介護施設における「介護職員VS看護師」の構図と、そうなってしまう原因をわかりやすく解説します

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介護施設は基本的に日常生活の延長線上の「自立支援」にあるので、「被介護者」と「介護者」がメインになります。
「被介護者」=「利用者」
「介護者」=「介護職員」

ということになります。
病院などの医療機関とは違い「治療を目的としていない」という点で、介護施設の花形選手は「介護職員」であると言えます。
【参考記事】
介護職は花形選手であるべき
介護施設の中にも「介護老人保健施設(老健)」のように、「要介護高齢者にリハビリ等を提供し在宅復帰を目指す施設」も存在します。
こういった施設の目的は「医療的ケアとリハビリ」になるので、人員配置基準によって「特別養護老人ホーム(特養)」などよりも看護師が多く配置されます。
病院や老健などの治療や医療的ケアを目的とする事業所の花形選手は「看護師」と言えます。
ですから施設形態によって目的が違ってくるのですが、今回は
「日常生活の延長線上にある施設」
「自立支援を目的とした施設」
「介護職員が花形選手であるはずの施設」

における看護師について考察していきたいと思います。

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◆看護師とは

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看護師とは、傷病者の看護および療養上の世話、医師の診療の補助を職業とする者。国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けた者。
【出典】デジタル大辞泉

医療行為を行える国家資格者である看護師は、その活躍の場も多く
・病院や診療所などの医療機関
・特養や老健などの介護保険施設
・有料老人ホームやグループホームなどの老人介護施設
・デイサービスやデイケアなどの通所サービス事業所
・訪問看護などの訪問サービス事業所
・企業の医務室や保育園
・発展途上国での医療支援

等など多岐に渡ります。
収入面に関しては
病院などの夜勤がある職場に勤務すると
「手取りで30万円」
は下らないでしょう。
活躍の場の広さや収入面で見ると、さすが「業務独占の資格」らしい待遇があります。
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◆介護施設に勤務する看護師とは

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看護師の勤務先ですぐに思い付くのは「病院」です。
その病院の中でも、「救急外来」や「外科病棟」などは看護師にとっては最前線の現場と言えます。
想像を絶する激務の中で看護師資格をフルに活用し医療現場を支えます。
そんな中、日常生活介護がメインの介護施設の看護師はどのような業務があるのでしょうか。
・配薬等の服薬管理
・入居者の健康チェックや日常で必要な医療行為
・入居者の体調に異変があった場合の応急処置
・病院に行くか救急車を呼ぶか等の判断
・夜間に看護師不在時の緊急対応を介護職員への指示出しする

などになります。
あくまで「日常生活レベル」での医療行為であったり、「医療的判断や指示出し」になるので、病院等の医療機関の看護師とは似て非なるものとなります。
病院の看護師が救急車を呼ぶかの判断はしませんし(既にそこが病院なので)、緊急時は看護師自ら動く必要があります。
介護施設の場合は、緊急時に看護師も動いてくれる場合もありますが、殆どの場合は介護職員が看護師の指示のもとに動きます。
看護師の出来る範囲が限られているからです。
介護施設で急性期の疾病の治療は出来ないので、最終的には
・医療機関を受診するのかしないのか
・救急搬送するのかしないのか

という判断しか残されていません。
介護施設の看護師は夜勤が無い場合が多く、通常は「オンコール体制」となり、当番制で何かあった時に電話を受けるシステムが取られています。
その分、病院等の夜勤がある看護師と比べて「給料が安い」というのも特徴です。
主観ですが、
「夜勤月5回の介護職員の給料≒夜勤無しの介護施設の看護師の給料」
という方程式はあながち間違っていないと思います。

◆何故、介護施設で看護師をするのか

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看護師はこれだけ活躍の場が多くあり、最前線の現場に出ればお給料も沢山貰える職種です。
それなのに、何故、給料が低い介護施設をわざわざ選んで働いているのでしょうか。
もちろん
「老人介護に携わりたい」
という純粋な気持ちもあるのでしょうが、本質にはもっと違う理由があるように思います。
「医療現場の最前線で働く自信がない」
「医療現場では自分の身体がもたない」
「介護施設での日常的な医療行為で精一杯」
「給料が安くても肉体的精神的負担の少ない職場が良い」

という考えの看護師が多いように思います。

◆「介護職員VS看護師」の構図は何故生まれてしまうのか

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もっと突っ込んで考察すると
「介護職員に指示出し出来る優越感を味わいたい」
「他職種より優位な立場にいられる職場で働きたい」

と思っている看護師も少なからず存在します。
そう思っている看護師がいる職場ほど
介護職員VS看護師
という対立の関係が出来やすいのが現状です。
何故なら、最初に申し上げた通り本来は介護施設においては「介護職員が花形選手」のはずです。
その不文律を「看護師の方が優位で上位に位置する専門職だ」と勘違いしている人が存在することで、対立の関係が生まれてしまうのです。
「文句や愚痴があるなら看護師になればいい」
などと暴論をぶつけてくる人もいますが
「そもそも看護師は介護職の上位職ではない」
という事実を知ることの方が先決だと思います。
確かに現状では
「業務独占と名称独占の差」
「業務範囲と収入の格差」

が存在しているので思考を停止させてしまえば
「介護職員になるより看護師になる方が良い」
と単純に考えてしまうのもわかります。
しかしその思考は頭が固いと思います。
介護職員は介護職員の専門性がありますし、そもそも「上位職だとか優位な立場」という考え方がナンセンスです。
介護職員は介護職員の専門性を追求していく必要があると思いますし、お互いが専門職としてリスペクトしあって協働していかなければ、チームケアも利用者の幸せの追求も成り立たないのです。
もし仮に介護職員から抜け出したいと思っているなら、「看護師になる」という選択肢だけではありません。
・介護支援専門員(ケアマネ)
・社会福祉士
・リハビリ職(PTやOTなど)

という選択肢もありますし、もっと頭を柔らかくすれば
・経営者
・法律家

などという他業種への転身も考えられます。
井の中の蛙でいるよりも、もっと視野を広げてお互いが気持ちよく働ける職場が利用者にとっても良い介護施設だと言えます。


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コメント

  1. MASK より:

    他施設の看護師さんがどんなふうに働いてるのか知りたい・・・。
    うちの職場では配薬は一切手つけず介護職員が配薬してます。
    しかも薬セットミスが多くて、介護職員が最終チェックしてます。
    多い時は1日に看護師5人居た時がありましたが、
    それでも忙しい忙しいって言ってます。
    何が忙しいのか全くわからないんですけど(苦笑)
    ついでですが、ショートステイという名のロングステイ利用者何人居ますか?
    退所未定のショートステイが10人以上居るのですが、
    どこもそんな感じなのでしょうか?

  2. 山嵐 より:

    >MASKさん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    うちも基本的には看護師がセットした薬を介護士が配薬して与薬する形ですね。
    介護士が忙しく手が回らない時は手伝ってくれる看護師もいますが、それも看護師によります。つまり個々の人間性っていうことになりますね。
    うちには現状でロングショートステイは4人です。
    8人くらいいた時もあったのでだいぶ減った方です。
    基本的に同じ施設の特養が入所判定をして本入所に持っていきますが、優先度(点数)の高い順と言いながら、問題行動が著しい利用者や家族に問題(クレーマー等)がある場合は
    「判定結果の末、優先度が高くないと判断されました」
    という体裁でなかなか本入所までこぎつけられない印象です。

  3. とも より:

    こんばんは、山嵐さん
    特養で働いていますが、だいたい同じような感じですね。対立の構図はほぼないですが笑
    しかし、転職組の私は看護師の働きぶりにイライラしてしまうことも多々
    配薬のミス、看護師によって違う指示、忙しいの連発、利用者を興奮させる声かけ・処置など、どうしてそうなるか理解できないことばっかり
    介護福祉士様も似たり寄ったりですけどね
    資格にふさわしい仕事ぶりに期待する毎日です

  4. 山嵐 より:

    >ともさん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    そうなんですね。
    やはりどこも似たり寄ったりですか。
    専門職同士が補い合ったりフォローしていけるチームでありたいですね。

  5. MASK より:

    看護師の年代ってどのくらいですか?
    もう退職しましたが、80代90代の看護師が居ました(^^;
    今は60~70代です。
    忙しいのは、おしゃべりに忙しいんでしょ~って思ってますw
    あと役割分担出来てなくて、「目薬やった?」「インスリン打った?」って、
    下手したら、やったのに違う人がまたやるっていう事も・・・。
    湿布貼ったり軟膏塗る時、
    周りに他の利用者居るのに服めくりあげてやってた事もあって、
    えぇ??ってなる事も度々ありました。
    プライドが高いというより我が強い人が多い。。
    対立というか、何でそーゆー事平気でやれるの~?って事があって、
    ほんとに看護師??って思う事が良くあります。

  6. 山嵐 より:

    >MASKさん
    おはようございます。
    コメントありがとうございます^^
    うちの場合は平均50歳代ですかね。
    インスリンの二重打ちは命に関わりますね。
    完全に医療ミス、事故ですね><

  7. ダメ人間 より:

    こんにちは。
    山嵐さんの書き込みを見て、ふと疑問に思った事があります。
    >基本的に同じ施設の特養が入所判定をして本入所に持っていきますが、
    >優先度(点数)の高い順と言いながら、問題行動が著しい利用者や家族
    >に問題(クレーマー等)がある場合は
    >「判定結果の末、優先度が高くないと判断されました」
    >という体裁でなかなか本入所までこぎつけられない印象です。
    俗にいう困難事例な利用者かもしれませんが、そうゆう方々をポコポコ受け入れていると、現場側=介護職員側からの反発ってありませんか?
    またfa側に問題=クレーマーがあると、訳分らない主張で現場職員が疲弊しメンタルと病むというリスクや、訴訟リスクもあると思いますし。
    何処の事業所も重説で例えばリスク回避の部分で、利用者側・Fa側共に問題行動があった場合などは利用中止や、他利用者に被害が被る場合は利用中止などの文面が明記されていると思います。
    でも相談員や管理者など上職側が、例えば
    ・お金を出してる訳だから、何でもこちら側の主張を受け入れろ
    ・うちの親が言ってる事は何でも受け入れて、対応も1番手でよろしくね
    など過剰なサービスを要求する利用者・Faを、生ポの水際作戦みたいに現場に入れる前から止めてしまわないと、現場職員が疲弊すると思うのですが。
    嘘か本当か?分らないですけど、某外資系企業の小売店にて過剰なサービスを要求したお客に対し、現場責任者がお客に対して反論し喝を入れた話し、ありましたよね?
    この国の福祉って
    ・福祉でお金の話しはナンセンス
    ・暴力やセクハラに関しては犯罪ではなく、職員の対応が悪い
    みたいな斜め上の訳分らない雰囲気がありますけど、需要に対して人材不足など供給側に著しい問題がある場合、この様に過剰なサービスを要求してくる者に対しては、ちゃんとした対応=リスク回避が必要だと思うのです。
    お仕事をくれるケアマネ様=元請側の気分を悪くしない様に、その配分=塩梅は難しいかと思いますが、そうでもしないとヤバくないですか?
    でも経営が厳しく困難事例な利用者を多々受け入れる事業所もありますから、そこにぶん投げてそこでも利用中止になって、近郊地域では受け入れ不可になった素晴らしい利用者もいるかと思いますが、そんな事まで心配する必要はないと思いますww

  8. 山嵐 より:

    >ダメ人間さん
    おはようございます。
    コメントありがとうございます^^
    困難事例の利用者の入所は現場職員にとっても負担になるので反発はあります。
    だからこそ施設側も本入所を敬遠している内情があるのだと思います。
    そうなると、困難事例の利用者を最初に受け入れる最前線の事業所が「ショートステイ」になります。
    特養側はまずショートステイでどんな利用者か、どんな家族かということを見極めます。
    ショートステイは緊急枠さえ設けているので、困難事例でも一旦は受け入れざるを得ない状況にあります。
    そもそも実際受け入れてみなければ問題の有無がわからないことも多いので、ショートステイがフィルターの役目を担っていると言えます。
    重説記載の利用者側の問題での利用中止については、ほぼ機能していない状態なのが現状かと思います。
    やはり経営者や業界の「困難事例を受け入れるのが福祉だ」というような考え方が未だ蔓延しているのがその理由になります。
    まだまだ現場の意見よりもそういう経営者側の「実績作り」や業界内の「偽善的福祉観」が優先されているのが現実です。