【介護の特殊性】「介護の仕事より過酷で低賃金な仕事は山ほどある」というご意見に対する回答

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介護施設や介護業界の処遇改善を訴えていると
「介護職員より過酷な仕事は他にもある」
「介護職員より低賃金な仕事は他にもある」
「どんな仕事でもしんどいに決まっている」

というご意見を頂くことがあります。

確かにそれは間違いないのですが、介護の仕事は他に類をみない「特殊性」があります。
どういう点が特殊で、他の仕事と明らかに違うのかを回答していきたいと思います。

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◆特殊性①「認知症者が相手の仕事」

人間を相手にする仕事は沢山あります。
接客業やサービス業がそれに当たります。

介護の仕事も同じように利用者という人間を相手にしています。
介護サービスの対象者の中には認知症者が多くいます。
居宅系介護よりも施設系介護は認知症者の利用率が高くなります。

「認知症者を相手にするから特殊」
と言いたいところですが
「介護職員なんだから認知症者の介護をするのが当然だろ」
と言われてしまうかもしれません。

本当の特殊性は別にあります。
「介護に正解はない」
と教えられるのですが
「正解はないと教えられるのに不正解はある」
のです。

今回は、高齢者の虐待(グレーな部分含む)について考察していきます。 介護現場は介護職員と利用者が直接的に関わる場になります。 ...

上記の記事にも書きましたが、「不適切ケア」と言われるグレーゾーンも存在しますし
「やればやるほど何が正解で何が不正解なのかわからなくなってくるのが認知症介護の特殊性」
だと言えます。

そもそも、利用者本位と言いながら、意思疎通が図れない認知症者が何を求めているかなんて神様かエスパーでなければわかるはずがありません。

事業所は利用者と向き合わず役所の方向を向き、減算されたりペナルティを食らわないように運営しているに過ぎません。

とても特殊な世界だと言えます。

◆特殊性②「国の方針が特殊」

介護職員の賃金が低水準なのは誰でも知っていることかと思います。

確かに他業種でも
・タクシー乗務員
・警備員
・飲食店の店員
・保育士

などは介護職員よりも収入が低いという統計(平成28年賃金構造基本統計調査の概況(PDF):厚生労働省)も出ています。

夜勤手当で水増ししながら、何とかワースト2かワースト3を維持している業界なのですが、今後益々介護が必要な高齢者が増えていく中で、介護職員も益々必要な人材として国を挙げて処遇の改善に取り組んでいます。

そういった方針は願ったり叶ったりで大変ありがたいのですが
「何故か未だに現場職員はその処遇改善が実感できていない」
場合が多くあります。

その実態の最大の原因は
「国が事業所の柔軟な運用に任せてしまっているから」
ということになろうかと思います。

例えば、介護職員処遇改善加算にしてみても、介護職員の処遇を改善することを目的としているため、「内部保留」はできないものの
・どの介護職員に
・どのタイミングで
・どういう形で
・どれだけ支給するか

ということは「事業所の柔軟な運用に委任」されています。

事前に「介護職員処遇改善計画書」というものを事業所が行政へ提出するのですが、そこには「どの介護職員にどれだけ支給するか」の細かな項目はありません。

2019年10月から実施される「勤続10年以上の介護福祉士に月8万円支給」という施策も同様です。

そもそも、勤続10年以上の介護福祉士が一体どれだけいると思っているのでしょうか。
現状で介護職員の勤続年数の平均は3年~4年です。

「勤続10年以上の」介護福祉士に月8万円支給しても改善にはならない』と考えられます。

こういった、「処遇を改善したいのか、したくないのか、よくわからない国の方針の中で弄ばれている介護職員は特殊」だと言えます。

◆特殊性③「専門職の集合体の中で地位が低い」

他の業種と大きく異なるのは、「介護業界は多くの専門職の集合体」だということです。他の一般企業にはあまりない構図かと思います。

・営業マン
・技術者
くらいの職種の集合体はあるかと思いますが、介護業界は
・介護職員
・看護師
・生活相談員
・介護支援専門員(ケアマネジャー)
・リハビリ職(理学療法士、作業療法士等)
・管理栄養士
・サービス提供責任者や管理者

等々の専門職が同じ事業所内に存在しています。

そして各々の「職業倫理」の中で専門性を発揮し、すり合わせを行い、ひとりの利用者のケアを行います。

各々の専門職の職業倫理が存在するのですから、意見が割れたり食い違うことも多々あります。

しかし介護職員はこれらの専門職の中で「一番社会的地位が低い」という現状があります。
カースト制度の底辺に位置している職種なので、意見を言っても通ることはあまりありませんし、最悪の場合は「無下にされたりバカにされたり」します。

直接的に利用者のケアを行っている職種なのに
「一番地位が低く意見が通りにくい介護職員の存在は特殊」
だと言えます。

◆特殊性④「事件が多発する特殊な仕事」

介護の仕事よりも過酷で低賃金な仕事は他にもあるでしょうが、介護業界ほど職場での「事件」が多発している業界は他に類をみないのではないでしょうか。

それだけ「介護は特殊な仕事」だということを物語っていると思います。

加害者や被害者は事件によって様々ですが、必ずと言っていいほど「介護職員と利用者」はセットで事件が発生しています。

他の過酷で低賃金な仕事ではあり得ないような事件が介護業界にこれほど多いということは
「特殊を通り越して異常」
だと言えます。

介護業界には、一言では言い表せない「魔物」が住んでいると言えます。

◆まとめ

他の業種や産業とは明らかに異なる「介護の仕事の特殊性」を考察し回答という形で記事を書きましたが、「ワースト勝負」や「大変さの押し売り」をしたいわけではありません。

どの仕事も大変だとは思いますが、私自身が今まで他の業界にいた時には感じなかった「特殊性」「異常さ」が介護現場には存在していると感じています。

そしてその多くは、まだまだ排他的で閉塞的な業界の闇で覆われています。

やっている業務負担に対してその対価も割に合わないと感じることが多くあります。
自分や業界全体がより良くなっていく為に、真実や事実を記事にして改善を訴えることで業界に寄与していきたいと考えています。

コメント

  1. デイちゃん より:

    こんにちは。
    高度プロフェッショナル制度、とうとう導入されるんですね。
    はじめは年収1075万以上の専門職が対象らしいけど、徐々に対象となる年収を下げるらしい。
    となると、いずれはすべての人に適用されて、介護職もやっすい給料で永遠に働かされるのかしら・・・。
    昔の炭鉱や戦時中の兵士や北朝鮮の人民みたいに。
    そうなると、「介護より過酷で低賃金な仕事は山ほどある」とか言う人もいなくなりますね。どの仕事についても奴隷労働が待ってるから。

  2. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    高度プロフェッショナル制度ってイマイチ目的がわからないんですよね。
    「柔軟な働き方」と言うけれど、どう考えても労働者には不利な働き方ですよね。
    ベーシック・インカム(BI)と並行して実施すれば、本当の意味で「働き方改革」になるのかもしれませんね。

  3. デイちゃん より:

    もともと前安倍政権の時に、ホワイトカラーエグゼンプションを導入しようとしてたんですよね。経団連の推進で。
    要するに、労働者を一定の給料で死ぬまでこき使える制度。大企業や経営者的には大賛成!!
    でも、前回は自民党も旗色が悪くなってしまった上に、安倍さん自体がうつ病になっちゃってとん挫したんですが。
    安倍さんもうつ病になって、過労死した人の気持ちがちょっとは分かったかな?と思ったのですが、どうやら何も分かってはないようです。人の痛みを。
    労働時間の制限を外したらさ~、奴隷と一緒じゃん。昔の炭鉱や戦時中の兵士と同じじゃん。
    労働者の健康とかどうなるの?また昔にもどるの?
    ま、安倍さんは戦争のできる国にしたいらしいから、憲法9条も変えたいし、その前段階として労働時間の制限をはずしたいんでしょうね。戦争に行って、8時間労働ってわけにはいかないしね。

  4. とも より:

    こんばんは
    私も前職と比べたら、かなり特殊な職業だなと思います。
    一番感じているのは、職員の能力差が非常に大きいことです。仕事できる人はそれはすばらしい動きをしますが、できない?しない?人は、まあお察しの通り。しかも年数を重ねれば成長するわけでもなく…
    話がそれましたが、介護よりも安月給はあります。が、高い給料もらう仕事もあります。下とは比べるのに、上とは比べない上司はアンフェアですよね(´TωT`)

  5. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    おはようございます。
    どちらにしても、国民に十分説明し、理解を得た上で実施して欲しいですね。
    どうなることやら…

  6. 山嵐 より:

    >ともさん
    おはようございます。
    コメントありがとうございます^^
    職員の能力差、大きいですね。
    というか、他業界で普通レベルで仕事が出来る人は介護業界では優秀な存在になれますよね。
    元々の平均点が低いというか水準が低いというか…悲しい現実ですが。
    下見て暮らさず上見て暮らしたいですね。