介護職員を苦しめる「モニタリング」について詳しく解説します

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介護職員は利用者の介護をする仕事ですが、
現場業務だけでなく、数多くの事務仕事もあります。
例えば
・ケース記録
・リスク報告書
・モニタリング
・ケアチェック
・月次報告書
・会議の議事録

などです。
その中でも、今回は『モニタリング』について書いていこうと思います。

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◆モニタリングとは

モニタリングとは、簡単に言えば『評価』をすることです。
評価の内容は
・ケアプランに沿ってサービスが提供できたか
・提供したサービスに効果はあったか
・利用者や家族は満足しているか
・今後はどうしていくか(方針)

などをチェックしていきます。
チェックするだけなら5分もあれば完成しますが、『特記事項』として
・提供できた(できていない)理由
・効果があった(無かった)理由
・利用者や家族が満足している(していない)理由
・今後の課題や検討すべき事項
・総括

などを過去のデータを抽出して文章で記入していきます。

【データとは】

・食事形態、摂取量、摂取動作
・口腔ケア方法、口腔内の状態
・体重の推移
・排泄方法、排泄間隔、排泄量
・入浴方法、入浴動作、入浴間隔
・移動方法、起居動作の状態
・他者や社会との関わりや精神面、心理面
・医療的な処置の有無や状態

などになります。
それら全てを書き込んでやっと1人分完成となります。
そのモニタリングをもとに、担当者会議(ケース会議)が行われ、各専門職(本人や家族を含む場合もあり)がプランの内容の評価や再検討を協議し今後のケアプランに反映させていきます。

◆モニタリングは誰がするのか

介護施設でのモニタリングは
基本的に介護職員が3か月に1回行います。
厳密には

『指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準』
第十二条
9 計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成後、施設サービス計画の実施状況の把握(入所者についての継続的なアセスメントを含む。)を行い、必要に応じて施設サービス計画の変更を行うものとする。
10 計画担当介護支援専門員は、前項に規定する実施状況の把握(以下「モニタリング」という。)に当たっては、入所者及びその家族並びに担当者との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならない。
一 定期的に入所者に面接すること。
二 定期的にモニタリングの結果を記録すること。

と規定してあり施設ケアマネが行うものなのですが、
解釈通知として
・介護職員
・生活相談員
・看護師

などの専門職からの情報や評価や分析を施設ケアマネに報告し取りまとめれば良いということになっています。

(解釈通知)
第十二条
(9) 施設サービス計画の実施状況等の把握及び評価等
(第9項)
計画担当介護支援専門員は、入所者の解決すべき課題の変化に留意することが重要であり、施設サービス計画の作成後においても、入所者及びその家族並びに他のサービス担当者と継続して連絡調整を行い、施設サービス計画の実施状況の把握(入所者についての継続的なアセスメントを含む。以下「モニタリング」という )を行い、入所者の解決すべき課題の変化が認められる場合等必要に応じて施設サービス計画の変更を行うものとする。
なお、入所者の解決すべき課題の変化は、入所者に直接サービスを提供する他のサービス担当者により把握されることも多いことから、計画担当介護支援専門員は、他のサービス担当者と緊密な連携を図り、入所者の解決すべき課題の変化が認められる場合には、円滑に連絡が行われる体制の整備に努めなければならない。

しかし何故かどこの施設でも、いつも白羽の矢が立ち業務を押し付けられるのが『介護職員』なのです。
「介護職員は毎日利用者に直接的に接して介護をしているんだから、一番利用者の状態や変化を知っているだろう」
という非常に筋の通った理由なのですが、正直現状では人員不足で現場業務で手一杯でモニタリングに割ける時間が限られてしまっています。
【関連記事】
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ですから、他の職種にお願いしたい時もありますが、十中八九その願いは叶えられません。
「誰も自分の仕事を増やされたくないから」です。
「介護職員がやるのが一番モニタリングの主旨に沿っている」
という建前はわかるのですが、それならば
「モニタリングをするための時間と人材を確保しなさいよ」
と声を大にして言いたいところです。
『モニタリングする利用者1人につき10分』
という時間が与えられている施設もあるようですが
10分でどれだけのクオリティを求めているのでしょうか。
内容の薄い表面上だけのモニタリングしか書けません。
『文章や書類は時間を掛ければ掛けるほど内容が濃く質の高いものが書ける』
と私は思っています。
「そうとも言い切れない」
という場合もあるかもしれませんが
私は毎日ブログ記事を更新していてそう感じました。
時間が無い時は30分ほどで1記事を書いています。
短時間で書いた記事を読み返してみると
「我ながら内容が薄くクオリティが低いなぁ」
と感じます。
ブログの1記事でさえ30分では足りないのに
『人間(利用者)1人のモニタリングをするのに10分』
というのは恐るべき時間配分です。
クオリティが低くなってしまうのも仕方が無いと言えます。
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◆モニタリングをする頻度

先程、介護施設では『3か月に1回』と書きましたが、正しくは『定期的に』と規定してあります。
どの施設も「3か月に1回を目安に」モニタリングをしているかと思いますが、本来は「適宜するもの」なのです。
適宜とは
「利用者の状態に大きな変化があった時」
「入所者の心身の状況等に応じて適切に判断して」
「これはやった方が良いな」

という時です。
それらを『定期的に』と規定してあるのです。
「大きな変化」とは例えば
・歩行出来ていた人が歩けなくなった時
・入院していた利用者が退院後に対応方法やケア方法の変更が必要になった時
・精神状態や行動に著しい変化(暴れる、意欲減退、帰宅願望、昼夜逆転など)があった時

などになります。
そういった変化があれば、適宜モニタリングを行う必要があります。

◆介護職員の負担は大きい

繰り返しになりますが、
大切なことなので何度でも書きます。
余程能力がある人は別ですが、
私の場合、利用者1人のモニタリングに
1時間前後は掛かります。
状態の変化や特記事項に書くべきことが多い利用者はもっと時間が掛かります。
それくらい時間を掛けて
「やっとマシなモニタリング」が完成します。
もし、「10分で1人分やれ」
と言われたら

【食事面】
毎食、全量食べられている。
特に大きな変化なく今後も現状のまま継続していく。
【口腔面】
声掛けを行い自身で口腔ケアをされている。
特に大きな変化なく今後も現状のまま継続していく。
【排泄面】
リハビリパンツ着用。
最近、尿失禁の回数が増えてきた(1日2回~3回)。
今後も失禁頻度の確認を行い、様子を見ながら声掛けを行っていく。
【入浴面】
座位式機械浴で問題なく入浴出来ている。
今後も現状のまま継続していく。
【移動、起居動作面】
車椅子を自走して移動されている。
大きな変化なく今後も現状のまま継続していく。
【生活面】
レクや体操の声掛けをすると参加されている。
今後も声掛けを継続していく。

このようなモニタリングになってしまいます。
なんせ、時間が無いので詳しいデータを調べる時間もありません。
こういった内容のモニタリングを提出すると
「こんな薄っぺらい内容じゃダメだ」
「もっと記録やデータを調べて書け」
「問題点を見落としている」

などとケアマネや上司から言われてしまうでしょう。
しかし
「そんなことはわかっているのです」
10分しか時間がないと
こんな内容しか書けません。
暗に「サービス残業をやれ」と言っているのでしょうか。
モニタリングを作成している間にケアマネや上司が現場に立ってくれるというのでしょうか。
そんな配慮もないまま、
一方的に責められてしまうのが
介護職員の現状なのです。
適切な評価をして問題点や変更点を見つけ出し、今後の方針を検討していく上で、これでは利用者にも迷惑を掛けてしまいます。
そうならないように、現場業務が終わったあとに、サービス残業をしてモニタリングを作成している介護職員はまだまだ多いのではないでしょうか。
介護職員の業務負担は恐ろしく大きいのです。


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