褥瘡(じょくそう)は介護職の恥?

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長らく介護職員をしてきて、よく耳にするのが

「褥瘡(じょくそう)は介護職の恥」

という言葉です。

つまり、「利用者に褥瘡を作ってしまうのは、介護職員として恥ずべきことなんだ」という意味になります。

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「褥瘡(じょくそう)」とは

世間一般の人にはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、要は「床ずれ」のことです。

寝たきりの利用者の体位交換をしなかったり、長時間同じ個所の皮膚が圧迫されることで発生します。

皮膚が長時間圧迫されると「栄養」や「酸素」や「血流」が滞ったり、行き届かなくなり、皮膚が傷つくことで発生します。

初期の段階で適切な対応や処置をしないと、どんどん悪化し、筋肉や骨や健が露出するほど皮膚が壊死し、外科的な処置が必要になるくらい深刻なものになります。

「NPUAP/EPUAPによる褥瘡の分類」で下記の図のように分類されています。

褥瘡になりやすい人は?

褥瘡の原因は、長時間の皮膚の圧迫による壊死なのですから「寝たきりの人」がなりやすいです。

しかし、実際には、他にも褥瘡になりやすい人が存在します。

・低栄養(食事摂取量が少ない人)

・湿潤(尿や汗などで常に皮膚が湿っている人)

・特定の病気がある人(うっ血性心不全、骨盤骨折、脊髄損傷、糖尿病、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患など)

・摩擦(介助や自動運動で皮膚の摩擦が発生しやすい人)

・骨の突出(痩せすぎている人)

などになります。

つまり、「寝たきりの利用者だけを気に掛けていればいいというわけではない」ということになります。

褥瘡は介護職の恥?

介護職員としては、「寝たきりの利用者の体位交換を頻繁にすれば褥瘡を防げる」という点から、褥瘡を作ってしまうことは「介護のプロとして体位交換を怠った結果であるから恥に思え」ということを言われてきました。

上記に当てはまる全ての利用者の褥瘡に留意するのは当然ですが、恐らく各事業所内に「褥瘡対策委員会」というものが存在するかと思います。

その委員会で、スケールを使って褥瘡リスクに対するアセスメントや評価をしたりして、特に注意すべき利用者を特定していることと思います。

しかし、実際には2時間~3時間ごとに利用者の体位交換を行っていても、褥瘡が出来てしまうことがあります。

体位交換の時間間隔には利用者個々の状態によって、褥瘡の発生時間は変わってくるのです。

つまり、「どれくらいの時間間隔で体位交換をすればいいのか」ということにエビデンス(根拠)がないので、事業所や委員会から標準指定されている時間で体位交換を行っています。

(そりゃ、1分に1回体位交換が出来れば褥瘡リスクは軽減しますが、職員にとっても、利用者にとっても「それはちょっと不憫な状態」です)

つまり

「規定通り体位交換をしていても褥瘡は発生してしまう」

というリスクは避けられないのです。

もちろん、体位交換でそのリスクを軽減させることが大切なわけですが、「どんなに頑張っても現状ではリスクをゼロにはできず、それを以て介護職の恥と言われる筋合いもない」ということになります。

介護職として大切なことは?

利用者に褥瘡が出来てしまうと、申し訳なく思ったり不憫に思ったりするのですが、本当に大切なことは

①早期発見

②初期段階での治療

になります。

①早期発見

排泄交換時や入浴時などに、利用者の皮膚状態の観察を行います。

皮膚が赤くなっていたり、剥離(はくり)していれば、すぐに看護師に報告を行います。

「早期発見」も介護職員の専門性のひとつです。

ちなみに、初期段階の発赤(ほっせき)が「褥瘡か褥瘡でないかの見分け方」として、赤い部分を3秒間指で押して赤くなっている皮膚が白くなるか確かめる方法があります(指押し法)。

指で押すと白く変化し、指を離すと赤くなる場合は、褥瘡ではありません

逆に、指で押しても白くならず赤いままだと褥瘡の疑いが濃厚です。

但し、指で押して白くなる場合でも、虫刺されや皮膚かぶれ等の皮膚トラブルの可能性があります。

看護師には適宜、報告しましょう。

②初期段階での治療

発赤だけの状態ならば、まだ初期段階です。

医療的な処置や薬が無くても「体位交換」で軽快することが可能になります。

皮膚剥離してしまっていれば軟膏等の処置が必要になってくる場合もありますが、これも初期段階であれば体位交換と並行して行うことで軽快します。

体圧を分散させるベッドマットや座布団が使用できれば尚良しです。

要は「これ以上悪化させないこと」がとても大切なのです。

まとめ

昔から、何でもかんでも現場の介護職員に責任を押し付けられている風潮にとても嫌悪感を感じています。

ですから「褥瘡は介護職の恥」などと言われることも嫌悪感を感じてしまうわけですが、実際には恥でも何でもなくて、「早期発見」や「初期段階での対応」の方が重要だということです。

もちろん、最初から褥瘡を発生させないことは大切です。

しかし「褥瘡の発生リスクはゼロにできない」ということがわかれば、介護職員にとっては大変失礼な言い分になります。

まずは、正しい知識を身に着け、事業所全体で対応していくことが必要です。

コメント

  1. めど立てたい人 より:

    初めて介護労働者になるまでは、床ずれなんて言葉は知りませんでした。褥瘡含めて。

    無知未経験の私は「介護で親(兄弟)を殺すなんてけしからん」とキラキラお花畑の考えをしていました。今思うと無自覚な賛同者です。

    そして、いざ現実を知ると介護は虐待や××の理由として極めて妥当だなと思います。※あくまで個人の意見です。

    初めて勤めた介護会社では、記事タイトルやその委員会はありませんでした。一応介護も注視はしていましたが、あくまで看護の領分でした。

    そして、今のブラック(=違法)介護会社に勤めて初めてタイトルや委員会を聞いて驚きと辟易をしました。

    少ないサンプルですが、たぶんこの言葉をいったり家族に言わせたり、またその委員会があるような介護会社はブラック(=違法)企業ですね(今さら)

    少しでも介護知識があれば、家庭の方が圧倒的に褥瘡を作っているのは周知?と
    思いたいです。しかし仮にそうだとしても、実社会では介護を知らない人の方が圧倒的多数なんですよね。それこそその家族含めて。

    あと、あくまで一時預かりの業務はこの記事タイトルをより聞きやすいのかもしれませんね。

    • 山嵐 より:

      >めど立てたい人さん

      こんにちは~
      コメントありがとうございます^^

      委員会はリスクマネジメントとして必要かとは思いますが、「褥瘡は介護職の恥」だなんて言ってる人は「介護業界の恥」ですね。

  2. デイちゃん より:

    こんにちは。
    褥瘡については、堀田予防医学研究所のサイトに詳しく書いてますね。(ちょっとあやしいのですが)
    でも、皮膚をこすってからたたいたら、すぐに褥瘡ができることから、摩擦がよくないんだ・・・というのは理解できました。
    だって「床ずれ」って言いますもんね。

    なので私は、これまで重度寝たきりの入浴の際、仙骨部や臀部などは不潔になるだろうと思って、機械浴槽内で湯につかった後、おしりをうかしてタオルでこすって洗ってたんですけど、豚の皮膚の実験を見てからは、以前よりもやさし~く表面をなでるようにしています。
    施設で体位交換を定期的にしてるとこもあるけど、あれもやり方がまずいと逆効果なのかもしれませんね。だから「体交してんのに褥瘡できた」ってなるのかも。
    で、人もいないことだし、施設もすべてのベッドに、自動体位交換器つけてもらいましょう。
    介護職は楽、利用者も褥瘡がなくなる、万々歳ですね。(笑)

    • 山嵐 より:

      >デイちゃんさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      まぁ結果論ですから、どんなに体位交換をしていても、褥瘡ができてしまえば「体位交換のポジショニングが悪かったからだ」と言われてしまうのかもしれませんね。
      耳やかかとにも発生しますし、利用者一人一人の状態(病気や拘縮や円背等)でもポジショニングは変わってくるでしょうし、自動体位交換器で褥瘡ができなくなるのであれば導入して欲しいですね。

  3. とも より:

    こんにちは
    褥瘡は介護職の恥ですか…
    私も自分の二週間の入院時、軽度の発赤をつくったのですが、病院からは何もなかったですよ。
    恥とは言わなくても、なるべく処置は減らしたいなあ(もちろん必要なのはありますよ)と思います。
    私の勤務先では、利用者の不穏や皮膚剥離も職員のせいだととらえられる風潮があります。確かに一部の職員が本当に一部の職員が何気なく言う言葉が利用者に悪影響与えたり、腕や足首を掴む、引っ張る行為で怪我をさせるので、ちっとはプロの自覚持ってよと思うこともあります。

    • 山嵐 より:

      >ともさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      医療現場と介護現場では対応も与えられた環境も許されるものも似て非なるものなんですよね。
      病院では拘束が許されるけど介護施設では許されないのも然りです。

      確かに声掛けひとつで利用者が不穏になったりすることはありますね。
      全てではないですが、資質のない職員が存在するのも事実です。

  4. MASK より:

    お疲れ様です!

    ほんとそれ!です。
    褥瘡出来るのは介護職員のせい・・みたいな。
    なので上から2時間毎の体位交換しなさいってのと、
    〇〇月までに褥瘡ゼロにするようにって目標?が掲げらました。。
    体位変換しないから、ポディショニングが悪いから。としか思ってないみたいです。
    それでやたらとクッション購入(苦笑)

    自力体位交換出来ない方には2時間毎の体位交換・・・疑問ですわ。
    出来る要因はそれぞれなのに。

    現場職員が何言っても、上が言う事は絶対みたいな雰囲気になってきてるので、
    現場は、やりにくいです><。

    • 山嵐 より:

      >MASKさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      そうですよね、2時間ごとの体位交換も個々の状態で一律に決められないですよね。
      かと言って、それ以上短い時間での体位交換は現状の人員配置ではなかなか困難で過重なものになってきますし。

      上は利用者を見ずに役所や行政ばかりに視線を送っているんでしょうね。

  5. MASK より:

    ほんと利用者の状態見てない!

    80㎏くらいある利用者が入所した時、
    さずがに無理だって言ってるのに何も聞き入れず何の対応もしてくれず、
    女性職員じゃ無理過ぎて男性職員に頼るしかなくて、
    そしたら男性職員の腰みんなやられちゃって・・。
    それなのに姫抱っこは腰痛予防で禁止されてるからダメ!!って騒ぎだすし、
    何なの?って感じです。
    視点が狭すぎなんですよね・・。

    スライディングボードを試供で取り入れたみたものの、
    跳ね上げ式の車いすじゃないから特定の人しか使えないってゆ~。
    まず環境整えて~って。

    お風呂での移乗介助とかどうされてますか?
    うちの所は1日30人くらい入れてて、半分以上は立てない人なので、
    ほぼ全介助で抱えて、洗身介助もして・・で腰死んでます><。
    あと、風呂でキレイにしたいのに座位式だとお尻とかって洗いにくくないですか?

    • 山嵐 より:

      >MASKさん

      こんばんは~
      返信ありがとうございます^^

      まずは環境の整備と人員の確保が優先ですね。

      うちはユニット型なので、協力ユニットと合わせて利用者はマックス20人になります。
      ですから1日に20人や30人も入浴介助をすることはまずないです。
      せいぜい多くて10人くらいでしょうか。

      立位の取れない利用者の移乗は無理をせず二人介助をしています。
      シャワーチェアのお尻の部分に大きく穴というかU字型にあいていて、その部分は座ったままでも洗身できます。
      他の洗いにくい箇所があれば、やはり二人介助ですかね。