介護職員の離職率の高さが致命的な本当の理由

Pocket

pawahara_man.png
介護・福祉業界は離職率が高いと言われています。
実際に厚労省発表の統計を見てみるとどうでしょうか。
risyokuritu.jpg
【出典】産業計の離職(採用)率:厚生労働省「雇用動向調査」、介護職員の離職(入職)率:(公財)介護労働安定センター「介護労働実態調査」
産業平均が『15.6%』であるのに対し、
介護職員の離職率は『16.6%』となっています。
離職率が高いと思われていたのに、
全産業の平均より『1%ほど高いだけ』となっています。

スポンサーリンク

◆1%を笑うものは1%に泣く

たかが1%、されど1%です。
2025年までに介護職員が約38万人不足しています。
【参考記事】
介護職員が2025年に向けて未だ37.7万人も不足している理由とは?
もし仮に38万人確保できたとして、
離職率が16.6%だと6万3080人が退職していきます。
他産業で38万人確保したとして、
離職率が15.6%だと5万9280人が退職することになります。
その差は、3800人です。
3800人の介護職員が他産業より多く辞めていきます。
たった1%なのに3800人です。
これを『誤差』という言葉で片づけられるでしょうか。
1人の介護職員が平均3人の利用者をケアするとしたら、
単純計算で1万1400人の利用者が
『十分なケアが受けられません』
「たかが1%」
と思う前に
『1%でも離職率を下げられる努力』
が必要ではないでしょうか。
(スポンサーリンク)

◆勤続年数の低さが致命的

離職率は平均よりも高いものの、
『1%しか高くない』
ということはわかりました。
しかし、その勤続年数の内訳はどうなっているのでしょうか。
37a33da87e76e65a425c057c083d8756.jpg
【出典】平成25年度の介護労働実態調査
上記の統計からわかるのは、
『3年未満で離職する介護職員は70%を超えている』
ということです。
厳密に平均を出すと73.2%です。
10人入職したら7人が3年未満で辞めていくのです。
100人入職したら…言わなくてもわかりますね。
これは『高い離職率』と言えるのではないでしょうか。
介護職員の平均勤続年数はどうなっているのでしょうか。
7953b0eff43438c1eb2cfe7461dd9a162.jpg
【出典】平成25年度の介護労働実態調査
・訪問介護員
・サービス提供責任者
・看護職員
・介護支援専門員
・相談員

には10年前後の選手が多数いるのに対し、
『介護職員』は地を這いつくばっています。
介護職員の平均勤続年数は4.7年となります。
「勤続10年以上の介護福祉士に月8万円」
という処遇改善が的を得ていないと感じる大きな理由のひとつがこの統計に表れています。
【参考記事】
「勤続10年以上の」介護福祉士に月8万円支給しても改善にはならない

◆最新の統計(2016(平成28)年度)

この記事の統計は平成25年度のものを使用していますので、『やや古い』です。
最新の統計は
『平成28年度介護労働実態調査結果について(pdf)』
をご確認下さい(PDFです)。
何故、最新の統計をこの記事で使わなかったかは、
『PDFをキャプチャーするのが面倒くさかった』
というブロガーにあるまじき理由です、すいません。
でも平成25年度も平成28年度もそんなに変わりません。
「介護業界そのものがそんなに変わってないのですもの」
という言い訳をしておきます。
しかし、実際下記ニュースから読み取るに、
『改善しているとは言えない』ようです。

介護職員の離職率16.7% 昨年度
厚生労働省所管の公益財団法人「介護労働安定センター」は5日までに、2015年10月からの1年間に全国の介護職員の16.7%が退職したとの調査結果を公表した。前年に比べ離職率は0.2ポイント悪化、全産業平均の15%(15年)も上回り、人手不足が常態化している状況が裏付けられた。
 調査は16年10月に実施し、8993事業所、2万1661人から回答があった。
 介護職員の過不足を事業所に尋ねたところ、「大いに不足」「不足」「やや不足」を合わせると62.6%で、1.3ポイント増えた。理由は「採用が困難」が73.1%と最も高く、同センターは「高齢化に伴う利用者増に、職員の確保が追いついていない」と説明している。
 施設長を除く職員の16年9月時点の平均賃金(月給)は22万4848円で、前年の21万7753円から7095円上がった。
 職員側からの悩みとしては「人手が足りない」が最も多く53.2%。「今の仕事を続けたい」という声は53.7%で、前年に比べ11.8ポイント下がった。
引用元:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG05H0U_V00C17A8000000/

平均賃金は7095円上がったようですが、
『1万円上乗せ』
のはずの処遇改善のあと3000円ほどはどこに消えたのでしょうね、謎です。
そして、致命的なことに、
『離職率は高いまま入職率は低いまま』
では人材の確保は今後も困難な状態と言えるでしょう。
繰り返しになりますが、
平均勤続年数が5年未満の統計が出ている業界に、
「勤続10年以上の介護福祉士に月8万円」
という処遇改善の方針こそ致命的と言えるのかもしれません。


介護職員ランキング

コメント

  1. デイちゃん より:

    こんにちは。
    私は、毎回重度の機械浴を6人前後入れてるんですが、この前の水曜日、家に帰った後じんましんが全身に!
    体中まっかっかで、かゆくて仕方ない!
    薬をのんだんですけど、全然ひかず。
    やっぱり体が無理だって言ってるのかな?と思いました。
    介護の仕事って、働き者の人は一人分以上働いちゃいますよね。
    あの利用者は大変だから自分がしてあげなきゃって。
    気がついたら、大変な仕事は全部自分がしてる!
    重度者の移乗、入浴、オムツ交換、食介などなど。特に体重の重い人の移乗とか他のスタッフは誰もしないで、「お願いします」って言ってくるし。
    これからは、なるべく仕事量をセーブして、あくまで一人分の仕事をするようにしなくちゃなって思いました。
    福祉の仕事って、なくてはならないものでしょう。ゴミ収集とかと同じ。
    ないと社会が破たんする。
    「これ、なくてもいいよね?」っていう職種とは違うので、そこは別に考えないといけないですよね。
    公務員的とは言わないけど、ある程度待遇を公的に保障しなければならないと思います。
    私は、居宅のケアマネは、公務員にすればいいと思うのですが。そうすれば、ある程度の処遇は保障されるし、民間企業の利益囲い込みなど適切でないケアプランの作成も抑えられると思います。
    地域包括支援センターで要支援の人のプランを作ってましたが、あんな感じでやればいいのに、と思ってたら、もうやめてしまう方向ですけども。
    処遇改善は、法人が赤字ならそれを埋めるのに使われますよね。
    会社が赤字なのにわざわざ従業員の給料を上げたりしない。
    介護報酬を減らして、処遇改善加算をつけても、結局法人に入るだけで処遇改善にはならないのでは?と思いますが。

  2. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    こんにちは~
    いつも頑張っておられますね、お疲れ様です^^
    「結局法人に入るだけ」の加算や介護報酬は本当に意味がありませんよね。まずはそういう法人を取り締まる法整備をするべきだと思います。

  3. めど立てたい人 より:

    うーん、やはりたかが1%ですね。
    他の方の意見と、引用の行政データを踏まえると行政は何がしたいのでしょうかね?
    そもそも、行政(国含む)自体が福祉は割に合わない!といって官営から手をひいてるじゃないですか。高齢者向けはそれが流れとも聞きますし、障害者向けはまだ年齢がいいからやりずらいとか。
    それとも悪い意味で忖度を仕向けられているのでしょうか?福祉は暴力だ!福祉はただの増税装置だ!と。…あれ、これだとなりたたた

  4. 山嵐 より:

    >めど立てたい人さん
    おはようございます^^
    「忖度」っていう言葉流行ってますが、私はあまり良いイメージを持っていません。
    利用者や顧客は増えていくのに成長できない業界ってやはりどこかシステムがおかしいと気づくべきです。
    普通の業界ならこの追い風で急成長しますよね。