温厚だった父が認知症になり統合失調症の妻を殺害

Pocket

harada201407100005.jpg
在宅介護での悲しい事件です。
【登場人物】
父:82歳(真面目で温厚だったが認知症になり統合失調症の妻を殺害)
妻:当時79歳(統合失調症。父に冷たく当たっていた)
息子:40代(20歳をすぎて家を出たが、父が認知症になってからは実家に顔を出し通院の付き添いをしていた)

<認知症>温厚な父、突然「犯罪者」 手にかけた妻今も案じ

脳の疾患である認知症は、まじめで穏やかな人をある日突然、「犯罪者」に変えてしまうことがある。高齢の夫が妻を手にかけたある殺人事件にも、認知症の影があった。
 2016年夏。神奈川県の40代男性は、警察署2階の留置場で父(82)と面会した。アクリル板越しの父は険しい表情で口を固く閉じたまま。男性は絞り出すように言った。「お父さんに全て押しつけて我慢させすぎちゃったね。ごめんね」
 その数日前、父は自宅で統合失調症の母(当時79歳)を殺害したとして逮捕された。家事ができない母を約50年間支えた父。事件の引き金となったのは、自らの認知症だった。
 タクシー運転手だった父が母と結婚したのは1966年。夫婦仲は良く、ハンドルを握らない日は日帰りで旅行に出かけた。
 一人息子の男性が高校に入った頃、母の統合失調症が悪化。誰もいない部屋で怒鳴り続けたり、黙り込んだりし、父にも冷たく当たった。「あなたのお父さんは別の人。あそこにいるのはただの同居人よ」。母がそう言うのを聞いて、男性は実家で暮らすのに耐え切れず、20歳を過ぎて家を出た。今は配送業に従事している。
 父は母の不満を一切漏らさなかった。定年までタクシー運転手としてまじめに務め、母の代わりに家事をこなした。男性が「なんで離婚しないの」と尋ねても、父は笑って否定した。「お父さんが元気なうちはお母さんの面倒を見るから、おまえは自分の人生を歩んでな」
 父の異変に気付いたのは15年春。「おかしな行動をして困る」と母が連絡してきた。風呂の沸かし方が分からなくなり、湯飲みがないのに何度もお茶をつごうとした。男性が病院へ連れていくと、診断は「レビー小体型認知症」。幻視や幻聴、抑うつ症状が表れる病気だった。
 男性は小売店での配送が早く終わった日は実家に顔を出し、休日は両親の通院に付き添った。ヘルパーの女性が週2回、風呂や身の回りの世話をしたが、父が母に手を上げるところは一度も見なかったという。
 16年夏。事件は前触れもなく起きた。午後11時ごろ、父は寝ていた母の首にひもを巻き付けて殺害。翌朝、自ら警察署に電話し、自首した。動機は「家事をしないことへの不満」とされたが、地裁は「一切暴力をふるうことなく生活してきたのに突如、殺害を実行するのは正常な心理状態ではない」と指摘。認知症の影響を認め、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)の判決が確定した。
 昨年5月から、父は特別養護老人ホームで暮らし、月1回、男性の付き添いで精神科に通院する。当初はホームの職員に「お母さんに悪いことをした」「お母さんはどこに行った?」などと話しかけることもあったが、「忘れさせてあげたほうがいい」という医師の助言で、男性は母の話題をしないようにしている。
 男性が実家の整理をしていると、タンスの上から古いアルバムが出てきた。酒も賭け事もしない父の趣味は、家族や花の写真を撮ることだった。写真の中で紫色のワンピースを着た母は、あじさいの前で幸せそうにほほ笑んでいた。
引用元:毎日新聞 1/3(水) 8:35配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180103-00000007-mai-soci

(スポンサーリンク)

スポンサーリンク

◆認知症の父が加害者

在宅介護での事件というと、
認知症の被介護者が被害者になることが多いですが、
この事件は『認知症の父が加害者』です。
被害者は『統合失調症の妻』になります。
認知症によって
・人格や性格が変わってしまった
・胸の奥にしまい込んでいた闇の部分が表面化する

ということはよくあります。
『レビー小体型認知症』の診断を受けていることから
『幻視』などの症状もあったものと推測します。

レビー小体型認知症
・アルツハイマー型に次いで発症数が多く、男性に多い
・特殊なたんぱく質によって神経伝達が障害されるために起こります
・症状が出るかなり前から脳の異変は起きています
・初期の段階で物忘れより幻視が見られます
・間違った認識をしてしまう事があります
・パーキンソン病のような症状が出ます
・頭がはっきりしている時と、そうでない時があり、それを繰り返しながら進行します
・うつ症状が出たり、レム睡眠行動障害もみられます
【出典】認知症ねっと

レビー小体型認知症は、認知症の20%を占める病気で、小阪憲司氏によって発見されました。レビー小体という、神経細胞に出来る特殊なたんぱく質の増加が原因となります。ここではレビー小体型認知症の症状、原因から対応方法について詳しく紹介します。

◆介護保険制度の欠陥

ここで再度、特筆しておきたいのは、
『認知症患者も加害者になり得る』
ということです。
高齢者や認知症患者を保護したり救済するために介護保険制度がありますが、この家庭では既にヘルパーを週2回利用していたようです。
それでも事件の予兆に気づいたり事前に食い止めることが出来ませんでした。
『在宅介護での事件や事故を減らすために、介護保険サービスを適切に活用しましょう』
ということが一概には言えなくなってきたのではないでしょうか。
そうなってくると、
『とにかく認知症になれば施設入所を検討する』
という極論に行きつきかねません。
しかしそれでは、政府が推進している
『施設介護から在宅介護へ』
という方針を否定することになります。
また、施設そのものの
・キャパシティ
・職員の人材不足

の問題があります。
そして施設でも
『介護事件・事故』は多数起こっています。
現状のまま、在宅介護の利用者をどんどん施設へ入所させても問題が解決しないどころか悪化していくのは目に見えています。
在宅介護問題も施設介護問題も、
職員や支援者の人員の確保や待遇も
未だ何ひとつ解決していないのが介護保険制度なのです。
社会的弱者と言われている施設入所者や認知症利用者ですが、介護現場では当然のように
・利用者から職員への暴言や暴力
・利用者から職員へのセクハラ
・利用者や家族が権利者意識を振りかざすモラハラ

は日々行われています。
「認知症だから仕方ない」
「それを何とかするのが職員の仕事」

と言って切って捨ててしまう人がいますが、
もし本当に介護職員が
『自分の人権や生命の危険を身代わりにしてそれを達成』
しているのだとしたら、
医者や弁護士や警察官よりも待遇や社会的地位が高くないとおかしいのではないでしょうか。


介護職員ランキング

コメント

  1. 現役保険営業マン より:

    こんばんは。
    なんとも悲しすぎる「事件」ですね。レビー小体型認知症は効果的な治療法もあるのに…それでも最悪の事態を防ぐことができなかったのは、残念としか言えません。

  2. 山嵐 より:

    >現役保険営業マンさん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    本当、どこからどう間違ってしまったのでしょうか。
    そしてどうしていれば良かったのでしょうか。
    悲しい結末の「事件」ですね。