介護施設のワンオペ夜勤の暗黙の了解「利用者を起こす順番」

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ワンオペ夜勤をしている介護施設では、
早出職員が出勤してくるまで1人の職員で約20人の利用者の介護をします。

【参考記事】

介護施設の業務には夜勤はつきものだ。 常勤の介護職員なら殆どの職員がやっているはずの夜勤業務について書いてみたい。 ...

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◆朝食時間に全利用者が揃っていて欲しい

朝食は7時から盛り付け・配膳をするので、その時間が早出職員の出勤時間になります。
早出職員が出勤してから起こし始めると、全利用者が揃うのはゆうに8時を越えてしまいます。

8時から配膳し食べ始めると、全員が食べ終えるのが9時を過ぎてしまい、その後の排泄介助や入浴介助の開始時間が遅れ、今度は昼食時間を圧迫してしまいます。

起床介助の遅れは日中業務を圧迫する最大の要因となるので、朝7時には出来るだけ全利用者が揃っていて欲しいのです。

しかし、これは完全に『職員の一方的な都合』です。
そこに
・利用者の意思
・利用者の希望
・利用者の都合

は存在しません。

ですから、本来はこういう職員の都合だけで行うケアは良くないのですが、
『良くないとわかった上でやらざるを得ない状況』
という暗黙の了解があるのも間違いないのです。

◆既に破綻している個別ケア

以前『ユニットケアは「既に破綻している空想理論」である理由をわかりやすく解説』という記事を書きましたが、ユニットケアも個別ケアも既に破綻してしまっています。

食事時間も本来ならば
・利用者が食べたい時間に提供する
・時間もメニューも個別に対応する

ということが出来るのがより良い姿だと言われています。

しかし、現実問題として無理です。
簡単に『無理』と言ってはいけないのでしょうが、介護施設のユニットにレストランが内在しているような状況を作り出すのは困難と言えます。

仮にレストランや喫茶のような形で成立させたとしても、それではユニットケアが目指す『家庭的な雰囲気』とはまたかけ離れてしまうという問題もあります。

施設ではなく家庭だとしても、
家で好きな時間に食事を要求され
好き勝手な注文をされたら堪らないでしょう。

家庭でも困難な事を介護職員に要求する時点で『無理』なことであり『破綻』しているのです。

◆利用者を起こす順番

『出来るだけ朝7時に全利用者が揃っていて欲しい』
という現状があることをお伝えしましたが、
利用者を起こす順番もほぼ決まっています。

「目覚めが早い利用者?」
「部屋が遠い利用者?」
「介助量が多い利用者?」

違います。

それは
「自分では移動が出来ない利用者」
を最初に起きてもらいます。

その理由は、
ワンオペ夜勤なので起床介助をしてリビングに誘導したあとに見守りができないからです。

見守りが出来ないので
リスクが低い利用者から起きてもらいます。

リスクとは、
・転倒や転落
・ユニットから出て行ってしまう
・異食や盗食

などになります。

リスクの可能性が高い利用者を先に起こしてしまうと、他の利用者の起床介助に行っている間に、何らかのアクシデントが発生する確率が高くなります。

アクシデントが発生すると、起床介助だとか朝食だとか言っていられなくなります。
それこそ日中業務を圧迫してしまうでしょう。

したがって、暗黙の了解で
「リスクが低い利用者」
から起床介助をします。

いつも早朝一番に起こされている利用者には大変申し訳ないのですが、
『それがワンオペ夜勤者の苦肉の策であり暗黙の了解』
なのです。

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コメント

  1. デイちゃん より:

    でも一人ずつ起こして行ったら、すごい時間かかりますよね。
    はじめに起こした人って、すわったまま長時間待ってないといけないし。
    認知症の人ってじっと待ってらんないからさ~叫びだしたりして大変。
    ま、じ~っとしてるおとなしい人から起こすんだろうけど、歩けない人が勝手に動いてたりとかして、ひやひやするわ。
    読んでてあれって思ったんですが、盛り付けってまさかユニットでするんですかあ~!?
    よく「ごはんを炊くにおいが大事」だの「温かいまま料理をだしたい」だのおかしなことを言いだして、ユニットでごはん炊いたり、おかずをもりつけたりしてるとこありましたが・・・無意味。
    厨房でまとめて調理して盛り付けて持ってきた方が、効率がいいし、介護職の仕事が減るし、衛生的にもいいのに。
    昔ユニット特養の派遣に行った時、悲惨だった。
    そこは15人のユニットが4つあって、夕食の後、遅出2人と夜勤1人で15人の臥床をするんですが、「スタッフがいないから」って、遅出が私1人しかいなくて!?
    それで、遅出と夜勤2人で、15人の下膳、口腔ケア、排せつ介助、更衣、臥床、記録をするんです。
    一人ずつするんだけど、重度ばかりで、便失禁してたりとか、もうめちゃ時間がかかって。その間も、フロアで利用者は待たされてて、したら大声でわめきだしたりとか。
    もうどうすりゃいんだ?的な感じでしたね。
    でもさあ、人がいないからって、人がいないままの状態で、派遣にさせるとかないでしょ。必要ならもう一人派遣頼めばいいじゃん。
    しかもそこは、記録は一介護一記録とかバカみたいに言ってて、文章でダラダラとしたことを全部書くやり方で、もう大変だった。普通チェックでしょーよ。
    別の老健は、日勤は利用者全員臥床させるまでが仕事だったからさ~、なんで日勤の人、配膳してさっさと帰ってんの?って感じでした。

  2. とも より:

    はじめまして同業者です。
    とってもよく分かります。
    ○時にこれだけ起きて“いなければならない”から、○時に起こし始める…職員の都合でしょうが、よい方法があるなら知りたいです。
    ユニットケア…家庭的な雰囲気とは何ぞや?とよく思います。私も家で曾祖母、祖父母といたのですが、我慢させることは施設以上にあったと思いますから

  3. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    おはようございます。
    コメントありがとうございます^^
    そうですね、最初に起こされた利用者は長時間待機してもらうことになります。
    ユニットで盛り付けやごはんを炊くのが「ユニットケアの方針」らしいです。
    私の施設もその方針に漏れずユニットで盛り付けています。
    記録はチェックしておいて後でまとめてパソコン入力しています。
    まだまだ理想と現実の乖離が大きいのがこの業界ですね。

  4. 山嵐 より:

    >ともさん
    はじめまして、おはようございます。
    コメントありがとうございます^^
    理想の現実の間で苦労が絶えませんね。
    朝食開始前に職員が4人配置できれば、二人が起床介助、二人が朝食準備兼見守りという具合に役割分担して短時間でこなせるんでしょうが、万年人員不足の業界ではそんな普通のことさえ出来ませんよね。
    家庭ではマンツーマンですが、施設では職員1人に利用者20人。その時点で無理がありますね。