インフルの施設内集団感染は職員が媒介?初期段階の「生贄対応」が重要?

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インフルエンザが猛威をふるう季節になりました。

昨年(2018年)は私の勤務する介護施設でも、インフルエンザA型の施設内集団感染が発生し、その勢いが暫く続き地獄絵図のような状態になりました。

幸いなことに、今年は今の所、感染者や罹患者が出ていないのですが、ニュースを見ていると、介護施設での集団感染の報道が続いています。

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ニュース概要

インフル集団感染、職員が媒介? 淡路の施設

7人が亡くなった兵庫県淡路市の養護老人ホーム「北淡荘」でのインフルエンザ集団感染問題は、28日で発覚から1週間。今季のインフルエンザ流行は過去最悪レベルとなっており、北淡荘では約2週間で計74人が感染した。この間、施設内ではいったい何があったのか。兵庫県や施設の関係者の証言から感染拡大の経緯を追った。

■異常な事態

最初の発症者は施設職員の看護師だった。1月8日に体調不良を訴え、施設は出勤停止を指示。同時に、入所者が利用するデイサービスも休止した。

だが、翌9日には職員1人と入所者5人が新たに発症。施設は感染症対策委員会を開き、発症した入所者を個室に隔離した。食事も個室で提供し、ほかの入所者には部屋から出ないよう張り紙で指示。面会も原則禁止とした。

10日、感染はさらに広がる。入所者7人と職員2人が発症。そして11日、感染した99歳の女性が脱水症状を起こし死亡する。新たな発症者も13人確認。「これまでのインフルエンザと違い、感染力が強すぎる。異常な事態だと思った」。山田正司施設長は同日、県洲本健康福祉事務所に事態を報告した。

■2階に集中

同事務所の立ち入り調査を受け、施設は11日にまだ発症していない職員に抗インフル薬を予防投与した。一方で入所者への予防投薬は行わず、12日に新たな発症は20人へ拡大した。

県の再指導を受け、施設が入所者への予防投薬に踏み切ったのは1週間後の19日。その後、感染拡大は収束に向かった。

患者は重度の要介護者らが入る2階のフロアに集中した。84人のうち約7割に当たる58人が感染し、亡くなった7人も全員が2階の入所者だった。フロアでは介護職員や看護師らが感染者と非感染者の部屋を行き来していたといい、山田施設長は「手袋やマスク、消毒を徹底したつもりだが、職員が媒介した可能性は否定できない」と振り返る。

■背景に人手不足

抵抗力が弱い高齢者が暮らす施設で感染症が拡大しやすいことは、かねて指摘されてきた。一定の対策が取られる中、感染が広がった背景に、福祉現場の人手不足を指摘する声もある。

約70人が暮らす神戸市内のホームでは、感染者に対応する職員を固定し、他の入所者とは接触させないという。開設から約10年、感染拡大を封じてきたが、女性施設長は「感染者が出た時の人のやりくりにはいつも苦労する」と漏らす。

国は施設が提供するサービス内容などに応じて職員の配置基準を定めている。施設側の判断でこれを上回る配置もできるが、人件費の面でも介護人材確保の面でも難しいのが実情だ。

「集団感染が起きてしまえば、対応は後手に回る。人繰りが厳しくても初期段階で抑え込むしかない」。女性施設長は自らに言い聞かせるように話した。

【引用元】神戸新聞NEXT

7人が亡くなった兵庫県淡路市の養護老人ホーム「北淡荘」でのインフルエンザ集団感染 - Yahoo!ニュース(神戸新聞NEXT)

職員が媒介?

インフルエンザ等の集団感染の原因の大部分は「職員が媒介」で間違いないと思います。

中には認知症の徘徊老人が何人もいて「バイオテロ」のような状態になってしまうことも想定できますが、罹患者の介護をした職員が他の複数の利用者や入所者の介護しなければならない時点で集団感染のリスクは飛躍的に高くなります。

もちろん、出来る限りの感染予防対策(マスク、手袋、予防着、手洗い、消毒など)はしますが、相手(ウイルス)は目に見えない為、どこまで対策しても「完璧とか十分」ということにはなりません。

重要なのは「初期段階での生贄対応」

現場だけで本気で何とか対策しようとするならば、「罹患者に接する(介護する)職員は一人だけに限定し、マンツーマンで対応し他の職員や利用者には一切接触しない」という対応が必要となってきます。

つまり、罹患者にマンツーマンで接する人に選ばれた職員は「生贄」のような存在となります。

「生贄」という言葉は言い方が悪いかもしれませんが、誰しも罹患者やウイルスの中へ飛び込んでいくのは躊躇してしまいます。

感染してしまうリスクが他の職員に比べて飛躍的に高くなる存在であり、家に帰れば家族に感染させてしまうかもしれないのです(そういうリスクを減らす為に、一人暮らしの独身職員が選定されることもよくあります)。

リスクの高い罹患者限定の介護をしていれば、自分が罹患してしまう可能性が高くなるのですが、仮に感染すれば仕事を休み自宅で休養します。

そうすることで、「感染被害を生贄職員だけで治める」ことができ、感染拡大を防ぐことができます。

要は「生贄となる存在を一人の職員に限定できるか、できないか」ということは重要な対応策のひとつになります。

一見、残酷な対応ですが、それが出来なければ「結局は職員全員が生贄状態」であり、感染拡大の原因の多くは「職員が媒介している」と言えます。

生贄対策が出来ない「人員不足」

ニュース記事中にも書いてありましたが、「一人に限定した生贄対応」が出来ない理由が「人員不足」です。

インフルエンザの流行とは関係なく、元々から人員不足の介護業界では、マンツーマン対応が難しい状況があります。

ですから、生贄対応をしなかった結果、次々と感染者が拡大し、歯止めがきかない状態に陥りがちです。

かく言う、私の施設でも昨年はそういう状態でした。

そして、職員にまで感染が及ぶと、罹患して出勤できなくなる職員が増えていき、もっとマンツーマン対応が不可能になっていき、収拾がつかない地獄絵図と化します。

要は、「最初にインフルエンザになった1人目に対する初動で生贄対応ができるか」が最重要になってきます。

罹患者1人目を封じられないと、あれよあれよと感染は拡大していきます(体験済み)。

その為には、普段からの人員確保と、上司や管理者や感染症対策委員会などの迅速な判断がとても大切になってきます。

最後の奥の手?「抗インフル薬」

ニュース記事によると、結局は最終的にインフル予防薬(抗インフル薬)の投与で収束に向かっている、ということです。

この対応は、昨年「私の勤務する施設での集団感染の拡大を収束させた対応と全く同じ対応」でした。

私の職場では、タミフルが職員・利用者ともに予防投与として処方されました(私も服用しました)。

この「最後の奥の手」「究極の奥義」のような対応で収束に向かったわけですが、疑念が残ったのが「これだけ感染拡大する前にもっと早く奥義を出してくれればいいのに」という点です。

体験者の私から言わせてもらえば、抗インフル薬の投与は「相当、効果的」です。

そんな効果的な対応を初動からすれば、今後集団感染で苦しむ介護施設は格段に減るはずです。

しかし、去年の私の職場や、今回の報道のように「拡大してから考えあぐねた結果、予防薬を投与する」という対応には首を傾げてしまいます。

その点に関しては「予防投与するハードルが高い」という問題点が透けて見えます。

こちらの記事に詳しく書いていますが、「価格が高い」という点と「都道府県や保健所などの指導が必要」という2点に集約できます。

「価格が高い」

高額と言っても1人分で5000円前後なのですが、職員や利用者全員に支給しようと思えば数十万円は掛かってしまいます。

しかし、「費用対効果」で考えて欲しいのと、国としても「もっと価格を抑えられるような検討」をしていって欲しいと思います。

「都道府県や保健所の指導が必要」

高齢者や感染すると重篤化する持病を持っている人と、同居している家族がインフルエンザに感染した場合は予防投与として処方してもらえるのですが、「介護施設の職員」に対しては、インフルエンザ蔓延後に都道府県や保健所の立ち入り調査後の指導や判断になります(もちろん、全額自己負担で状況次第で医師の判断の下、処方してもらえることもありますが)。

要は「後手後手」なのです。

感染が拡大したから立ち入り調査をして抗インフル薬を予防投与するのでは「ハードルが高い上に遅い」と言わざるを得ません。

介護施設などの集団感染のリスクが高い職場で働く人達には、もっとハードルを下げれるような体制が必要だと感じます。

最後に

マスクや手袋や消毒などの徹底対応も大切ですが、目に見えないウイルスが相手だと集団生活の場では「気休め程度」と言えます(一人でも徹底していないと総崩れしますし)。

介護施設において、インフルエンザの集団感染を防ぐためには「初動の生贄対応」と「抗インフル薬の予防投与」が重要です。

もっと言えば、生贄対応よりも「初期段階での抗インフル薬の予防投与」が最強ではないでしょうか(生贄職員にだけ最初から予防投与するという選択肢もありかと思います)。

早期に集団感染を防止できる策がありながら、「最後の奥の手」としてしか措置を講じないのには他に何か国家機密的な理由があるのでしょうか。

「お金の問題」だとするならば、国や行政は是非、人命を優先する判断と体制づくりをしていって欲しいものです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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コメント

  1. ショートスタッフ より:

    職員にインフルがでました、その日のうちに入所者全員にタミフルがでたおかげか入居者に発症者は出ずに済みました。
    穴埋めシフトは鬼勤務でしたが。
    うちのショートは全床中8割ロング、そのロングのうち3割が病院受診へ出る方々なので
    外部からのウィルス持ち込みを防ぐ事が不可能なため即投与なんでしょうね…
    ちなみに同フロア職員は自前で予防投与に行けとの強制執行です(シーズン前に予防接種はもちろん強制済み)
    まあ、職業柄必要な自己経費とは思ってますけど。

    夜勤明けなのでこれから寝ます。

    • 山嵐 より:

      >ショートスタッフさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      おお~やはり予防投与は効果的ですね。
      職業柄、抗インフル薬の予防投与は福利厚生でなんとかして欲しいところですね(笑)