【介護の仕事】老人の隠れたニーズの発見が難しい理由は?

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介護職員は日々の介護をしながら、
・記録を行い
・モニタリング等で評価や分析を行い
・それを以て他の関係専門職などと今後の対応や方針について検討を行う

というプロセスがあります。
モニタリングは本来、介護支援専門員(ケアマネジャー)が行うことになっているのですが、「解釈通知」によって「致し方がない理由がある時は他の職種がやっても良い」と解釈できる書き方がしてあるため、どこの事業所でも漏れなく介護職員がやっているのではないでしょうか。
【参考記事】
介護職員を苦しめる「モニタリング」について詳しく解説します

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◆心理面の評価と分析が難しい

見たまま、聞いたままを記録するにしても、それを評価分析する時に「心理面」が難しいと感じます。
認知症の利用者の場合は、不明だったり推し測れない場合があるため、致し方ないのですが、問題は認知症のない利用者です。
介護現場では認知症のない利用者の状態を
「クリア」
という言葉で表現しています。
つまり
・鮮明
・ハッキリしている
・認知能力がある
・認知症がない

という意味になります。
クリアな状態なのに、何故、心理面の分析が難しいのでしょうか?

◆心理状態の分析が難しい理由

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その理由は老人特有の
・わびさび
・遠慮
・心にも無いことを言う礼儀
・我慢や忍耐
・世間体を気にする
・昔気質
・負けん気

ということがあるからです。
例えばどんなことがあるでしょうか。

ケース①「お風呂は入りたくない」

女性利用者のAさんは入浴の声掛けをしても
「お風呂は入りたくない」
「今日はやめておく」

と言って入浴を拒否します。
理由を聞いても
「汗をかいていないから」
「お風呂の気分じゃない」

などと言って頑なに入浴しようとしません。
その言葉を真に受けると
・入浴が嫌い
・入浴の拒否がある人
・気分で入浴したりしなかったりする人

という判断をしがちです。
しかし、このパターンはよくあるのですが
・職員を替えて声掛け
・同性(女性)職員が対応

すると、すんなり入浴される場合があります。
つまり
「職員の人間性や介護方法を見極めている」
「男性職員に入浴介助されるなんて恥ずかしい」

などの隠された心理があります。
人員不足の状況の中で
・特定の職員の対応
・同性職員の対応

が出来るか出来ないかは別にして、
Bさんの隠されたニーズを発見し、対応可能かどうかを検討していくのがプロの仕事と言えます。

ケース②「おやつはいらない」

男性利用者のBさんは、3食残さず食べるのに、おやつはいつも食べません。
理由を聞くと
「甘いものは好きではない」
「ワシはいいし、他の人にあげて」

などと言います。
その言葉を素直にそのまま受け止めると
・甘いものが好きではない
・おやつはいらない

という分析になります。
しかし、それは本当の理由ではない場合があります。
そこでぶったぎってしまうか、もっと深く心理面を探っていくかが「介護の質」と言えます。
おやつを居室に持っていき、
「いらなかったら残しといて下さい」
と伝えます。
※居室配膳までしておやつを提供するべきかどうか、という議論は今回は横に置いておきます。
暫くして様子を見に行くと、全部食べていたということがあります。
この場合、Bさんの隠された心理として
「男が甘いものを人前で食べるなんて恥ずかしい」
「男なのに甘いものが好きだと言いづらい」
「誰も見ていない居室なら気兼ねなく食べられる」

ということがあった可能性があります。
そうなると分析結果が変わってきますね。
・実は甘いものが好き
・人前でおやつを食べるのが恥ずかしい
・誰もいない所でならおやつを食べる

となります。
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◆隠れたニーズを見つけるために必要なこと

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老人特有の理由があり
「隠れたニーズを発見し、心理状態を分析するのは難しい」
と書きましたが、もう1つそれが難しい理由があります。
それは介護職員の「人員不足」です。
隠れたニーズを発見し分析するためには
・利用者との人間関係(適切な距離感)
・利用者と接する機会(適切なタイミング)
・利用者をじっくり観察する時間
・それらを記録する時間

が必要不可欠です。
しかし、残念ながら現状では人員不足により、利用者とゆっくり会話をしたり観察をしたり記録をする時間がありません。
ユニットケアや個別ケアの推進により「狭く深く」を求められているのですが、実際の現場では「広く浅く」がやっとの現状です。
・ユニットケア推進も失敗し
・人員不足も解消出来ず
・闇雲な自立支援を推し進めることで利用者と現場職員に負担を掛け
・介護職員の資質の向上どころか事故や事件を多発させ
・夢や希望や将来性もキャリアパスも無く
・やりがいさえも搾取しているのが介護業界です。

明確で深刻な問題点が眼前に迫っているのに何の解決もしない(できない)人達に、
「利用者の隠れたニーズを発見し分析しろ」
などと言われても
「それは大変難しい」
「難しいというか図々しい」

と言いたくなってしまいます。


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