「介護福祉士資格取得後に正社員登用」という求人を最近は見掛けない理由と問題点

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私が介護業界に飛び込んだ約8年前は
「ホームヘルパー2級(現在の初任者研修に該当)以上」
「介護福祉士資格取得後に正社員登用」

という敷居の高さが窺える求人を多く見掛けました。

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◆介護福祉士が要件の場合、3年間は正社員になれない

他の業界ならば、試用期間3ヶ月ほどで適性を見極めた上で正社員になれるかなれないかを判断するかと思いますが、当時の介護業界は今にも増して「排他的」だったのではないでしょうか。

良い言い方をすれば「それだけ専門性が求められる仕事」だと言えます。
福祉系の専門学校を卒業して介護福祉士の資格を取得した人以外は
「現場で3年以上経験を積んだ上で介護福祉士試験に合格」
する必要があります。

つまり無資格未経験で入社した場合
「3年間は正社員になれない」
ということになります。

無資格の上、全くの未経験だった私は
「なんて敷居の高い業界なんだ」
「介護の仕事は相当な専門性が要求される仕事なんだな」
「介護福祉士資格は余程価値の高い資格なんだな」

という印象を受けました。

◆敷居の高さと給料が高さは正比例しない

しかし、いくら未経験だとはいえ、3年間もパートか非正規社員では収入が低すぎて生活が成り立ちません。

そもそも価値が高いはずの「介護福祉士の月給が18万円~23万円」と書いてありました。

「介護の国家資格者なのに新卒の初任給と同水準」
という現実は事前の情報収集で薄々知ってはいましたが前評判通りの給与水準でした。

敷居の高さと給料水準は正比例しない業界のようです。
そんな中で、当時の私は無資格でも正社員になれる今の介護施設を選択し入社しました。

◆最近の求人では見掛けない

「正社員=介護福祉士」
という求人を最近は見掛けなくなりました。

せいぜい
「初任者研修修了者歓迎」
「介護福祉士資格者優遇」

程度の但し書きがあるくらいで、正社員の要件にはされていません。

収入面や福利厚生などの社会保障面や無資格未経験で介護を始めようとする人にとっては大変ありがたい敷居の下げ方なのですが
「それだけ人材確保に苦慮している」
ということが窺えます。

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◆敷居を下げたことによる問題点

問題点①「社会的地位や専門性も下がる」

「無資格未経験歓迎」
ともなれば、敷居とともに社会的地位や専門性も低くなってしまいます。

国の政策でさえ
・外国人介護士の大量斡旋
・一部の介護業務をボランティアで賄う

という「介護士の大安売り」を始めています。

それを見た介護現場を知らない人達が
「介護は誰でもできる」
「介護に専門性はない」

という発言をしてしまう要因にもなりかねません。

百歩譲って「介護は誰でもできる」のだとしても、問題なのは
「介護は誰でもできるのに、何故人材が集まらないのか」
という点ではないでしょうか。

問題点②「今まで3年間耐えてきた人達への補償」

「介護福祉士を取得するまでは正社員になれない」
という労働条件で耐え忍んで働き続けてやっと資格を取得し正社員になれた時の感動はひとしおだったことでしょう。

しかし、俄かに事業所が方針を変え、自分の後輩に当たる新入職員は無資格でもどんどん正社員になっていきます。

「自分の3年間はなんだったんだ」
「3年間の収入と福利厚生の差はどうなるんだ」

という補償問題があります。

しかし、多くの事業所では「その時その人と締結した労働契約なのだから問題なし」という判断となるでしょう。

介護業界は
「頑張り続けてきた人を泣き寝入りさせる」
「こんちくしょう感を与え続ける」

という方針を末永く続けています。

問題点③「資質のない職員が増える」

当然、入職条件や敷居が低くなれば、資質のない職員も多数やってきます。
そうすると、教える側の現場職員が困惑したり、無駄な時間を取られたり、余計な仕事が増えたりします。

それだけではありません。

資質が備わっていない状況でも、人員不足の事業所ではワンオペ夜勤を平気でさせます。
もちろん、最初は先輩職員と二人夜勤をさせて業務を教えるのでしょうが、そんな機会は1回か2回あるかないかでしょう。

そうなると発生しやすくなるのが
・介護事故
・介護事件

になります。

昨今のニュースなどで流れている介護事件の多くは「ワンオペ夜勤中」に発生しています。
介護職員の資質や専門性や敷居が下がれば下がるほど、介護事故や事件は起こるべくして起こっていくのです。

◆まとめ

業界全体で人員不足が切迫しています。

今後、介護の仕事が特に必要なものではないのなら問題はないのでしょうが、「今後益々必要な仕事」であるからこそ人材の確保が急務となっています。

だからと言って
・敷居を下げる
・外国人を斡旋する
・ボランティアで補填する

という安易な方法に逃げてしまっていることが一番問題なのではないでしょうか。

折角の国家資格を国や業界自らの手でわざわざ価値を下げている状況です。
「名称独占の資格だから仕方が無い」
と言う人もいますが
・管理栄養士
・理学療法士
・作業療法士

なども名称独占の資格です。

私が
「明日から管理栄養士やリハビリ職になります」
と言って雇ってくれる事業所があるでしょうか。

無資格ではまず無理でしょう。
同じ名称独占の資格でも「誰でもできない資格が存在」しているのです。

残念なことですが、私の事業所にも
・無資格のユニットリーダー
・無資格の上司

が存在します。

「ユニットリーダーでさえ無資格者でいい」という業界はどこへ向かっているのかよくわかりません。

「無資格の上司」に指示命令を偉そうにされるのは本当に「こんちくしょう感でいっぱい」になります。

3年間も正社員になれないのは問題ですが、職能に合わせた適切なキャリアパスを整備していく必要があると思います。

コメント

  1. ダメ人間 より:

    こんばんは。
    介福取得後に正社員登用という求人、以前よりかなり見なくなりましたね。
    ただ未だに0という訳ではなく、上記の様な文面が明記されている求人を見ると
    「今の雇用状況を分っているのかな?随分と勘違いしている法人だなー」
    と思います。
    個人的に介福取得後に正職という文面が明記された求人が出まくっていたの、記憶があるのはリーマン後の不況だった気がします。
    当時の自分は、(お恥ずかしいながら)会社都合による退職にて就活をしていましたから覚えているのですが、今と比較すると介護職の求人・・・まぁ随分と上から目線の求人が多かった気がしますし、記憶に残っている介護職求人は「は?何様なんっすかね~」と思いましたもん。
    不況時、正職員という雇用形態がほしいだけで応募がありますし、その時は今よりは有能な人材が入職しているはずなのに、今現在はどれ位残っているんでしょうか?
    クソ悲惨な現場を見て去った人が多いと思いますけど、戻ってきていない可能性が高いので、有能な人材を使い捨てした事業所及び業界にも問題があると思いますよ。潜在の資格持ち人間を量産しても意味ないですし。
    近場にあるそこそこ大きな法人の求人を見ると、「出戻りok」みたいな文面が明記されていますが、そもそも求人にそんな文面が明記される業界、殆どないんじゃないですかね?

  2. 山嵐 より:

    >ダメ人間さん
    こんばんは~
    コメントありがとうございます^^
    なるほど、まだそのような事業所が存在するのですね。
    上から目線の求人はよほど待遇に自信があるのでしょうか。
    そうでなければ笑い種でしかありませんね。
    「出戻りOK」ありますね。
    本当摩訶不思議な業界です。
    異動させられて辞めてしまった人も、元のセクションを希望して出戻りすれば再び希望の場所で雇用されるのではないでしょうか。
    今後は「異動させられて不満があれば出戻りを狙う」ということがスタンダードになるのかもしれません(ならないか(笑))。

  3. とも より:

    おはようございます
    夜勤明けで、帰宅したとこです。
    私が勤めているとこの愚痴になってしまいますが…。
    社会的に低くみられてしまうのは仕方ないと思います。自分で新しい知識を得ようと努力している方は稀で、介護福祉士とれば「もう勉強しない」方が大半です。運転免許でも簡単な更新ありますよね?
    介護在籍年数と知識は比例しますか?資質がある人、前向きにがんばろうと思ってた人を腐らせてるのは、長年いるベテラン介護士さんです←うちの場合。「長年在籍している」こと=介護経験、実績はなんとかしてほしいものです。
    世の中、誰でもできる仕事ばかりです。山嵐さんが例に出した、管理栄養士、リハビリ職もそうですし、看護や医師も(その資格があれば)誰でもいいのです。
    自分の付加価値(山嵐さんらしいケア、自分しかできない何か)を与えられたら、だれでも出来る仕事ではなくなると思います。
    お互いがんばりましょう。

  4. デイちゃん より:

    こんにちは。
    昔は、パートでも、よっぽど仕事ができるとかじゃないと、三種保険すらかけさせなかったんですよ。
    もちろん常勤になるなんて(保険かけたら事実上常勤だけど)、ほぼなかった。
    最近は、人が全然いないので、資格があろうがなかろうが(訪問や福祉用具は資格が必要ですが)、「とにかく保険つけて」「常勤にならない?」って感じですね。
    私の県は、介護福祉士でなおかつ常勤で2年の経験があれば、デイの生活相談員ができるので、介護福祉士があればさらにグッド。
    ただ、三種保険かけたら、骨の髄までしゃぶられま~す。さらに常勤になっちゃったら、地獄行き確定。
    今みたいに人がいない時って、毎日人不足で営業してるから、ただでさえしんどいのに、常勤さんの理不尽なお仕事も押し付けられてくるので、かなり大変。
    ま、したい人がすればいいんだけど。
    今、デイだけじゃなく、訪問や福祉用具も人がやめていってる。
    原因は管理者が事務でいれたお友達なんだけど。
    やっぱり一人二人とやめるだけでも、かなりダメージがありますね。
    やめる人は、たいていは仕事をまじめにしてた人なので、いなくなるとその分の仕事が残りの人にのしかかってくる。
    デイもとうとうシフトが組めなくなったみたいで、8月はシフトが1週間分しか出てないです。
    それも毎日配置基準バツばかり。
    管理者は支店長に現状を正直に話して対処しないと、最終的には指定取り消しとかなったら、大変だと思うのだけどね。
    ま、私は勤務日もかなり減らしたし。涼しい部屋で夏祭りの用意だけしとこう。(笑)

  5. 山嵐 より:

    >ともさん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    夜勤お疲れ様でした。
    確かに現状に満足、というか「介護なんてこういうものだろ」という諦めにも似た感情を抱き日々をやり過ごしている職員は多く存在しますね。
    今まで新しいことを始めようとした人や提案をした人もいましたが、無下にされたり圧力を掛けられたりして結局辞めていってしまいました。
    そんな姿を見ていると声を上げようとする人が誰もいなくなってしまいますよね。
    結局そうなると文句を言わず淡々と長年勤めた人が重宝されるシステムになっていると言えます。
    介護業界の闇の部分ですね。
    お互い頑張りましょう^^

  6. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    やはりそうですよね。
    昔は正職員とか三種保険のハードルが高かったように思います。
    そして、そうなったらなったで「骨の髄までしゃぶられる…」
    闇深いですね><

  7. デイちゃん より:

    昔だと、三種保険つけるだけでも、「保険をつけてあげるから」的な、恩着せがましい感じでした。
    で、保険を付けちゃったら、当然シフトは好き勝手にいれられちゃうんですよ。休日希望とか関係なく、土日祝日とか。
    何か文句を言うたびに、「保険ついてるから」って言われちゃう。
    でも今はスタッフ全然いませんからね。
    しかも私以外は、みんな三種保険ついてるか、常勤さん。保険ついてなかったら保険つけて時間のばせるけど、もう今がマックス。
    こうなると、残る手段は、
    (1)利用者を減らす
    (2)管理者がおかしな研修に参加するのをやめる
    (3)常勤さんが超過勤務をする
    (4)支店の課長が業務支援する
    のいずれかしかない。けど、可能性があるのは(3)かなあ。それ以外の選択肢は管理者的にナシだから。
    利用者減ったら自分の評価が下がるし、研修はせっかく自分が「選ばれて」参加してるからやめたくないし、支店の課長に泣きつくのは恥ずかしいし。
    となって結局、しわよせは部下の常勤さん達に。(笑)
    私は時間は短時間だけど、週に3回以上入浴に入ってて、それを減らしたから。
    一番しんどい午前中の業務、送迎→入浴→食介→口腔ケア→臥床→記録、ってとこをしてたんだけど、それをやめちゃったから、それが回ってくるときついと思うわ。
    特に重度機械浴5人とか。するだけでも心底疲れ切ると思う。
    しかも記録を全部書いてたけど、今月は全部放置する方針。もともと1日入る人が書くことになってるし。
    早めに支店に泣きついた方がいいと思うけどね。
    もうデイはムリなんです。(笑)

  8. アングラー より:

    介護保険自体が公定価格でやってるから頑張ってる人が報われない、こんちくしょう感満載のシステムだと最近感じます。手を抜いても、がんばってもサービスの価格、価値としては同じと評価をされる。ロレックスもダイソーの500円時計も「時計は時計」だからこれからは同じ値段で売りなさいと言ってるのと同じ様な。付加価値を認めるシステムでは無いですよね。
    共産主義国ってこういうこんちくしょうの積み重ねで滅んでいったのかと。民間企業に公定価格でやらせるって矛盾じゃないのかな〜
    介護の専門性とか、資質の向上と言いつつ待遇は単純労働としての扱いで据え置きというお役人さんの姿勢ってどうなんですかね。と言うことを実践者研修という名のお花畑を体験してから感じていて、矛盾を感じながら仕事してます…

  9. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    何かにつけて恩着せがましい所がありますよね。
    保険加入もそうですし、「共済会加入も事業所が半分払ってやってるんだ」とか「そもそも給料を貰えるだけありがたいと思え」的な風潮は感じていました。
    さすがにそういう時代錯誤な詭弁はだんだんと言われなくなってきましたが、やはりまだまだ根底にはありますね。
    シワ寄せや責任の押し付け合いになってしまっている事業所は確かに「ムリ」ですね。

  10. 山嵐 より:

    >アングラーさん
    こんにちは~
    コメントありがとうございます^^
    なるほど、そうですよね。
    公定価格の中では頑張っている人が報われない、というか頑張るほど損、ということになりますね。
    介護業界も図々しいことを言わず「公定価格の中でそれに見合った働きをしなさい」と言えば潔いのですがね(まぁ言わないでしょうが)。
    公定価格でいく以上、公務員のような給与体系にして欲しいですね(まぁこれもならないでしょうが)。
    付加価値や専門性や努力に見合った対価を与えない摩訶不思議な業界だと言えますね。

  11. デイちゃん より:

    もう介護職はどこも足りないので、だんだん事業所の態度も変わってきたと思います。
    前なら、「〇〇して当然」(暗黙の圧力)だったのが、「〇〇しなさい」(高圧的な命令形)になり、さらに「〇〇してください!」(高圧的だが一応丁寧語)に変わって、今は「すいませんけど、〇〇してくれませんか?」(ちょっと弱弱しいお願い)になってきましたからね。
    ま、私は昔から言うことは聞きませんけどね。(笑)
    で、介護職の人も人がいいから、「しょうがないな~」って言うことを聞いてると思うんですけど。
    そこで言うこと聞いちゃダメなんですよ。
    「無理です」「嫌です」「できません」「しません」「断固拒否する」「まずお前がやれ」「お前がやってできたらやってやるわ」などと、やんわりと(笑)拒否する。
    で、ついでに、「じゃあ給料いくら上げてくれるんですか?」「そこまでするんだからタダじゃないですよね?」「あなたはできないですよね?」「自分ができないことを人にたのむんだからそれなりの対価ありますよね?」とか、交渉したいところですよね。
    今は人がいないんですよ。現場の介護職のほうが強いんですよ。現場の介護職はちゃんと交渉力をつけて、処遇改善は自分で勝ち取りたいですね。
    国が~制度が~って責任転嫁するけど、結局はその事業所が介護職の処遇を決めてるんですから。
    私の知り合いの介護職、「給料が安すぎて生活できないからやめる」って会社に言ったら、急に給料が上がったんだって。
    「なんだ上げれるじゃん。だったらはじめから上げろよ。」って言ってた。(笑)
    全国一斉に介護職がストライキ~とかなったら、おもしろいですね。(笑)

  12. 山嵐 より:

    >デイちゃんさん
    そうですね。
    介護職員個々がもっと知識をつけて理論武装し交渉する能力も必要となってくるでしょうね。
    事業所も結局言いやすい職員には色々言うけど、反論してくるような職員には何も言わないことが多いですね。