「介護施設職員、入所者に刺される」犯罪行為を許してはいけない

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群馬県の老人介護施設で入所者が女性介護職員の左胸をハサミで刺した、という事件が発生しました。

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◆ニュース概要

介護施設職員、入所者に刺される
殺人未遂容疑で逮捕、群馬
16日午前5時50分ごろ、群馬県高崎市新町の老人介護施設で女性職員(23)が入所者の男(87)にはさみで左胸を刺された。群馬県警によると、女性は搬送時、意識があったが、詳しい容体は不明。県警は殺人未遂容疑で男を現行犯逮捕した。
県警によると、男は認知症を患っているとみられる。男がはさみを持っているのを女性職員が注意したところ、突然刺されたという。
施設を運営する社会福祉法人しんまち元気村の八木秀明常務理事は取材に「男は4月に入所したが、これまでも職員や他の入所者に暴力を振るったことがあった」と語った。
【引用元】佐賀新聞LiVE

16日午前5時50分ごろ、群馬県高崎市新町の老人介護施設で女性職員(23)が入所者の男(87)にはさみで左胸を刺された。群馬県警によると、女性は搬送時、意識があったが、詳しい容体は不明。県警は殺人未遂容疑で男を現行犯逮捕した。 県警によると、男は認知症を患っているとみられる。男がはさみを持っているのを女性職員が注意した...

何故、このような事件が起こってしまったのでしょうか。

◆介護事件は氷山の一角

今まで何度も「介護事件」のニュースがありましたが、その多くは
「加害者が介護職員で被害者が入所者」
という構図でした。

その構図の事件でさえまだまだ氷山の一角と言えます。

しかし、今回の介護事件は
「加害者が入所者で被害者が介護職員」
という構図になります。

この構図のニュースが流れるのは珍しいことです。

その理由は、介護職員が被害者になることが少ないからではありません。

・介護職員が被害に遭ったという事件は表面化されない
・入所者の権利擁護しか考えてこなかったので介護職員が被害に遭うことは普通のこと
・加害者が認知症者なので犯罪という扱いになりにくくニュースにもしにくい
・そもそも事業所内で犯罪ではなく労災事故で片づけてしまう

という理由になります。

つまり、実際の介護現場では
「大なり小なりこういった入所者からの犯罪行為は日常的に行われているのが真実」
ということが言えます。

今回の事件の構図が珍しいのではなく
「やっと陽の目を見た氷山の一角」
なのです。

◆入所者からの犯罪行為を許さない環境作り

例えば、私の勤務している介護施設でも
「女性職員が認知症の男性利用者に眼球を指で突かれる」
という傷害事件が発生しました。

普通に考えれば「傷害事件」ですが、結果的には事件ではなく「労災事故」という扱いになりました。

つまり、あまりにも入所者や利用者への権利擁護の意識が強すぎて、隠蔽されたり事故扱いで終わるような介護職員にとって「治外法権のカオスな世界」が存在しているのです。

【参考記事】

前回『人間関係で悩み苦しみ労基署に相談をしても動いてはくれない』という記事を書きました。 その中で、 『罰則のある労働問題については労基署...

そういった犯罪行為を
・入所者は権利擁護されるべき社会的弱者
・認知症者なのだから責任能力がない
・介護職員の声掛けの仕方や対応方法が悪かったに違いない
・暴力行為をするのにも理由があるはずだ

という風潮で無かったものにされてしまいがちです。

刑法や法律の要件に照らし合わせて
「責任能力なし」
という判断がされてしまうのは現状ではどうしようもないことですが、大切なのは
「犯罪行為が発生しない環境作りができていたか」
という原因となる部分です。

「罪を憎んで人を憎まず」
「認知症者に責任能力なし」

という結論が出るのなら
「入所者の犯罪行為を許すのではなく、入所者の犯罪行為を発生させない対応が必要だった」
と言えます。

◆事件の原因と問題点

「介護職員の対応が悪かったのでは?」
「暴言や暴力を振るう理由を探る寄り添い方ができていなかったのでは?」
「対応次第で入所者の心境も改善するはず」

などという分析をする人もいますが、本当にそうなら
「介護職員の専門性は神がかっている」
と言えます。

もちろん、言わんとしていることもわかりますし、資質の向上や知識や経験を積むことは大切です。

しかし、本当に介護職員の専門性だけで入所者や認知症者の性格や行動を変え、犯罪行為を食い止めることができるのだとすれば
「警察も不要」
「医者も薬も不要」
「介護職員はエスパーか教祖か神」

ということになります。

もしそうだとすれば、相当なお給料を頂かねばならない「超ウルトラスーパースター」です。

ハリウッドスターの比ではありません。
なんせエスパーか神なのですから。

しかし蓋を開けてみれば
「あぁ、今月は手取り20万円無いな…」
という悲しい給料日を迎えているのが現状です。

ですから、こういった類の事件に関して
「介護職員の対応の責任にしてしまうのはお門違い」
なのです。

今回の事件の問題点は
「今までも職員や他入所者に暴力を振るっていたのに野放しにしていた」
という1点に尽きるかと思います。

◆事件を無くしていくために

今回のような入所者や利用者からの犯罪行為を無くしていくためには、どうしていけばいいのでしょうか。

常務理事が「男は4月に入所したが、これまでも職員や他の入所者に暴力を振るったことがあった」と語っていることから、今回の暴力や傷害や殺人未遂行為が初めてではないことがわかります。

施設側がどういう対応をしていたのか、またはしていなかったのか、はわかりませんが、仮に何か対応をされていたのだとしても
「今回このような殺人未遂事件が発生したのだから効果的ではなかった」
ということになります。

そもそも考えられる対応で何ができるかと言えば
・向精神薬などの薬物療法
・隔離対応や身体拘束
・退所や転院(転施設)

の3つになろうかと思います。

もし上記3つのいずれかの対応もしていなかった場合は
「対応が不十分だった」
と言わざるを得ないでしょう。

暴力を振るう利用者さえ容認するのが介護なのか』の記事にも詳しく書いています。

しかし残念ながら現在の福祉業界では上記3つの対応方法は
「あまり良くない対応」
とされています。

良くない対応という風潮があれば事業所側もやりづらいのが現実でしょう。
しかし、「事件を起こしたいのか起こしたくないのか」ということに言及して考えていけば自ずと答えは出ます。

そこで、業界や事業所が思いついた苦肉の策で
「介護職員に責任を押し付けてしまおう」
「介護職員の対応が悪いから発生したことにしてしまおう」
「介護職員が利用者の気持ちに寄り添えなかったから発生したことにしよう」

という「責任転嫁大作戦」が行われています。

そんな「ハイリスクローリターン」な仕事にしてしまっているのは、業界や事業所そのものなのです。

いつまで経っても人材確保などできないことでしょう。

入所者に刃物で突然刺され命を落とすかもしれないリスキーな仕事でありながら、もしそうなっても「介護職員の対応が悪いからだ」とこき下ろされ、手取り20万円をもらうために毎日汗水垂らして過酷な業務を繰り返し腰痛にもなります。

そんなやりがいだらけの職業です。
「是非、皆さまも介護職員になって一緒に働いて下さい」
上記のように、介護職員の現状と真実を平たく言えば、とち狂った業界だということがよくわかりますね。

権利擁護が必要なのは介護職員なのです。

コメント

  1. アングラー より:

    記事を読んで疑問に思ったのが「現行犯逮捕」の部分です。警官の見てる前で刺したってことなんですかね…?どんな状況だ…
    研修の時、昔放送されたドキュメンタリー流されて、暴力を振るう利用者に関して職員がセンター方式使って対応考えたら収まったから、職員の対応で利用者は変わるんだよって流れになってました。でも自分は「収まったから良いけど、出来なかったら職員の保護はどうなってたの?」と内心つっこんでたのを思い出しました

  2. 山嵐 より:

    >アングラーさん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    現行犯逮捕は一般人でも可能なので、他の職員が取り押さえて警察に引き渡したっていう意味でしょうかね?
    「職員の対応で変わる利用者もいる」のでしょうが「変わらない利用者もいる」という真実を伝えた方が良いと思いますね。
    あたかも「全ての利用者が変わる」というような伝え方をしているのだとしたら詐欺ですね。

  3. スリーピングライオン より:

    初めまして。拝見しました。
    自分も施設勤務なのですが、利用者→職員の暴力行為等は日常茶飯事です。
    この施設でも例外なく、そういった問題を明るみにしたくはないようですが、ここでは理由はカネです。
    問題になって退所だなんだとまで発展してしまったら、「室料」が入らなくなるので、ユニットの方で穏便にすませてくれないか、っていうのが施設側のやりくちです。現場への責任転嫁です。
    研修や教科書では尊厳保持だなんだと言われますが、こないだ上司に「俺たち(職員)の尊厳はどうなるの?」と聞いたら黙っちゃいましたね(笑)

  4. 山嵐 より:

    >スリーピングライオンさん
    はじめまして、こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    現場への責任転嫁は介護業界では常態化していますね。
    介護職員は尊厳どころが人権さえ蹂躙されていると言えます。
    長い目で見ると目先の室料よりも、末永く居ついてくれる現場職員を大切にする方が永続的に安定成長を遂げることができると思います。
    そこに気づき、早期に対応改善できる事業所のみが今後は生き残っていける時代が来ると信じてやみません。

  5. アングラー より:

    今週の金曜日19:30から、NHKのナビゲーションという番組で介護職が受けるハラスメントに関して取り上げますね。どこまで踏み込んでくれるのか、綺麗事で終わるのか見ものです

  6. 山嵐 より:

    >アングラーさん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    そうなんですね、是非また教えて下さい。
    どこまで闇に斬り込めるか期待したいところですね。

  7. とも より:

    こんばんは
    刃物があるのが問題 と当然のように言うケアマネいますが、そんなん当たり前やんと光速で突っ込みました。
    私は刺される前に何かします。虐待と言われようが、刺されたら痛いですもん。
    むしろ家族にも「人様に怪我をさせるのを防いでいただきありがとうございます」なんて言われたいものです。

  8. 山嵐 より:

    >ともさん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    国や行政や事業所は介護職員をサンドバッグかガンジーと思っているのでしょうかね。
    介護業界内は治外法権が過ぎますね。
    介護職員の安全と人権も確保して欲しいものです。