「夜勤に介護ロボットの導入で加算」の真実→「ふざけてる」

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2018年度の介護報酬改定に新たに加わった加算がいくつかあります。
その中でも夜勤の加算要件である「介護ロボットの導入」について記事を書きたいと思います。

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◆加算要件は?

今回の改定で「最低基準よりも1人以上多く置いた場合」という加算要件に以下の2つの要件を追加しようとしています。
1.ベッド上の入所者の動向を検知できる見守りロボットを、入所者数の15%以上に設置している場合
2.見守りロボットを安全かつ有効に活かすための委員会を設置し、必要な検討を行っている場合

この両方を満たしている場合に、夜勤職員の数が最低基準を0.9人上回っていれば取得できるようにするとしています。
【引用元】厚生労働省 社保審-介護給付費分科会 第153回(H29.11.29) 資料5(PDF)

加算はありがたいことなのですが、どうも昨今の介護報酬は加算に頼りがちです。
「加算に頼る」ということは、我々の給料で言えば「手当に頼る」と同義です。
つまり、加算という手当が無いと、著しく低い介護報酬になってしまうという現実があります。
加算を取る為には、事業所や現場職員の負担を増やす行為になるので、報酬が増えて当然なのですが、一番の闇は
「その加算は現場職員に行き渡らないのに負担だけが増える」
という所にあります。
事業所は現場に更に負担を強いて加算を取ろうとするでしょう。
加算という見返りがあるからです。
しかし、現場職員には何の見返りも確約されていません。
加算ばかり増やすよりも、基本報酬を増やして(給料で言えば基本給)、現場職員までその対価が行き届くシステムを構築する必要があると思います。
現状の「ハイリスクローリターン」ではいつまで経っても人員不足は解決しないことでしょう。

◆介護ロボットの導入は業務負担を軽減できる?

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介護ロボットやAIの導入に期待が寄せられています。
夜間に「加算要件に見合う割合の介護ロボットを導入すれば加算が貰える」ということなので、介護職員にとっても朗報に見えます。
「介護ロボット」と聞くと、「Pepper(ペッパー)くん」のような人型のロボットを想像します。
「それの進化型なのか」
「マンパワーを温存できる導入になるのか」
「装着型の力学ロボットかもしれないな」

などと期待は膨らみます。
きっと皆さんもそういうものを想像していることでしょう。
しかし、真実は想像を下方修正せざるを得ないものでした。
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◆「ふざけている」介護ロボットの真実

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介護報酬改定に伴う説明会に出席した医務(兼ケアマネ兼生活相談員)課長が私の所に来てこう言いました。
「ショートは今、センサーマット何台ある?」
私は
「1台使ってます」
と答えました。
「そうかぁ。じゃあ、あと施設全体で5台あれば加算が取れるな」
「………え?」
課長「介護ロボットが入所者数の15%以上あれば加算が取れるの。知らないのか?」
「知っていますが………まさか介護ロボットってセンサーのことですか???」
課長「そう」
驚愕してしまいました。
現状で厚生労働省が言う「介護ロボット」とは
・センサーコール
・センサーマット
・サイドセンサー

等の感知式の介護用品のことだったのです。
「センサー」とは利用者の動きを感知してナースコールが鳴る仕組みの介護用品です。
マットの場合は利用者が足で踏んずけた際にコールが鳴り、サイドの場合は利用者がベッドに端坐位になる等の負荷を掛けるとコールが鳴る仕組みです。
もちろん、そのコールが鳴ったあとは、介護職員が駆けつけて対応をします。
今までも既に何度も使用している代物になります。
「まさか…その介護用品が介護ロボットというものだったなんて」
「介護ロボットを既にうちの施設は早々に導入していたなんて」
「センサーを増やすことが加算要件だったなんて」

カルチャーショックにも似たショックを受けてしまいました。
「センサーの台数が増えた所で業務負担は何ら変わらないのに…」
「むしろ業務負担は増えるのに…」
「ふざけてる!」

という気持ちでいっぱいになってしまいました。
脳裏に
「竹やりでB-29戦闘機に応戦する日本兵」
を思い浮かべてしまいました。
「一億総活躍社会の実現」という方針が「進め一億火の玉だ」となり、国民を特攻させて玉砕させる政策でないことを切に願いたいと思います。


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コメント

  1. サイモン より:

    おつかれさまです。
    センサーがないと夜間大けがをしそうな人は、
    ベッドではなく畳の部屋で寝て欲しいですね。
    少なくとも落ちる危険がなくなりますし。
    現実的にはトイレ介助が難しくなることや拘束の問題等あり、
    導入が難しい対応策になりますが…
    そこらへんのハードルを柔軟にしてもらう方が、
    夜勤職員への負担を軽減できると思います。

  2. 現役保険営業マン より:

    こんばんは。
    センサー検知式の介護用品に振り回されて、夜勤職員の精神が崩壊したり、うんざりした職員が、自分の心を守るためにセンサーを切ってしまい、本当に必要な時の対応ができなくなったりするリスクが高まる思うのは私だけでしょうか…。

  3. 山嵐 より:

    >サイモンさん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    リスクを孕んでいる利用者には畳対応もありですね。
    利用者や家族だって怪我や事故は嫌でしょうから、双方にメリットがあると思います。
    ちなみにうちの施設ではそういう場合は「畳対応あり」です。

  4. 山嵐 より:

    >現役保険営業マンさん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    職員の判断で「センサーを切ってしまう」ということはあり得ると思います。
    どちらに転んでも修羅場となりますね。

  5. ショートスタッフ より:

    介護ロボットなんてものが当てになるなんてもちろん思ってはいませんでしたが、まさかのセンサーマットとは。
    センサーマットを使用している施設の現場職員が一斉にズコーッと転けたことでしょう…
    夜間のセンサー音とコール音が重なり、更に事故報告書の枚数が増えるんですね。
    畳も腰を痛めるので増えても厳しいですよ。
    お国は家族希望であっても4点柵を介護施設では許してくれませんが
    それこそ利用者にも介護者にも虐待だと思うんですよ…。
    部屋の回転率を上げたいんでしょうかね…

  6. 山嵐 より:

    >ショートスタッフさん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    畳からの移乗は腰の負担が大きいのも確かですね。
    そうなると二人介助になるかと思います。
    「逆差別」という言葉があるように「逆虐待」というものも確かに存在しますね。
    4点柵をしても高跳びのように飛び越える利用者もいますが、とどのつまりは「安全安心」が一番大切ですよね。

  7. 介護士夫婦 より:

    初めましてコメント失礼致します。
    余りに衝撃的過ぎて笑ってしまいました。
    介護ロボットって移乗とかの介護職が腰とか痛めがちなケアを担ってくれるのか?と思っていましたが、まさかのセンサーマット・センサーコール!
    一気に脱力しました。
    政治家さんがこれでは介護現場よくならないはずです。

  8. 山嵐 より:

    >介護士夫婦さん
    はじめまして、こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    そうですね、脱力してしまいますね><
    まだまだ全然科学が追い付いていないようです。
    センサー反応が頻発する夜勤は地獄ですね…。

  9. とも より:

    こんばんは
    私の勤務先では、センサーすら用意してもらえません。夜間、一人でトイレに行ってしまう人、コールを使えない人にも。
    上の人は
    「センサーに頼ると見に行かないから、介護の質が下がる」
    「まだ対策はあるはずだ」
    など、どこかずれてます
    介護ロボット…青い万能ロボットやパワースーツが欲しいです笑

  10. 山嵐 より:

    >ともさん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    センサー乱発も困りますが、本当に必要な利用者へ使用できないのも困りますね。
    見に行っててもタイミングがズレて事故に繋がることもありますし、そういう配慮ができないのは恐らく「お金」の問題もあるのでしょう。
    我々が「想像していたロボット」はまだまだ先の未来の話になりそうですね。

  11. アングラー より:

    >ともさん
    横から失礼します。その上司には是非ともその対策とやらを現場に入ってもらい示していただきたいものですね!

  12. ろーどぶりてぃっしゅ より:

    厚生労働省は「 介護ロボット重点分野別 講師養成テキスト 」 にて、

    『現在介護施設で使用されている認知症老人徘徊感知機器(以下センサー)は、
    身体拘束禁止規定※があるにもかかわらず、
    3つの要件(一時性・非代替性・切迫性)を満たすことなく、
    ” 安全・安心“という名のもとに安易に使用され、人権を侵している現状があります。』

    との記述のあるテキストを刊行しています。
    センサー導入がスピーチロックにつながる危険が・・・、の記述なら納得できるのですが、この記述ではセンサー導入=人権侵害と読め、厚労省としてはセンサー導入に反対しているように思えてしまいます。

    • 山嵐 より:

      >ろーどぶりてぃっしゅさん

      こんにちは~
      コメントありがとうございます^^

      身体拘束の研修でもセンサーは拘束に当たる旨のことを教えています。
      その反面、在宅や施設でセンサーの導入を推進したり推奨したりしています(恐らく「効果的に」「適切に」使用しなさい、という意味でしょうが)。

      言っていることとやっていることが矛盾だらけで現場は混乱してしまいますね。

      • とも より:

        こんにちは
        センサーマットは拘束なんですね笑
        はずすの前提で考える奴等の理由はここにありって感じですね
        「センサーに頼ってはいけない」と言う偉そうな職員さんに「あなたは青信号の交差点に徐行で進入するのですか?」と聞きました。そしたら「それはしないけど、センサーも絶対はない」と返されたので「職員にも絶対はないんじゃない?」脚の速さもありますから笑と返しました。少しやりとりしたけど、言いくるめられないと思ったのか「うちは拘束廃止目指すから」と言ったので「当然ですよ、入居者の意図ある行動を制限してはいけませんから」とニコッと返したら、顔を真っ赤にして戻っていきました。

        • 山嵐 より:

          >ともさん

          こんばんは~
          コメントありがとうございます^^

          そうなんですよね~
          はずす前提とか、身体拘束って言うなら、何故センサーが存在するのかってことですよね。
          「必要悪」ってことでしょうかね。
          その辺を上手く理解した上で、効果的に使用していけばいいと思います。

          ともさんの日常の様子がもの凄く鮮明に見えて痛み入ります。
          お疲れ様です^^