【処遇改善加算】介護職員の収入が増えない本当の理由

Pocket

money_kyuryou_bukuro.png
介護職員の処遇を改善する為に、
『介護職員処遇改善加算』
というものがあります。
「月1万円を介護職員の給料に上乗せする」
政府はそう公言していました。

平成29年4月から新設される「加算I」を取得すれば介護職員1人当たり月額3万7千円相当の加算が受け取れます。
引用元:厚生労働省 「介護職員処遇改善加算」のご案内
http://www.jvnf.or.jp/newinfo/2016/20170314-2.pdf

1万円どころか、事業所が『加算I』を取得している場合、月額3万7千円増えていなければなりません。
加算I~Vのキャリアパス要件については、上記の厚労省の案内ページをご覧ください。

スポンサーリンク

◆処遇改善加算の対象者と目的

『介護職員処遇改善加算』の対象者は誰になるのでしょうか。

同加算はあくまで直接処遇職員に対するものであって、ケアマネジャー、 看護師、生活相談員、事務員、調理師など、間接処遇職員については対象外である。
【出典】第118回社会保障審議会 介護給付費分科会 公益社団法人全国老人福祉施設協議会
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000070796.pdf

その名の通り、
『介護職員』だけが対象になります。
その目的も、
『加算の全額を介護スタッフの給与へ上乗せし、賃金水準を改善させること』
とされています。
したがって、平成29年4月以降に『加算I』を取得している場合、確実に年収12万円以上の収入増がないとおかしいのです。
それ以前に、平成27年に加算が新設された段階で
介護職員へ月額12000円~27000円(加算区分により異なる)
年収にすれば144000円~324000円上乗せ
されているはずです。
しかし、実際問題、
『上乗せがされている事実や実感がない』
という介護職員が多数います。
加算を取っていながら、
介護職員にそれを配当していない事業所は
『不正受給』に該当し、
加算の返還返金等の対象になります。
しかし、
『加算の支給方法』
に重大な瑕疵(かし)があるため、
介護職員の手元まで加算が降りて来ないという状況が発生しています。

◆処遇改善加算の支給を事業所に任せてはいけない

まず初めに指摘しておきたいのは、
『処遇改善加算をどういった使い方をするのか、あるいは支給の回数や時期というのも、事業者の判断に任されている』
という点です。
これでは、事業所によっては、
適切適正に介護職員に支給されない恐れが発生します。
「それは事業所の問題」
「適切に配分されていなければ返還返金の対象」
「処遇改善加算の情報開示請求をすればいい」

と思われるかもしれませんが、
その点についても問題や抜け道があるのです。
・事業所の判断に任せる形にした施策が問題
「事業所が悪い」という声もありますが、
「事業所に任せる形」を示したのは国であり政府です。
次の介護保険制度改定にも処遇改善について盛り込まれていますが、その支給方法にも
『事業所の判断に任せる』
という一文がありました。
「勤続10年以上の」介護福祉士に月8万円支給しても改善にはならない
の記事でも書きましたが、
大きな問題のひとつであると言えます。
・適切に配分されていなければ返還返金対象
・処遇改善加算の情報開示を請求する

という点についての抜け道とカラクリについては次に述べたいと思います。
(スポンサーリンク)

◆処遇改善加算の支給方法の闇

事業所が加算を内部保留や赤字の補填に流用すると、重大な不正行為、不正受給となり返還等の対象になります。
介護職員処遇改善加算の支給方法は、原則として次の3つになります。
①給与
②賞与(ボーナス)
③一時金

※福利厚生費に盛り込まれる場合もある。
「給料」や「一時金」として支給されると、
目に見えやすく「増えた」という実感があります。
問題は「賞与」として支給される場合です。
賞与というのは、
企業や事業所の判断や裁量によって決められます。
「去年は年間4か月分の賞与を支給したけれど、今年は赤字だから3か月分にするね」
ということになっても何の不法行為ではありません。
赤字の企業ならボーナスカットはあり得ることなのです。
しかし、そこに
「本当はボーナスカットになるけど、処遇改善加算をボーナスで支給してあげるから今年も4か月分相当支給するね」
ということが行われている事業所があるのではないでしょうか。
事業所側はこれで
『処遇改善加算を支給した』
ということになり行政に実績報告をします。
ボーナスで支給しても問題ないので、
何の不正行為もないことになります。
しかし、
『介護職員の収入は一切増えていない』
ことになります。
また、賞与支給月は大体が年2回ですが、
その月までに退職してしまった場合も
『介護職員の手元に来ない』
ことになります。
『処遇改善計画書』に「賞与で支給する」と書いた場合、
これも違法や不正行為、不正受給ではないことになります。
退職してしまった職員に支給されなかった加算収入はどこに行ってしまうのでしょうか。
事業所も悪いのですが、
それを許してしまっている国や行政が一番悪いのではないでしょうか。
これが事業所の判断に任せてしまった国や行政の重大な過ちの結果です。

加算を取りながら賃金を下げることが例外的に許される条件
・一定期間にわたり収支が赤字だったり、必要な資金繰りに支障が生じたりして、事業の存続のためにやむを得ない場合であること
・そうした状況が確認できる書類を届け出ること
・労使の合意を得ること
【出典】介護保険最新情報Vol.431
http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/resources/c86ef0bb-ff7b-4fd7-84ce-0293e2aadeec/%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA%E6%9C%80%E6%96%B0%E6%83%85%E5%A0%B1vol.431+.pdf

「赤字だ」
「儲かっていない」

経営陣が口癖のようにそんな事を言っている事業所は特に注意が必要です。
そして次なる処遇改善である
『勤続10年以上の介護福祉士に月8万円相当支給』
という原案についても
『事業所に柔軟な運用を認めていく』らしいです。
判断を任されている事業所が悪いのか、
それを許している政府が悪いのか、
賢明な皆様ならご理解されていることと思います。
眼前にぶら下がったニンジンはまだまだ遠いようです。


介護職員ランキング