【新オレンジプラン解説(1)】「認知症サポーター」「オレンジリング」とは?

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最近は徐々に在宅介護を支える取り組みが活発化してきています。
被介護者が認知症の場合は特に、家族の負担は大きいと言えます。
在宅介護をすることによって
・介護者が仕事を続けられない
・収入が途絶えてしまう
・肉体的精神的負担
・孤独感

などの問題があり
自分の人生の殆どを犠牲にしたり、事件に発展してしまったり、重大な社会問題となっています。
そこで、政府は
・介護離職ゼロ
・新オレンジプラン

などの施策を講じています。

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◆社会全体で支える仕組み

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「介護離職ゼロ」と初めて聞いた時に、恥ずかしながら私は「介護職員の離職や退職を無くすためのプロジェクト」だと勘違いしていました。
実際は、
「在宅介護をしている家族が、仕事を辞めてまで介護をしなければならない状況を無くしていきましょう」
という目的の施策になります。
【参考記事】
『介護離職を防ぐ』政策は介護職員の為のものでは無かった
「新オレンジプラン」は、社会全体で認知症の人を支える「7つの柱」で構成されている政策になります。
在宅介護は
・職場や事業所
・介護支援事業所
・主治医
・介護サービス事業所
・地域
などの「社会全体で支えていく仕組み」
が推進されています。

◆「新オレンジプラン」の概要

先程「推進されている」と書きましたが、実際はまだ本格始動していません。
新オレンジプランの正式名称は
「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」
という政策です。
平成27年1月27日に「厚生労働省」が関係府省庁と共同で策定されました。
【関係府省庁】
・内閣官房
・内閣府
・警察庁
・金融庁
・消費者庁
・総務省
・法務省
・文部科学省
・農林水産省
・経済産業省
・国土交通省

研修を受講したり、プランの把握・周知や広報等、様々な準備や時間が必要なため、現在は暫定的に各市町村が主体で実施をしています。
要は「猶予期間」です。
その猶予期間が終わり、
「全ての市町村で実施されるのが2018年度から」
ということなので本格始動はこれからになります。
【厚生労働省発表】
・認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)
・認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)概要(PDFファイル)

◆認知症サポーターとは?

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「新オレンジプラン」が掲げる7つの柱の1つ目の政策に「認知症サポーターの養成」があります。

●認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進

【基本的な考え方】
・認知症は皆にとって身近な病気であることを、普及・啓発等を通じて改めて社会全体として確認していきます。
①広告等を通じ認知症への社会の理解を深めるための全国的なキャンペーンを展開します。
その際には、認知症の人が自らの言葉でメッセージを語る姿等を積極的に発信していきます。
②認知症サポーターの養成を進めるとともに、地域や職域など様々な場面で活躍できるような取組を推進していきます。
③学校において、高齢者との交流活動など、高齢社会の現状や認知症の人を含む高齢者への理解を深めるような教育を推進します。
【主な政策】
・認知症サポーター
【認知症サポーターとは】
・認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者です。
市町村や職場などで実施されている「認知症サポーター養成講座」を受講した人が「認知症サポーター」となります。
【養成講座の内容】
1.認知症とはどのようなものか
2.認知症の症状について(中核症状と周辺症状)
3.認知症の診断や治療について
4.認知症予防について
5.認知症の方に接する時の心構えと介護者の気持ちの理解について
6.認知症サポーターにできることとは?
※内容の変更などがされている場合もあります。
詳細は各市区町村へお問い合わせ下さい。
【受講対象者】
・誰でも(詳細は各市区町村へお尋ねください)
【受講方法】
・お住いの市区町村へお問い合わせ下さい。
【認知症サポーターの目標人数】
・800万人
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◆「認知症サポーター」と「オレンジリング」の解説

地方自治体などで実施している「認知症サポーター養成講座」を受講することで、「オレンジリング」というゴム製の腕輪が貰えます。
お勤め先が「医療系や福祉系」の場合は、職場で開講されることもあります。
↓「オレンジリング」とはこういうものです。
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要は研修を修了した証であり、この腕輪をしている人は認知症の人に対する一定の基本的な知識を持っているはずなので、
「街や近所で認知症の人がいればサポート、支援してあげて下さいね」
という政策です。
全国で800万人のサポーター養成を目標としていることから、相当大規模に受講を推進していくようになってくると思います。
街でオレンジリングをしている人を見掛けたら
「認知症サポーターだな」
ということがわかりますが、
今まで私はオレンジリングをしている人を1人も見たことがありません。
これは「養成講座を修了したサポーターの人がいない」ということではなく「オレンジリングを腕に着けて外を出歩く人がいない」ということだと思います。
かく言う私も、オレンジリングを持っていますが、身に着けたことは一度もありません。
せっかく貰った「認知症サポーターの印(しるし)」を何故身に着けないのでしょうか?
【考えられる理由】
・恥ずかしい
・リングが切れたらイヤ
・職場では外す必要があり手間

など個人個人で理由は色々あるでしょうが、そもそも論を申し上げようと思います。

そもそも①何アピール?

オレンジリングをしていれば認知症サポーター養成講座を修了したという証ですが、リングを装着することによって誰に何をアピールしているのでしょうか?
街行く人がオレンジリングをしている人を見て
「あの人は認知症サポーターなんだな」
とわかった所でそれ以上もそれ以下もありません。
認知症で支援が必要な人や困っている人が、わざわざオレンジリングを身に着けている人を探し出して助けを求めることも考えにくいです。
「社会全体で支えることが必要なのであって、オレンジリングを装着することが目的ではない」
ということになります。

そもそも②養成講座の内容が希薄

「認知症サポーター」などという名称だと相当な知識と経験を持っていそうですが、実際には
「約60分~90分の研修をたった1回受講しただけ」
になります。
正直言って、2時間足らずの研修を1回受講しただけで得られるものは限られています。
オレンジリングを配って終わりにするのではなく、その後その先のフォローアップをしていく事の方が大切ではないでしょうか。

そもそも③小学生でもサポーターになれる

義務教育から介護や認知症について教えていき、裾野を拡げていくことはとても良いことだと思います。
小学生でも養成講座を修了すればオレンジリングが貰えます。
「そのレベルの内容」なので、大人にすれば取っ掛かりやすい内容と言えますが、逆に考えれば大人にしてみれば「少し物足りないと感じる」かと思います。
つまり、「認知症サポーター」は何かをする役割ではないのです。
簡単に言えば、「認知症の人がこの地球上に存在していることを認める役割」になります。
何か対応をしたり介護をする必要もありません。
自分の出来る範囲で何かをしてあげてもいいし、何もしなくてもいいのです。
求められているのは自分自身の「理解、容認、受容」なのであって「活躍、能力発揮」ではないのです。
この点を勘違いしている人が多いように感じます。
「オレンジリングは心に身に着けるもの」
と言えます。

◆まとめ

「認知症サポーター」や「オレンジリング」は、地域住民や社会全体の意識改革という点では有効なのかもしれません。
今後更に増えていく認知症高齢者を社会全体で支える為に、様々な政策やプランが必要になってきます。
介護職員も人材不足のままで解消は難しそうですし、
・介護職員が不足しているから出来るだけ在宅介護を推進(建前は自立支援)
・タダで使えるものは何でも社会資源にしよう(建前は地域や社会全体で支える)

という政府の方針があります。
目先の数値目標800万人にだけ捉われるのではなく、本当の意味で社会全体で支えていける仕組みづくりが必要ではないでしょうか。
今回は「新オレンジプラン」の7つの柱のうちの1つ「認知症サポーター」について書きました。
今後、機会があれば残り6つの柱についても解説していきたいと思います。


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