【2018年第21回】ケアマネ受験者数が激減した5つの理由と介護業界の闇

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今年(2018年)の第21回介護支援専門員実務研修受講試験が去る10月14日に行われました。

受験された方もいらっしゃるかもしれませんが、どうやら受験者数が激減しているようです。

確かに、私が情報収集のひとつとして使っているTwitterでも「受験します(しました)」「合格できたと思います」「落ちたに違いありません」等の話題を見掛けませんでしたし、現に私が勤務している介護施設でも、受験した人が激減しました。

激減というか、一人も受験していないような気がします(隠れて受験していれば別ですが)。

それだけ、殆ど話題に上がって来なくなってしまったのが「ケアマネ試験」なのです。

ちなみに私は、2年前(2016年)の第19回のケアマネ試験を受験し合格しました。

ケアマネの有資格者になったにも関わらず、現在も介護職員として働いています。

その理由や実情も、ケアマネ試験の受験者数が激減していることに関係してくると思います。

今回は、ケアマネ試験の受験者が激減してしまった理由を考察していきたいと思います。

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ニュース記事

ケアマネ受験者 前年の4割に

10月14日に全国で実施される介護支援専門員実務研修受講試験、いわゆるケアマネジャー試験の受験者数が大幅に減少している。本紙の調査では、受験申込者数は5万6,024人。前年の4割強に落ち込んだ。最も減少率が小さかった鳥取県でも4割減となっている。受験者数の大幅減を受け、これまで3カ所の試験会場で行っていた長野県では、一つの会場にまとめて実施することを決めた。

大きな要因となったのが受験資格の厳格化だ。今回から、介護の実務経験での受験ができなくなった。これまでは法定資格をもっていなくても、10年以上の介護実務経験(初任者研修修了者などは5年以上)で受験が認められていた。ケアマネジャーの質や専門性向上を図る観点から、今回より介護福祉士などの法定資格保有者と相談援助業務従事者に限定され、「介護等業務」は受験資格要件から外される。

「介護等業務」で受験できる最後のチャンスだった昨年は、駆け込みもあり、その前の年と比べて受験者数は6,975人多かった。その反動もありそうだ。前回の試験の「相談援助業務従事者、介護等業務従事者」の合格者は4,496人。全体の15.9%を占める。合格者の7割を占める「介護福祉士」に次いで多かった。

【引用元・出典】シルバー産業新聞

シルバー産業新聞社が運営するCare-news.jp(ケアニュース)は介護保険、ケアマネジャー情報をはじめ、高齢者施設やシルバー市場の動向・課題など具体的かつ豊富な情報を発信しています。

理由①「受験資格のハードルが上がった」

上記ニュース記事にも書いてありますが、受験資格が今回の第21回から厳格化されました。

今までは、法定資格(介護福祉士等)を保有していなくても、実務経験(介護現場での勤続年数)が規定を満たしていれば受験することが可能でしたが、今年からそれができなくなりました。

全国各地で今年度のケアマネ試験案内が開始されましたね。 ケアマネ試験は正式には『介護支援専門員実務研修受講試験』というようです...

それがどういうことかと言うと「お金と時間を掛けなければ受験資格さえ与えられない資格」になったということになります。

何故なら、介護福祉士資格や看護師資格などを取得するだけで相当なお金と時間が掛かるのですが、そういった法定資格を持っていないとケアマネ試験を受験することさえできなくなったのです。

仮にケアマネ試験に合格しても、実務研修を受講するのに高額の受講料と膨大な時間が掛かります。

私は第19回(2016(平成28)年)の介護支援専門員試験を受験し 初受験で合格することができました。 現在、ケアマネになる...

受験資格が厳格化された上に、ある程度のお金と時間を消費できる人しか取得できないような資格になってしまったため、ハードルが大きく上がってしまったのが理由のひとつだと思います。

理由②「試験が難解で合格率が低い」

ケアマネ試験は難解で合格率が低いことで有名です。

介護保険制度が始まってからの数年は、とりあえず「ケアマネジャーを作れ増やせ合格させろ」という方針で、合格率も30%~45%くらいありましたが、最近では合格率は15%~20%程度になります(昨年(2017年)第20回は駆け込み受験もあり合格率が20%を超えたようです)。

10人受験して2人合格するかしないか、という難易度になります。

ちなみに、全く土俵も学習範囲も学習時間も求められているものも異なりますが、ここ最近の司法試験の合格率が24%前後であるという事実を見ると「合格率だけで言えばケアマネ試験は司法試験より合格率が低い試験」なのです。

受験資格のハードルが上がった上に、これだけ合格率が低いと尻込みしてしまうのも無理はありません。

理由③「資格を取得しても将来性がない」

それだけ合格率が低く難解な試験であっても、合格すれば輝かしい将来が待っていれば受験する価値はあります。

しかし、現状ではケアマネ資格を取得しても「将来性がない」のです。

まずとても摩訶不思議な実情として、夜勤を月5回程度している介護職員よりケアマネジャーの方が収入が低くなります。

夜勤が無いので、夜勤手当の分だけ収入が下がるのは仕方が無いにしても、結局は「夜勤をしていない介護職員とほぼ同等の収入」ということになります。

お金と時間を掛けてハードルの高い難解な試験に合格し、ケアマネ資格を取得し、ケアマネジャーとして働くと「収入が下がる」という意味不明な将来が待っています。

ケアマネジャーに待ち受けているのは手取り20万円に届かない17万円とか18万円の収入になります。

私は第19回(2016年度)のケアマネ試験を受験しなんとか合格しました。 介護業界へ飛び込んだキッカケの記事にも書きましたが、 ...

そもそも、介護職員の収入だって、他業界と比べると著しく低い水準にあります。

ケアマネになると、その介護職員より更に収入が下がってしまう介護業界の闇がここにあります。

収入が下がるとわかっている職種に喜んで飛び込む人がどれだけいるでしょうか。

確かに「介護職員のまま歳を取るのは肉体的にも精神的にもキツい」「収入が下がっても、腰が折れる前にケアマネに職種替えしたい」という人はいることでしょう。

しかし、それは「妥協」であり「消去法」なのです。

また、今後はAIなどでケアプランを作成していくことも検討されています。

その可否はさて置き、今後ケアマネの存在価値だとか将来性が高まっていくようには感じません。

むしろ「ケアマネ不要論」さえあるのです。

そんな将来性を感じないケアマネになるための試験を受験しようと思う人が減るのは必然でしょう。

理由④「5年更新の資格」

ケアマネ資格を取得すると、ケアマネの業務をしていようがしていまいが5年で有効期限が切れます。

ケアマネ資格は5年更新の公的資格になるのです(国家資格ではない)。

そして、更新のたびに、高い受講料を支払い長い研修を受講する必要があります。

あまりにも面倒くさくて、お金と時間がもったいないのです。

運転免許と同じで、更新しなければ「失効」してしまいます。

ケアマネ資格を取得したが最後、失効させないためには延々と高い受講料と膨大な研修時間によってお金と時間を搾取されてしまうのです(その金額と時間は運転免許更新の比ではありません)。

もちろん、研修で「資質の向上」を目指しているのはわかります。

しかし、介護職員もそうですが、「資質を向上させても待遇も処遇も給料も変わらなければただ搾取されているだけ」という介護業界の闇があります。

将来性もなく、待遇も変わらず、お金と時間を搾取されるだけのアリ地獄のようなケアマネ資格には魅力を感じず、受験者数が激減してしまうのは当然と言えましょう。

理由⑤「医師主導の業界」

介護業界の中のケアマネジャーですが、現状では医療業界の付属のような存在で、医師主導の業務になってしまっています。

「介護認定や更新」には「主治医意見書」が必要ですし、利用者の持病や既往歴から適切なケア方針を決定するには主治医や看護師からの指導や指示が必須です。

もちろん「多職種連携」とか「チームケア」という名のもとに医療もそのひとつなのですが、国が推し進める在宅介護はどう考えても医療中心となっている感は否めません。

ケアマネジャーが同じ土俵に立つためには「医療知識」が必要不可欠になってきます。

医師や看護師がカンファレンスなどで専門用語を使っていても、ちんぷんかんぷんでは仕事にならないので理解する必要がありますし、そもそも医師にアポイントメントを取るのに気を遣っているケアマネが大勢いるのではないでしょうか。

その時点で、チームケアの上下関係が垣間見えます。

実は私も実務研修を受講した際に講師からこう教えられました。

「医者には気を遣え」

「医者の機嫌を損ねるな」

「休憩時間の電話は避けろ」

「まずはFAXで様子を窺え」

生の現場の実情としては「目から鱗」の内容なのですが、ケアマネジャーってなんて「せせこましい職業」なんでしょうか。

進んでやりたい職業には思えません。

まとめ

ケアマネ試験の受験者数が激減している理由について私なりに考察してみました。

正直、本当に今後ケアマネジャーという存在が必要なのか、存在価値があるのか、将来性が高まっていくのか、という点は疑問を感じてしまいます。

本当に必要な存在ならば、もっと待遇を改善したり、魅力や将来性を示していく必要があるでしょうし、お金や時間を搾取する方針を変えていかなければならないでしょう。

このままでは、受験者が増えないばかりか、貴重な人材も逃げていってしまいます。

介護保険制度が介護現場で働く人を潰していき、その結果、質の低下を招き、利用者をも不幸にしてしまっている「本質」が見える人が増えていって欲しいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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コメント

  1. 匿名 より:

    仮に高校卒業から介護職についたとして
    2019年4月~ (18歳)
    2022年1月  介護福祉士試験
    2022年4月~ 介福登録(21歳)
    2027年10月 ケアマネ試験(26歳)
    2028年4月  ケアマネ登録(27歳)

    一般的なコースでは最短で9年かかる。(あってるよね?)
    まぁ9年間ずっと介護続けていればの話ですけど。
    この制度上、若いケアマネなんているわけないし。

    勉強してお金払って合格したら給料下がるってなんやねんw
    って感じですね。(´・ω・`)

    • 山嵐 より:

      >匿名さん

      こんにちは~
      コメントありがとうございます^^

      2018年の第21回ケアマネ試験からそういう受験資格になりましたね(合ってると思います)。
      「法定資格を取得してから5年後」という縛りは相当厳しいですよね。

      「やりがい搾取」の典型としか思えません。

  2. デイちゃん より:

    こんにちは。
    そうやってケアマネを減らしていって、ゆくゆくは、施設ケアマネの廃止・居宅支援費の利用者の自己負担導入・ケアマネの担当件数の制限撤廃、とかになりそうですね、

    施設ケアマネって・・・今でも必要かな。今施設ケアマネがしてる仕事、管理者や事務職がすればいい気がするけど・・。施設ケアマネは廃止後は介護職に転換。(笑)

    自己負担導入は、財政の健全化にはなるでしょうけど、お金の徴収大変だけどね。今居宅が事務員いなくてもできるのは、利用者からのお金の徴収の必要がないからだからね。

    担当件数はもともと50件だったから。業務を効率化して担当件数を増やせ、とかになるかも。今って件数が40件オーバーしたら居宅支援費減らされるけど、その減算がなくなって、100件でも同じ居宅支援費になったりして。(笑)
    そしたら確かに居宅って黒字になるし、ケアマネの給料も高くできますね。ケアマネ減っても利用者増加に対応できるかも。
    わ~、昔のコムスンみたいに、ケアマネは毎月利用者を10件増やせとかになるかも。ケアマネの過労死が続出しそう。

    今、介護福祉士になるだけでも大変ですよね。昔みたいに、実務経験だけで、素手で試験受けて、ギリギリうかった~!っていうのがないから。
    高い金出して時間かけて実務者研修受ける人もいないし。
    介護保険制度の中核である介護福祉士もケアマネも減らして、介護保険制度って維持できるんでしょうかね。

    • 山嵐 より:

      >デイちゃんさん

      こんにちは~
      コメントありがとうございます^^

      施設ケアマネも主任ケアマネの配置が求められるようになるとかならないとか、そもそもケアマネ自体が不要とか、色々な情報や見解が飛び交っていますね。
      まずは、「要るのか要らないのか」をハッキリさせる所から始める必要がありますね。

      介護福祉士も膨大な研修と高額な受講料が必要になりハードルが上がって、なんだか介護業界って利用者云々よりも資格商法が目的の業界に見えてしまいますね。