要支援者向けの介護サービスをボランティアが担っていく財務省の方針について

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要支援者向けの訪問介護(ホームヘルプサービス)と通所介護(デイサービス)は今後は主にボランティアが担っていくこととなり「この事業から撤退した事業所が676市区町村あった」というニュースです。
4月11日に財務省財政制度等審議会の分科会であがった提案を受け、厚生労働省が4月12日の参院厚労委員会理事会に調査結果を提出しました。

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◆ニュース概要

要支援向け介護の事業者、676市区町村で撤退意向
介護保険で「要支援」の人向けの訪問介護と通所介護が全国一律のサービスから市区町村の独自事業に移行したことに伴って、この事業から撤退の意向を示した事業所が676市区町村にあったことがわかった。
 厚生労働省が12日の参院厚労委員会理事会に調査結果を提出した。市区町村への移行は2015年度に始まり、今年3月末までに全て移管した。今後は自治体が独自にサービス内容や価格を決め、事業者やボランティアなどに担ってもらう。給付費抑制や、介護福祉士ら専門職を重度者に重点配置する狙いがある。
 4月6日時点で、33市区町村を除く1708市区町村が回答。撤退の理由は、もともと利用者がいないことなどが挙げられていたという。また、重度者に比べて報酬が低いことの影響もあるとみられる。
 利用継続のため別の事業者に引き継ぐなど調整が必要になったのは、83市区町村の610人。このうち607人は別事業者で利用を続けたり、利用をやめたりしたが、内訳はわかっていない。残る3人については調整がついていない。
 一部地域で撤退を決めた介護事業最大手のニチイ学館は、「人手が足りず、国が中重度者向けサービスを重視している中、方針に沿ったサービスを優先せざるを得ない」(広報)と話している。
【引用元】朝日新聞デジタル

◆今後は主にボランティアで担っていく

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国の方針として、介護保険財源を抑えるために、今後は「ボランティア」などで要支援者へのサービスを担っていくようです。
もちろん、この事業を今後も継続する介護事業所や新規に参入する事業所は介護職員がサービスを提供するのでしょうが、国の方針から鑑みて
「そんな事業所は経営手腕が無い」
と言い切れます。
何故なら無償のボランティアを起用するくらいなのですから「介護報酬が著しく安い」のです。
介護報酬が著しく安いということは「介護職員にも満足な給料は支払えない」ということになります。
そんな安い給料では誰も働きたいとは思わないので介護職員が益々集まりませんし、仮に集まっても「儲けがほとんど無い」ということが目に見えています。
そうなると「撤退という選択が最善最良」ということになります。
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◆ボランティアの問題点

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現場を知らない人達が決めた方針なので様々な問題点があります。

問題点① そもそも「ボランティアが集まるのか」

ボランティアですから時給や給料は発生しません。
各市区町村が独自の料金設定を行い補助をするにしても、大手事業所が「撤退」という事実は
「採算が取れるものではない」
ということを雄弁に物語っています。
「今日仕事が終わったらボランティア宜しく」
「明日ボランティア宜しく」
「今度の休日にボランティア宜しく」

と言われて行ける人が何人いるでしょうか。
働き盛りの世代では、なかなか二つ返事をしがたいものがあるかと思います。
そうなると
・ボランティア団体
・NPO法人
・定年退職した人
・隠居生活をしている人

などが担っていくということになるのでしょう。
仮に集まったとしても「老老介護の推進」かのような方針に見えてしまいます。

問題点② 「安定したサービスが提供できるのか」

ボランティアといえども、サービスを提供するからには
「今回は出来たけど次回は出来るかわからない」
ということがあってはなりません。
それでは安定したサービスの提供ができないことになり、利用者に迷惑を掛けてしまいます。
しかし、あくまで「ボランティアなので、安定したサービスが提供できなくてもご愛嬌」という方針なのでしょうか。

問題点③ 「介護の専門性は図れるのか」

介護にも専門性があります。
そう教えられて様々な研修を受講したり、資格を取ってきたはずです。
「介護の専門知識がないボランティアでも担える」
ということになれば
「要支援者に対しては専門性が不要だった」
若しくは
「介護には元々専門性など無かった」
ということを国が認めてしまうことになります。
要支援者にも認知症者は存在しますし、転倒等のアクシデントが発生したり、体調が急変することもあり得ます。
「何が起こるかわからない現場の対応をするのが介護職員の専門性」
と言い換えられます。
そういった専門性も「ボランティアだから適切な対応が出来なくてもご愛嬌」という方針なのでしょうか。

◆迷走続きの政府の方針

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介護職員の人材不足と財源不足に悩む政府は現場の現状さえ知ろうとせず迷走を続けています。
2025年問題(団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になり被介護者パラダイスとなる問題)に向けて「施設介護」から「在宅介護」へのサービスの切り替えを行っているのに、介護施設を乱立させています。
その介護施設には待遇や環境が悪く中身(職員や質の高いサービス)が存在しません。
夜勤の見守りロボットの導入の真実然りです。
【参考記事】
「夜勤に介護ロボットの導入で加算」の真実→「ふざけてる」
在宅介護を推進しながら、居宅介護サービスを提供する介護職員は介護施設の介護職員よりも収入が遥かに劣る待遇しか用意せず、一体何がしたいのかさっぱり理解できません。
その迷走によって本当に苦しんでいるのは介護職員であり利用者であることをもっと知って欲しいと思います。
「国のお偉いさんは現場で介護を経験してから方針を決めろ」
と言いたいのは山々ですが、そういう声だけは何故か届かないようです。
ちなみに
「介護職員処遇改善手当」がマトモに手元にきませんが、どうなっているのでしょうか?
そろそろ「事業所の柔軟な運用に任せる」方針はやめて頂きたいものです。
ボランティアで浮いた財源を介護職員に回す方針をお待ちしております。


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