【2035年には介護士79万人不足】「益々介護士の価値が高まる」という虚像のイメージアップ大作戦

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経済産業省(経産省)が2035年には介護士が79万人不足するという試算を出しました。

介護に携わる人材の不足が、2035年に15年の約20倍の79万人に達することが7日、分かった。高齢化の進展に加え、政府が目指す介護離職解消の過程でサービスの需要が急増するため。人材不足解消に向け、高齢者の社会参加を促して要介護とならないための予防や、介護分野に就労しやすい環境整備が急務となる。

経済産業省の試算によると、介護関連の従事者数は15年が183万人で人材不足は4万人だった。しかし、25年には供給が215万人で不足は43万人に拡大。さらに団塊世代が85歳を超える35年には供給が228万人で不足が79万人に膨らむとした。

要介護者をゼロにできれば、高齢者が教養娯楽費や外出のための交通費、被服費などにお金を使うため、15年の消費を最大1.7兆円喚起できたのも試算した。

経産省は要介護者とならないように予防するためには、民間企業が高齢者が参加したいと思うような娯楽サービスなどを創出することや、そうした場の情報提供を活発にすることが必要とみている。

介護士などの専門的な人材とは別に、施設などの介護現場でより簡単で補助的な仕事に携わる「介護サポーター」を導入することで、人材確保につながるとしている。

政府は、家族の介護が必要でも仕事と両立できる「介護離職ゼロ」を目標に掲げており、人材確保は喫緊の課題。経産省は厚生労働省など他省庁と連携し、人材不足解消を目指す。

【引用元】SankeiBiz 2018.5.8 06:11

介護に携わる人材の不足が、2035年に15年の約20倍の79万人に達することが7日、分かった。高齢化の進展に加え、政府が目指す介護離職解消の過程でサービスの需要…

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◆介護士不足の見通し

国や業界を挙げて介護職員の人材確保に取り組んでいるようですが、未だ顕著な改善は行われていません。

介護職員が2025年に向けて未だ37.7万人も不足している理由とは?』の記事にも書きましたが、恐ろしい数の人材が足りません。

少しずつは人材確保が進んでいるかと思いきや、
「2035年には79万人の介護士が足りない」
という推計が先日経産省から発表されました。

いくら確保しても焼け石に水状態です。

私の主観ですが
「確保どころか辞めていく介護士の方が多いのではないか」
とさえ感じています。

この推計を見る限り
「このままでは介護職員の人材確保は絶望的」
と言っても過言ではありません。

何故、介護職員はどんどん辞めていくのでしょうか。

◆「辞めていく理由トップ3」とその共通点

介護職員を辞める理由のトップ3が
「人間関係の劣悪さ」
「低賃金」
「社会的地位の低さ」

になるかと思います。

この3つの理由だけを見ると
「介護の仕事自体が嫌になって辞めるわけではない」
という共通点があります。

悲しい現実ですが
「辞めたくなくても辞めざるを得ない」
という環境なのが介護業界だと言えます。

逆に考えれば
「辞めていく理由を排除し改善していけば人材確保に繋がる」
という答えが容易に導き出せます。

◆虚像のイメージアップ大作戦に走る

人間関係と収入面と社会的地位を改善していけば、人材確保も夢ではないのは誰が見ても明らかです。

しかし国や業界はその根本的なことには手をつけようとせず、イメージだけアップさせポジティブなことを言って人材確保をしようとしています。

「これだけ人材不足なのだから、介護士の価値は益々高まる」
「今後益々、必要とされる将来性のある職業です」
「だから是非、介護士になりましょう!」

というようなことを謳い始めています。

そこに大きな虚像と図々しさが見えてしまいます。

確かに、需要と供給のバランスで、需要が高まれば供給(介護職員)の「価値」は上がります。
野菜や果物でもそうですが、供給する側の生産数が需要に追い付かない場合は価格が高騰します。
このバランスは間違いのない所かと思います。

しかし、介護職員の場合、需要が高まって介護職員の価値が上がっていくのにも関わらず、価格(収入)は高騰しません。

価値が高まった分だけ収入も高まるのが普通のはずです。

収入が高騰する見通しや政策や確約が無いのにも関わらず、言葉巧みに
「今後益々介護職員の価値は高まりますよ~」
などと言うのは虚像でしかありません。

「将来性」という点で言えば、市場規模が拡大しそこに従事している人達も心身的にも経済的にも潤っていくことだと認識しています。

しかし、国や業界が言う「介護職員の将来性」とは、介護職員に潤いを与えるものではなく
「潤いは与えてあげれないけど、失業したり無くなったりしない安定した職業だよ」
という意味の将来性のことです。

内情を知らない人が聞いたら
「価値が高まる職業」
「将来性のある職業」

だと信じこんでしまうかもしれません。

しかし、国や業界はそれを狙っています。
要は「騙し討ち」をしたいのだと思います。

ですから、それに便乗した
「今後益々、介護士の価値が上がる」
などという記事やニュースを見ると、とても悲しい気分になってしまいます。

◆人材が確保出来なければ市場規模も拡大しない

今後益々高齢者が増加していき、介護が必要な人も増えていきます。

ある程度の期間(50年とか100年単位)を過ぎれば高齢化は一旦落ち着く、という予測を立てる人もいますが、正直そんな先のことは当たるか当たらないか不確かなものですし
「そもそも5年10年先の状況さえ改善出来ないのに50年後や100年後を見据えても仕方がない」
と言えます。

顧客となる利用者が増えていく以上、市場規模は拡大していくはずです。

しかし、いくら顧客がいても、その受け皿となる場所がなければ市場規模は拡大していきません。

ですから今、国や業界はせっせせっせと介護施設を乱立させています。

しかし、箱(建物)となりうる介護施設が増えても、その中で働く人材がいなければ機能しません。

今その状況の真っ只中であり、人材が確保できない事業所は
・営業不能
・規模縮小
・事業撤退

を余儀なくされています。

かろうじて運営できている事業所の多くは
「介護職員の自己犠牲の上に成り立っている」
のです。

そんな状況のままでは、人材確保など到底無理ですし、市場規模の拡大どころか、いつか破綻する日が来るのではないでしょうか。

◆他業界からの参入

以前『ソニーとパナソニック、次なる金脈は「介護」だそうな』という記事を書きましたが、他業界の企業も介護事業に乗り出してきています。

当然それは介護業界の
・市場規模拡大
・金脈
・安定成長

を予測した上での参入となります。

その状況だけを見ると
「介護業界もまだまだ夢や将来性があるかもしれない」
と思えるのですが、ワタミのように介護事業から撤退した企業があるのも事実です。

ワタミが撤退した理由は
・介護報酬削減
・人員不足

により正常な運営が出来なくなったからです。

正常な運営ができなくなった時点で
「潔く撤退する」
という判断は賛否両論あるでしょうが私は正しい判断だと思います。

何故なら、異常な運営のままズルズルと職員に負担を掛けながら継続しているのが介護業界の現状だからです。

多くの介護事業所は経営手腕がないのだとしても、経営手腕さえあれば「介護事業は金脈」だと言えるのでしょうか。

そして本当に金脈だとすれば、現場職員の潤いのある将来性も確保できる業界なのでしょうか。

◆「金脈」と「将来性」を測るモノサシ

様々な業界から介護業界へ参入してきていますが、私はひとつ気になることがあります。

それは、「楽天」と「ソフトバンク」がまだ介護業界に参入してきていないことです。

・介護用品
・介護事業所向け通信機器

などには参入していますが、肝心の
「介護サービス事業」
にはまだ参入していません(2018年5月現在)。

この2つの企業は
・IT事業全般
・金融商品
・携帯電話産業
・野球業界

などに次々に参入し競いあっています。

その2社が未だ介護事業には参入していません。

これは、今後の介護業界の市場規模であったり、将来性を暗示していると言えるのではないでしょうか。

もちろん今後参入していく可能性もゼロではありませんが
「この2社の動向が今後の介護業界の将来性を測るモノサシ」
と言っても過言ではありません。

コメント

  1. ダメ人間 より:

    こんばんは。
    「79万人」という数がピンとこなくて、簡単にググってみるたら、
    ・市での単位→静岡県浜松市がおおよそで79万人
    ・県での単位→福井県がおおよそで78万人
    こんな感じで数字を見て深刻とかの前に、ありえない数だと感じる&「崩壊まで既にカウントダウン入ってるv(^o^)v」って思いました。
    今回の山嵐さんの話しは、数日前のya〇ooニュースで知りましたがが、あと7年後の15年に不足分が38?43?万人でしたっけ?そして今回が17年後に79万人ですよね?増加分の数字が営業マンだったら良い成績ですw
    またya〇ooニュースは下部にコメント欄があり、ほんのちょっとだけ見る様にしてますけど、いい塩梅のコメントありました。
    ーーーーーここからが引用-----
    高齢者の権利、障害者の権利、患者の権利、権利権利権利・・・
    身体的拘束だから、車いすにベルトはつけるな、ベッドに全部柵をつけるな、自分で行きたい所に行く権利があるから、部屋に鍵をかけるな。
    ベッドから落ちて重症?はい監査。
    認知症の患者が線路に入って遅延?はい賠償。
    専門的知識で落ち着いて生活できるような、質の高いケアを提供しろよ?
    ほら、手取り16万。アホなのかね?
    ーーーーーここまでが引用ーーーーー
    短い中にとっても上手くまとまってて、素晴らしいです。
    自分は(失敗続きのダメっぷりを発揮してますが)、介護職から足を洗おうと思い何度かチャレンジしてます。年度が替わる前に介護職を辞めました。
    ただしダラダラ続けても、金銭的にヤバい&空白期間が延びるなどのデメリットだらけなので、期間を区切って動く形です。
    各種希望条件や今までの経験(例:遠方通勤はダメなど)を踏まえて探すと、住んでる街がベッドタウンでも人口がずーっと減少し続けてて、主たる産業が無い街ですし近郊の街も似た形なので、たいした仕事がありません。
    もう決めた期間ギリギリなので、また介護に戻る為に動き出しました。
    まともな普通の人が得られる事が、介護職に就くとハードルが上がり得られない等、またとりあえず息を吸って生きるだけの人生に戻るのか…と情けなくなりますが、転落し続ける無様な状況……笑えます。
    ゴミ以下のカス人間なのに、職場見学時は何処も人員が厳しいのか?「経験者ですから是非とも応募して頂けると…」とか言ってくる事があって、ビックリです。昔はそんなコメント殆ど聞きませんでした。
    自分はリーマンショックの影響が濃く残ってる時代に福祉業界に入りましたが、不況から介護職への応募者が多くて、事業所側もかなり天狗になってましたよねー。
    1施設しかない社福でも、正職員の試験は書類選考→(筆記)→3次面接とかザラでしたし、そんな事をやってたツケが、今になって回ってきてる=ブーメラン状態で笑えますけどw

  2. 山嵐 より:

    >ダメ人間さん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    まずは2025年問題ですね。
    まぁ絶望的な人材不足で介護の市場規模を伸び悩むのではないでしょうか。
    よほどのテコ入れがあれば別ですが。
    私が入職した時も、面接→小論文がありました。
    正職員になるのも、色々ハードルがあったのですが、今となっては即入職即正職員の時代ですね。
    敷居が急に低くなりました。
    そんな状況では社会的地位の向上も見込めないでしょうし、なかなか濃い暗雲が漂っていると言えますね。