【ICF】実は奥が深い「自立支援」履き違えていませんか?

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現在の介護現場は「自立支援」を促していく方針です。
簡単に説明すると
「自分で出来ることは自分でしてもらう」
ということになります。

◆よくある「履き違え」

よくある「自立支援の履き違え」として、何でもかんでも介護者にやってもらおうとする利用者や、利用者に依頼されて何でもやってしまう介護職員は
「この方針を履き違えている」
と言えます。
しかし、現状の介護現場では
「何でもやってくれる職員=良い職員」
という誤解と履き違えが横行しているのも事実です。
まずは大前提として「何でも依頼する利用者」「何でもやってしまう職員」「自立を促さない職員」は方針と逆行しているということが言えます。
ここまでは誰でも理解できる理屈だと思います。
今回は介護の専門職らしく、もっとつっこんだ奥の深い専門的な「自立支援の履き違え」について書いていきたいと思います。

◆例題で考察

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例題をあげて考察していこうと思います。
【例題】
Aさんは脳出血の後遺症で左足に痺れがあり動かしにくさを感じていました。
主治医の指示で出来るだけ歩いて日常的なリハビリをするように言われています。
排泄面では尿意がある人で、訴え後すぐにトイレへ行けばトイレで排尿できていましたが、トイレに行くまでに時間が掛かると尿取りパッドの中に失禁してしまいます。
現在、トイレに行きたい時は介護職員を呼び、杖を使い付き添い歩行でゆっくりとトイレまで歩行していますが、間に合わないことが多くなってきました。
Aさんは失禁してしまうことにとても羞恥心を感じていました。
この場合、適切なケア方法及び自立支援とはどういうものでしょうか?

この場合、多くの介護職員がしてしまいがちな「自立支援の履き違え」があります。
「自分で出来ることは自分で出来るように頑張りましょう」
「歩くことはリハビリですから頑張って歩きましょう」
「お医者さんからも歩くように言われていますよ」
「いつでも呼んで下さればトイレに案内しますよ」

などと言って付き添い歩行を継続しようとします。
「自分で出来ることは自分でしてもらう」
という自立支援が言霊のように染みついてしまっているのです。
しかし、この場合に必要な自立支援は
「歩行機能向上ではなく排泄機能に関わる心理面」
になります。
これを分析していくには「ICF(国際生活機能分類)」を活用する必要があります。
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◆ICF(国際生活機能分類)とは

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介護系の資格を取得したり勉強された人は聞いたことがあるかと思います。
しかし、正直大変難しくて複雑な理論になっており、活用できていない介護職員が多いのではないでしょうか。

1 ICFについて
 障害に関する国際的な分類としては、これまで、世界保健機関(以下「WHO」)が1980年に「国際疾病分類(ICD)」の補助として発表した「WHO国際障害分類(ICIDH)が用いられてきたが、WHOでは、2001年5月の第54回総会において、その改訂版として「ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)」を採択した。
 ICFは、人間の生活機能と障害に関して、アルファベットと数字を組み合わせた方式で分類するものであり、人間の生活機能と障害について「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの次元及び「環境因子」等の影響を及ぼす因子で構成されており、約1,500項目に分類されている(ホームページ上では、第2レベルまでの分類を掲載)。
 これまでの「ICIDH」が身体機能の障害による生活機能の障害(社会的不利を分類するという考え方が中心であったのに対し、ICFはこれらの環境因子という観点を加え、例えば、バリアフリー等の環境を評価できるように構成されている。このような考え方は、今後、障害者はもとより、全国民の保健・医療・福祉サービス、社会システムや技術のあり方の方向性を示唆しているものと考えられる。
2 日本語版「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」の作成について
 ICFは、英文で表記されているため、わが国で広く活用していくためには日本語で表現することが必要である。このため、平成13年6月より厚生労働省において、「国際障害分類の仮訳作成のための検討会(座長:仲村英一氏)」を設置し、分野別作業班による日本語訳を進めるとともに、よりわかりやすい表現とするため各方面からの意見を聴く等の作業を行ってきた。
3 今後のICFの活用について
 ICFの活用により、
 ○  障害や疾病を持った人やその家族、保健・医療・福祉等の幅広い分野の従事者が、ICFを用いることにより、障害や疾病の状態についての共通理解を持つことができる。
 ○  様々な障害者に向けたサービスを提供する施設や機関などで行われるサービスの計画や評価、記録などのために実際的な手段を提供することができる。
 ○  障害者に関する様々な調査や統計について比較検討する標準的な枠組みを提供することができる。
などが期待されているが、具体的な活用のあり方については、現在、WHOにおいても検討が進められているところであり、我が国においても研究事業等をとおして、効果的な活用方策の検討を行うこととしている。
【引用元】厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html

素人が理解しようとすると大変難しく情報量も多いため、全ては書ききれないので割愛しますが、興味のある人は上記厚労省のHPへ行ってもらうか、ネットで検索して調べるか、専門書を購入されることをお勧めします。

ICF国際生活機能分類 国際障害分類改定版 [ 世界保健機関 ]

ICFでは人の生活機能を「心身機能・身体構造」、「活動と参加」という2つの要素から構成しています。
そして、その生活機能に相互に影響を与えあう背景因子として「環境因子」と「個人因子」の2つを挙げています。

つまり、今回の例題において
「環境因子」=「トイレに行くまでの距離や掛かってしまう時間」
「個人因子」=「左足の痺れで思うように歩けない」

という「阻害因子(反対にプラスの影響のものを「促進因子」と言います)」がわかります。
阻害因子がわかれば、それを改善するための方法を考えます。
この場合のAさんのニーズは「失禁せずに排泄したい」ということになります。
そうすると
「トイレ訴え時は車椅子で誘導する」
というケア方法が導き出されます。
「歩ける人に車椅子?」
と疑問に思われる人もいらっしゃるかもしれませんが
「尿失禁してまで歩かなくてもトイレに行く時くらい車椅子を使用してもよい」
のです。

◆まとめ

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なんでもかんでも「自立支援、自立支援」と言って闇雲に出来ることをやってもらうことも
「適切なケアとは言えない」
ということがご理解頂けたかと思います。
意識高い系の介護支援専門員(ケアマネジャー)はICFを活用して分析しケアプランを作成していると思いますが、研修等で推奨はされていますが義務ではないので、実際は活用していないケアマネが多いように思います。
ちなみに、要支援者向けの「介護予防サービス・支援計画書」はICFに近い様式になっています。
ケアマネだけでなく、直接介護に関わる我々介護職員も、ICFを意識したケア業務や分析をすると、専門性を深めることが出来るだけでなく
「筋の通った適切なケアを提供することが可能」
になります。
但し、読み込めば読み込むほど、奥が深すぎて学問のようになってしまいますので
「学問の為に介護をしているのか、介護の為に学問をしているのか」
を見失わないようにしましょう。
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コメント

  1. アングラー より:

    機能維持…人手不足の中で介護してると、どこかにその人の好きな事をするために出掛けるということも出来ず(自分がその人と出掛けてる間に現場にかかる負担を考えると出来ず)、楽しみもないのにただ足を鍛えましょうとか言われても苦行でしかないんじゃないかと思うことがあります。まぁ昨日が落ちられるとこちらの負担がますます増えるからそこそこに元気な人は、現状維持してもらう事がやっぱり大事というのが現実ではあるんですが。

  2. 山嵐 より:

    >アングラーさん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    人員不足が著しい介護現場ですので、出来る事は限られていますよね。
    利用者のニーズ、目標がどこにあるのかを考える必要がありますが、そのニーズが達成不可能だとわかっているのにやらされる生活リハビリは苦行でしかないのかもしれませんね。
    そうなると確かに目標が「現状維持」ということになってしまうのかもしれませんね。

  3. とも より:

    こんにちは
    山嵐さん、深いお話ありがとうございます
    できることはしてほしいと思うし、できなくて凹んじゃうのは見てて辛いし、いろんなこと考えさせられます。
    ○○はしていたい と言われる方は、積極的勧められるけど、こんな年まで生きて…という方は、寝たきりはなりたくない、面倒はかけたくないという気持ちを逆手にとって維持を勧めるくらいかなという感じです。
    今できないので自分でやってくださいと強烈に言い放つ職員さんもいます…

  4. 山嵐 より:

    >ともさん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    お年寄りの本心を探るのって本当に難しくて
    「早くあの世からお迎えが来て欲しい」
    と言いながら薬にはすごい執着心を持っている利用者が多く
    「結局は健康で長生きをしたいのでは?」
    と思ってしまうことも多々あります。
    人員不足等の事情ですぐには対応出来ないこともありますが、言い方は重要だと思います。
    どちらにしても利用者を守る前に職員が守られていないと、結局は誰も守れないよくわからない業界になってしまう(しまっている)でしょうね。