介護現場における「男尊女卑」の実情

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昔は「男尊女卑」という考え方がありましたが、「男女平等」が叫ばれて久しく倫理観や法律の整備も行われ、女性の社会進出も格段に進んできました。
しかし、介護現場には未だ「男尊女卑」の思考が根強く残っています。
元々、「介護は女性がするもの」という風潮があったので、女性社会となっており「女性の方が強い」という逆差別意識も払拭できませんが
「介護現場は男尊女卑と女尊男卑が混在するカオスな世界」
と言えます。
今回は「介護現場における男尊女卑」について考察していきたいと思います。

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◆「男尊女卑」とその歴史

男尊女卑とは、読んで字の如く
・男性は偉く女性は偉くない
・男性は優れていて女性は劣っている
・男性は尊敬して女性は卑下する
・男性は許されることも女性は許されない
・男性は重用して女性は軽視する

という考え方になります。
歴史を見てみると
「昭和初期の父親像」
が男尊女卑そのものであることからそれより以前から存在する考え方であったと言えます。
ハッキリとしたことは調べられませんでしたが、日本史を読み解くと
「江戸時代から男尊女卑が始まった」
と言われています。
現代社会においては既に「死語」にもなりつつありますが、介護現場には未だ根強く男尊女卑の思考が残っています。

◆介護現場に「男尊女卑」が存在する理由

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介護現場であっても職員間では男尊女卑の考え方は無くなっています。
むしろ職員間では「女尊男卑」の考え方が残っている事業所がまだまだ存在します。
「男尊女卑」の考え方は利用者に多く存在します。
重度の認知症者は別として、大正~昭和初期生まれの利用者が大半を占めるため、未だ男尊女卑の思考を持ち続けている人が多いのです。
もちろん、そういう人も昭和、平成という時代を生き抜いてきたので、「男女平等社会になっている」ということは頭ではわかっているのでしょうが、生まれ育ってきた環境の中で染みついている男尊女卑の精神が抜けきれない人が多いのです。

◆介護現場の「男尊女卑」の実情

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では、そういった男尊女卑の思考が残っている介護現場ではどういう状況になっているのでしょうか。
【男女利用者共通】
・男性職員に用事や下(しも)の世話をさせるのは申し訳ない
・雑用や下(しも)の世話は女性職員に頼みたい
・掃除が行き届いていないのは女性職員の怠慢だ
・男性職員は偉いさんで女性職員は偉くない

【男性利用者特有】
・女性にセクハラやパワハラ(暴言や恫喝)をしても許される
【女性利用者特有】
・男性職員は力も強いし怒られるかもしれないから怖い
上記のことが往々にしてあります。
では「男性職員の方が働きやすいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが
利用者に敬遠される=需要がない
ということになります。
ですから、訪問介護員(ホームヘルパー)には男性職員は殆どいません。
認知症者の少ない居宅系介護サービス全般に、まだまだ男性職員の需要は少ないと言えます。
逆に、認知症者が多く、力仕事や身体介護が中心になる施設系介護サービスには男性職員が重宝される存在になります。
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◆介護現場に根強く残る「男尊女卑」の問題点

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男尊女卑と女尊男卑が混在する介護現場ですが
「まだまだ女性社会」
という風潮が強いが故に様々な問題を抱えています。

問題点①「男性は居宅系介護サービスにあまり需要がない」

先程も書きましたが、居宅系介護サービスには男性の需要があまりありません。
「顧客である利用者が男性職員を敬遠する」という理由のほかに、「男性はレクリエーションが苦手な人が多い」ことが挙げられます。
特に通所介護(デイサービス)などではレクの内容が充実しています。
レクが苦手な男性職員にとっては苦痛な時間になります。
ちなみに、職員だけでなく男性利用者の中にもレクの時間を苦痛に思っている人が多いように感じます。
確かに貼り絵をしたり人前で歌を歌ったり、輪になってゲームをするというようなレクは敬遠したいと思ってしまう高齢男性がいるのはわかる気がします。
個々の趣向に合わせたもの(将棋や囲碁など)が出来れば良いのですが、時間的な問題や対戦相手のマッチングの問題があり
「十把一絡げにやりたくもないレクをやらされている」
という現状もあります。

問題②「給与水準や社会的地位が上がらない」

「男女平等」を謳いながら、まだまだ国にも世間的にも「男尊女卑」の差別的な考え方が払拭できていないのではないでしょうか。
「介護現場は女性社会だからそれなりの待遇で良い」
「女性社会の職業は社会的地位が低くても仕方がない」
「女性は結婚や出産などで辞めていく場合が多いから大したキャリアパスは必要ない」
「介護は女性でも担えるのだから給与水準を上げる必要はない」

腹の底でそう思ってきた人が少なからず存在するのではないでしょうか。
同じ状況にあるのが、まだまだ女性社会の「保育士」です。
国や業界も給与水準や社会的地位に対してテコ入れをし始めていますが、その開始タイミングや未だに結果が実を結んでいない現状の裏には、財源の問題以外にもそういった
「根強い男尊女卑の思考があるのではないか」
という推測ができます。
官僚や政治家も利用者と同じ年代(大正、昭和初期生まれ)の人達が多く存在したのですから、あながち間違っていないと思います。

問題点③「特定の女性職員がセクハラやパワハラのターゲットにされる」

介護職員を長く続けていると
「性格が変わってしまった」
「性格がキツくなった」

ということも往々にしてあります。
それは逆に言えば「強くならなければ続けていけない」という現状があります。
女性職員も年々強くなっていく人が多く存在しますが、中には
・まだ強くなりきれない新人
・ハッキリ物を言えない職員
・自分が我慢をすることで丸く収めようとする職員

も存在します。
そういう女性職員がいた場合に、利用者(時として同僚や上司)からセクハラやパワハラのターゲットにされてしまうことがあります。
介護業界はまだまだそういう女性に対する倫理観やコンプライアンスが未成熟なため
・同僚や上司からのハラスメントが許されてしまう
・利用者からのハラスメントはもっと許されてしまう

という類まれなる業界なのです。

◆まとめ

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今回は介護現場に根強く残る「男尊女卑」について考察しました。
繰り返しになりますが、「女尊男卑」の風潮も根強く残っているため、両者が混在するカオスな業界だと言えます。
カオスの詳細は
「男も女も得をせず、両者が虐げられながら、お互いを尊重しつつ時として卑下しながら骨身を削っている状態」
ということになります。
「男女平等」を謳う前に人間として、職業として平等な存在でありたいと願います。


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コメント

  1. ダメ人間 より:

    こんばんは。
    収入に関してですが、面白い記事がありました。
    ・格差歴然!40歳平均年収「63業界」ランキング 1位コンサルと最下位業界の年収格差は3倍
    https://toyokeizai.net/articles/-/187622
    上記の記事に関連した、カイゴラボの記事
    http://kaigolab.com/money/26827
    まぁ395万という数字もチャンチャラおかしい数字ですが、もちろん介護は(当たり前で)63位=最下位で、しかも62位の百貨店業界のモデル賃金と比較すると、57万の差でブッチギリ。そりゃあ、家庭持ってる人、辞めますよ。
    介護職って穢多非〇の仕事だと思ってますが、この業界に来る前に民間にて勤務していた時代、穢多〇人が就く仕事で有名な職種に従事していた時もあり、そっち系って利権で超ズブズブなんで、人間的にガチ〇〇な人が多いですけど収入は介護より全然マシでした。
    でも介護職ってその収入すらプアな訳で……やっぱり罰ゲーム。
    通所だと手取り14~15がザラな訳で。とりあえず生きるだけで、大病したらその時点で人生はend。
    また下記の記事の状態って、どうみてもおかしいと思いませんか?
    ・費用は国費、刑務所の認知症ケアが充実している皮肉な現実
    https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180517-00000009-pseven-soci
    やっぱり措置制度時代が適していると思う自分って、おかしいのでしょうかね?

  2. 山嵐 より:

    >ダメ人間さん
    おはようございます。
    コメントありがとうございます^^
    介護の仕事は夜勤もこなしているのに、他業界よりも年収が低いこと自体がおかしいですよね。
    おっしゃっているように通所とかだと更に低収入になりますし、働く所が無くなった人の最後の受け皿的要素が強い仕事になりますね。
    私は措置制度時代を経験していないのでわかりませんが、話を聞くと今よりも儲かっていたようですね。

  3. ダメ人間 より:

    こんにちは。
    >私は措置制度時代を経験していないのでわかりませんが、
    >話を聞くと今よりも儲かっていたようですね。
    以前の記事のコメントにて措置時代の話しを書きましたが、自分も山嵐さんと同様に経験者ではありません。
    ただその時代を経験した現場畑が長い介護職員やNSの話しを色々と聞くと、Fa側・利用者側の人権擁護など色々な問題点はあったとは言え、今の状態より全然マシだった事を言うんです。みんな。
    それは経営者側の事や職員の給与など、現時点にて大問題となっている部分もありますけど、その部分を改善しないと(もう手遅れだと思いますが)現場が完全に崩壊すると思うのです。
    ってか崩壊した方が、お国も重い腰を上げると思いますがww
    先日も入所者が職員を刺す事件がありましたよね?
    <殺人未遂容疑>特養施設で職員刺される 入所者逮捕
    https://news.yahoo.co.jp/pickup/6282683
    どうせ(お約束の)認知絡みのネタで無罪放免→病院送りとなると思いますが、目の前にナイフを持った人間がこっちに向かってきているのに、
    「ご利用者様と向い合って~」
    みたいな福祉バカの言う事を聞いて、自己防衛も出来ない状態が続くんですかねー?
    極論だと思いますが、隅々まで監視カメラ設置を義務化=事件を可視化し、現場職員を守るという考えがないと、洒落にならないんじゃないですかね?
    介護職員も防弾チョッキを着て、スタンガンや防犯=催涙スプレー持ち歩かないと、自分の命を守れないと思います。
    この低待遇で被害に合いPTSDなどメンタル面に影響が出たり、命まで落とす事にでもなったら、あまりにも理不尽だと思うのです…。

  4. 山嵐 より:

    >ダメ人間さん
    おはようございます。
    コメントありがとうございます^^
    現状ではどう足掻いてもどんな状況でも職員の方が不利な気がします。
    恐らく監視カメラを設置したとしても、「職員の対応や言葉遣いが悪かったから事件の発端となった」というようなこじつけ方をされてしまうでしょうね。
    まずは業界全体で「職員の人権回復」の意識改革が必要でしょうね。

  5. デイちゃん より:

    こんにちは。
    介護スタッフって、女性はわりとまともな人が多いと思うんですが、男性は「こいつ普通の会社じゃ絶対働けないだろうな」みたいなおかしな人が多いと思うんですよ。(私の回りだけ?)
    一般常識なし・日本語不自由・漢字書けない・パソコンできない・車の運転できない・介護福祉士すら受からない、とか。
    それでも、地味に一生懸命仕事してるんならいいんだけど、人間性もおかしくて、自分より下の人間を見下したり(ってほとんど見下せる人いないけど)、仕事はできないのにさぼるのは一人前だったり。
    能力だけじゃなく、人としてもダメダメ。
    介護なんて同じことの繰り返しなんだから、身に着けなきゃいけない知識や技術は限られてるのに、それすらもできない。
    移乗もできなくて、利用者の家族に、「あの男性のスタッフの方、もう来ないでほしいんですけど」って言われたり。そのスタッフ、常勤の相談員なんですけど~!!
    でも「できてない」ってことを認識はできない。で、仕事できないままでダラダラさぼってる。もう本当に最悪。
    だから男スタッフは管理者になれない。でセンター長は必ず女。(笑)
    そして女管理者から、男常勤はパワハラを受けてる。(笑)
    でも自分は、「それは当然だろ?」と思ってる。(笑)
    ま、介護の現場でまともにやれる男性は、たぶん他の仕事でも十分やれるので、すぐ転職したほうがいいと思います。
    きっと年収が100万はアップするのでは。
    デイ=レクみたいに言われますけど、レクは必要なんでしょうかね。
    デイで幼稚園児のおゆうぎみたいなレクを一生懸命してるとこあるけど、あれはどうなんでしょうね。
    ・・・と思ってたら、これからはデイは、平行棒使った歩行訓練のような個別のリハビリみたいなものを重視してやっていく方向になるので、レクは少なくなっていくかも。
    ま、私はデイで12年いるので、機能訓練・個別レク・集団レク・年間行事など、あらゆるアクティビティに対応できます。もう本が書けるぐらい。
    機能訓練はリハ職レベル(大ウソ)、個別レクは利用者全員が必ず何かにとりくんでくれるように材料を用意しますし、集団レクならどんな人でも大爆笑のゲームをできますし、年間行事はすべて一人で計画立案できます。
    私は、利用者さんがデイに来て、死んだ魚の目をしてぼけーっとしてたり、座って寝てたりするのが大嫌いなんですよ。
    今のデイのレクのマイブームは絵手紙ですね。母親が通ってた病院は、患者の方の作品を展示してたんだけど、ものすごくきれいだった。
    枠を墨で書いて色をつけるから、単なる塗り絵よりきれいに見えるんだね。
    一から書くのはちょっと利用者さんには難しいので、私が下絵を墨で書いてそれをコピーして、利用者さんに塗ってもらって、それをちょっと私が手を加えて展示してます。
    10年以上やってますけど、まだまだ新しい試みってできますね。

  6. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    あらゆるアクティビティに対応できるなんて尊敬します。
    介護職員の専門性の塊ですね。
    確かに男性は…わからなくもないです。