介護施設での終末期の看取りケア「自然死か延命か」

Pocket

illust4347.png
介護現場で行われている『看取りケア』について考えていきたいと思います。
私が勤務しているのは特養なので看取りケアがあります。
現在では、多くの介護施設が看取りを実施しています。

スポンサーリンク

◆安楽死と尊厳死の違い

まず、区別をしておきたいのが、
『安楽死』
『尊厳死(自然死)』

の違いです。

【安楽死】
回復の見込みがなく、苦痛の激しい末期の傷病者に対して、本人の意思に基づき、薬物を投与するなどして人為的に死を迎えさせること(積極的安楽死)。
【尊厳死】
回復の見込みがない傷病者に対して、本人のリヴィング・ウィル(生前の意思)に基づき、人工呼吸器や点滴などの生命維持装置を外し、人工的な延命措置を中止して、寿命が尽きたときに自然な死を迎えさせること(消極的安楽死)。
引用元:進研ゼミ高校講座
http://kou.benesse.co.jp/nigate/social/a13n0510.html

つまり、
・安楽死とは生命が燃え尽きる前に命の炎を消すこと
・尊厳死とは生命が燃え尽きる時に延命措置をせずに命の炎が消えるのを迎えること

ということになります。
介護施設で行われている『看取りケア』は、
後者の尊厳死(自然死)になります。

◆介護施設ではリヴィング・ウィルが難しい

リヴィング・ウィルとは、生前の意思確認のことです。
つまり、生きている間に本人が、自分の『その時』が来たらどうしたいかを、意思として残しておくのです。
しかし、介護施設に入所中の利用者は、
既に認知症だったり、
意思疎通が取れない利用者が多いため、
生前の意思確認が出来ていない場合が多いです。
そういう利用者に死期が迫った場合、
・延命するのか
・自然死を迎えるのか

という決定は『家族』がすることになります。
しかし、家族も、
『自分の親や身内の生命の判断を一人で決定する』
ということは大変な精神的負担になります。
ですから、他の兄弟や身内と
よくよく相談をした上で決定する必要があります。
そこで問題となってくるのが、
『家族、身内間で意見が割れて一向に決まらない』
ということが往々にしてあります。
しかし、そうこうしている間に、
利用者本人は日に日に衰えていくので、
『延命をする機会を失ってしまう』
という悔いの残ることにもなりかねません。
そうならないためにも、
『その時』が来た時にどういう選択をするのか、
ということを利用者本人が元気なうちに
家族、身内で話し合っておくことが望ましいと言えます。
そういう前もったアプローチを施設側からもする必要があるのですが、
まだまだ世間一般に『看取りや尊厳死』について
・情報が少ない
・受け入れがたい現実
・触れてはいけないタブー

のような風潮があり理解を得られないこともあります。
「うちの親はまだ元気なのに、この施設はもう死ぬ時の話をしてくる」
「早々に死ぬ時の話をしてきて失礼だ!不愉快だ!」

という反応をされる家族もいます。
誤解を招かないように、
細心の注意を払い、理解を得られるよう段階を踏んだアプローチ方法が必要になってきます。
(スポンサーリンク)

◆自然死と延命のどちらが良いのか

どちらが最善で最良なのか、
ということは結局は本人にしかわかりません。
しかし、リヴィング・ウィルが出来ない以上、
最終的に決めるのは『家族』です。
医師だろうが看護師だろうが介護士だろうがケアマネだろうが決めることは出来ません。
『家族が悔いの残らないような選択こそが最善』なのです。
しかし、介護施設には『看取り加算』というものがあります。
看取りケアを実施すると加算手当がつくのです。
国がそう決めているということは、
施設もそれに従いますし加算も欲しいでしょう。
その時点で、国も施設も『看取り(自然死)推進派』なのです。
看取り推進派の施設が、
「延命という選択肢もあります」
「家族の悔いの残らない選択をして下さい」

と言っている時点で違和感を覚えます。
人間の生命を扱っている以上、
『推進するものと、選択の決定は別物』
ということになるかと思います。

◆親に望むものと自分が望むものは違うのか

誰でも親は特別な存在です。
血の繋がった唯一無二の存在です。
ですから、出来るだけ『長生き』して欲しいと願うはずです。
老衰で死期が間近になった親を見たら『延命して欲しい』と望む心境もわかります。
現在の医学では、
胃瘻(いろう)や点滴などである程度延命は可能です。
『不老不死』さえ可能ではないか、
と言われていますが、
実際には内臓機能も衰えているので、
管で栄養を投下するだけでは分解や消化の処理が不完全となり、体が浮腫んでいき、最期を迎える時は来ます。
胃瘻を造設しても、唾液や痰は出ますので、
自分の唾液や痰で誤嚥して肺炎になったり、
様々なリスクは捨て切れません。
もし、自分が最期を迎える時は、
自然死が良いですか?
延命で長生きしたいですか?

こういう質問をすると、
大体の人が
「自然に亡くなりたい」
と答えます。
特養の七不思議のひとつに
『親には延命、自分は自然死』
というものがあります。
「親だから、特別だから」
という気持ちはわかりますが、
本人の意思が最優先されるのではないでしょうか。
アナタ自身がもし今『自分は自然死』という選択をしたとして、
将来、その事を伝えずに『その時』を迎えた場合、
アナタの子供は『延命』を選択するかもしれません。
アナタの意思とは違う選択になってしまいますね。
ですから、生前の意思確認も大切ですし、
もしそれが出来なかった場合も含め、
『自分が終末期を迎えた時、どうして欲しいと思うか』
ということを基準にしてもいいのかもしれません。
人間が老衰で亡くなるということは自然の摂理です。
現代医学の力を借りて延命という選択肢もあります。
結局はどちらの選択をしたって構わないと思います。
血の繋がった唯一無二の親子なんですもの。
親だってアナタの選択を責めたりなんかしません。


介護職員ランキング

コメント

  1. めど立てたい人 より:

    リビングウィル…と言って、そのものを悪用して、延命か死かの議論を停止させる人たちがいます。
    それがタブー化であり、延命推進ですね。
    そして、リビングウィルだけど、今は生きたいと思ってるかもしれないし、生きてる訳だし…と推定と惰性で延命の理由にします。
    しかし、その前提や言葉に込めた意味を踏まえるならば逆も成り立ちます。
    延命を希望していたとしても、いざ直面して本人は死にたいと思っていたら?いや、延命は嫌だと考えを改めたとしても、意思疎通はできない状態。そこで延命する方がよっぽど道徳だとかに反すると思うのですがね。
    国や福祉が建て前でも、自然死を推奨?しているのですね。
    とは言え、既得権益的には現状は延命推進中ですよね?
    管理人さんの所労基法違反だけの違法企業かも分かりませんが、こちらの労働先は(延命のためなら?)労基法違反に加えて○○○違反もしている企業の一つなようで・・・

  2. 山嵐 より:

    >めど立てたい人さん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    医療業界では延命推奨なんですかね。
    確かに、医者に胃瘻を勧められた、という話はよく聞きます。
    『○○○違反』なんでしょうか、気になります(笑)

  3. めど立てたい人 より:

    察して頂けたようで何よりですw
    強いて言えば、○○…法違反だったりしますね。ヒントが返信のコm
    福祉=介護も既得権益ではありませんか?例えば、ユニットケア(笑)なんてその最たるだと思います。
    なぜなら、その人らしく生きると言う建前であって、その人らしく死ぬや、その人らしく人生を終えるではないじゃないですか。
    もう、その点葬儀屋のCMを見てると、とても道徳的じゃないかとまで思います。むしろうらやましいスタンスです。

  4. 山嵐 より:

    >めど立てたい人さん
    そういう施設って結構あると思います。
    厳密に言えば、点耳薬や点鼻薬も介護士は出来ませんからね~
    色々考えていると一周回って思考停止してしまいそうになりますね(笑)
    当たり前のことを当たり前にやりたいだけなんですけどね。