インシデントレポートは「責任の追及をされる」ので書きづらい現実

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医療現場で、
・ヒヤっとしたこと
・ハッとしたこと

があれば
・ヒヤリ・ハット報告書
・インシデントレポート

などを作成します。
医療事故に繋がることがあれば
・事故報告書
・アクシデントレポート

を作成します。
介護現場でも同じで
私の施設では
・気づき
・ひやり・はっと
・インシデント
・事故

という4つの区分で報告書を作成しています。
【参考記事】
リスク報告書の改善策に事実を書けない理由とは?

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◆インシデントレポートの目的

本来の目的は
・再発防止
・情報の共有
・今後の注意喚起
・改善策の検討

ということになります。
『ハインリッヒの法則』という労働災害における経験則があります。

ハインリッヒの法則(ハインリッヒのほうそく、Heinrich’s law)は、労働災害における経験則の一つである。1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというもの。「ハインリッヒの災害トライアングル定理」または「傷害四角錐」とも呼ばれる。
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一件の大きな事故・災害の裏には、29件の軽微な事故・災害、そして300件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例)があるとされる。重大災害の防止のためには、事故や災害の発生が予測されたヒヤリ・ハットの段階で対処していくことが必要である。
【引用元】ウィキペディア

ですから、気づいた職員がどんどんインシデントレポートを書けば
「危険の少ないより良い環境や対応に近づく」
はずなのですが職員の本心は
「出来ることなら書きたくない、作成したくない」
という思いを持っている人が多いのです。

◆何故、書きたくないのか

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インシデントレポートはアクシデントの発生を未然に防げる可能性が高まるので、書けば書くほど良いはずなのに、何故書きたくないのでしょうか。

①作成する時間がない

現場業務で手一杯なので作成する時間がありません。
家族連絡はもちろん、改善策まで考えて作成せねばならず結構な手間になります。
でも、それも業務のひとつなので作成しないわけにはいきませんね。

②反省文や始末書のようになってしまう

インシデントレポートの目的はわかっているものの、いざ作成すると上司から
「何故、そんな対応をしたんだ」
「そんなことをしていたら事故になるのは当然だろ」
「もっとマトモな改善策を書け」
「いつからそんな状態だったんだ」

などと言われ本来の目的から逸れて「個人攻撃」のようになってしまいがちです。
もちろん上司も本来の目的はわかっているものの、どうしてもインシデント報告書ともなると神経質でピリピリした雰囲気になってしまいます。
そんな雰囲気では
・反省文
・始末書

を書かされている気分になり、自分が悪いわけでもないのに
・落ち込んだり
・気分が滅入ったり
・不愉快な思いをしたり
・悲しい気分になったり
・やり場のない虚しさに襲われたり

します。
上司や会社の雰囲気の責任もあるでしょうが、やはりどこの事業所も似たり寄ったりで、事故やアクシデントには相当ナイーブな環境が取り払えずにいるのが現状と言えます。
新しい試みで
「インシデントレポートを作成した職員には手当をつける」
という画期的なシステムを設けている事業所もあるようです。
お金が全てではないですが、
「自分が行っている業務が認められている」
と感じるシステムは良いやり方だと思います。

③本当の原因が書けない

本当の原因が「人員不足にある」場合が多々あります。
そう思っても改善策に書くことが出来ません。
詳しくは『リスク報告書の改善策に事実を書けない理由とは?』の記事に書いていますのでご参照下さい。
本当の原因が書けないのに
本当ではない原因を考えるのも大変な手間です。
報告書作成をするのが嫌になってしまう原因のひとつです。
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◆まずは「気づき」を増やそう

私の事業所では
「ひやり・はっと」の前段階で
「気づき」というものを設けています。
気づきとは
「あれ?いつもと違うな」
「あれ?こんな言動初めて見た」
「あれ?こんなこともあるんだ」

などという「あれ?」を書き溜めていきます。
この報告書には
・家族連絡
・改善策

は不要です。
現場職員にとっては取っ掛かりやすく気軽に書き溜められるので負担が少ないです。
もちろん、ヒヤリハットやアクシデントがあれば今まで通り報告書を作成しなければなりませんが、「気づき」が増えれば
・アクシデントの発生以前に情報を共有できる
・アクシデントを未然に防げる可能性が増える
・気づきの段階で対応が出来る

というメリットがあります。
気づきの例としては
「夜間、ベッド下の靴を揃えて置いていたはずなのに巡回すると靴がバラバラに置いてあった」
などです。
この場合、
・利用者が靴を履こうとした
・利用者が靴を履いて移動した

という予測や可能性が考えられます。
そういったものを書き溜めていくことも、大切なリスクマネジメントだと思います。

◆それもやっぱり事業所の雰囲気は大切

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「気づき」の書き溜めを頑張っていても
「これは気づきじゃなくてインシデントだろ」
「インシデントに書き直せ」

と言われることがあります。
それは内容によってはどちらかの判断が微妙なものがあり、その判断は「リスクマネジメント委員会」で行われます。
その判断は判断でいいのですが、
「その言い方なんとかなりませんか?」
っていうことです。
そういう事を言う人の報告書を見たことがありますが、
もの凄く内容の薄い報告書でした。
改善策も1行とかです。
自分の報告書はペラペラなのに、他人には内容の濃い充実した報告書を求めるのも無理があります。
内容が充実したものの方が良いのはわかりますが、
・人によって言われ方が違う
・人によって求められる内容が違う

ということの無いように
判断する人間の統一した対応と倫理観が必要になります。
結局は、「事業所の雰囲気次第」と言えます。


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コメント

  1. primex64 より:

    インシデント・レポートこそ、再発防止に向けたPDCAサイクルの端緒のはずが、ここの実態把握と分析で頓挫すると改善するものも改善せず同じことの繰り返しになります。通常は、同じことの繰り返しとならないよう他のユニットや他事業所へも横展開して教訓を活かしますよ。

  2. 山嵐 より:

    >primex64さん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    「通常」はおっしゃる通りですね。
    個人攻撃や責任の追及にならないように教訓を活かせる体制が必要ですね。