんのことがよくわかるの?」と聞くんですが、すると主人公が、「介護は考える杖ですから。俺はヘルプマンですから!!」って言うんです。もう涙ダラダラ!!
    あと介護支援専門員編で、登場するケアマネさんが、「借りれるものは猫の手だって借りる!利用者さんたちを守るためのネットワーク作りが私たちケアマネの使命なんだからね!」って言うのがめちゃくちゃかっこよくて。
    もう涙ダラダラダラ!です。
    でも制度改正で、今はそうじゃないよな~とかもあるので、必ずしも正しい描写ではないところもありますが。
    私はデイ勤務ですが、登場するケアマネさんの「趣味や娯楽、生きがいややりがいとか、生きる喜びにつながることをするのが本当の介護予防なんだけどね」という言葉を胸に、今までレクをし続けてきました。

  4. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    そうなんですね~
    子供の頃はよく漫画を読んでいたんですが、最近めっきり読まなくなったもので存じ上げませんでした。
    セリフ回しが秀逸そうですね^^

  5. メブ より:

    機能訓練とリハビリテーションは違いますよ。専門性を調べた方が良いです

  6. 山嵐 より:

    >メブさん
    こんばんは。コメントありがとうございます。
    介護保険でのリハビリ(機能訓練)と医療保険でのリハビリは当然概念も目的も異なります。
    介護施設では一緒に歩いたり、タオルをたたんでもらったり、レクや体操に参加して貰ったりという『生活リハビリ』になります。
    病院での医療的リハビリテーションのように医師の指示に基づくという前提条件はありません。
    ご指摘の通り、厳密には違います。記事にも追記しておこうと思います。ありがとうございました。

  7. 介護は周辺症状が大変 より:

    管理栄養士も理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も名称独占なので、業務独占ではないので誰がやってもいいんですよね。

  8. 山嵐 より:

    >介護は周辺症状が大変さん
    こんばんは。コメントありがとうございます^^
    名称独占ばかりが勢ぞろいしているわけですが、介護保険サービスの人員配置基準にはその名称の資格者しかサービスを提供できないものが明記されています。そうなってくると介護業界内では業務独占に近い存在になりますね。その辺の不整合が謎です。