【介護保険制度が破綻している理由②】最低の待遇で最高のサービスを求められる「異常な介護現場」

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介護業界では、これまで「職員の資質の向上」だとか「利用者本位」という名のもとに、利用者に対して至れり尽くせりのサービスの提供を推進してきました。

利用者からの暴言・暴力さえ受け入れる治外法権とも言える異常な業界です。

【関連記事】

以前、介護業界では利用者から介護職員への暴言や暴力が日常的に行われており、事業所内も含め業界全体でそれが容認されている現状と...
先日、利用者や入所者から職員への暴力や犯罪行為の実態と、それを容認している事業所や介護業界の闇について記事を書きました。 ...

そういう状況であっても上司や事業所は現場職員を守ってはくれませんし、危険業務手当などの特別な対価があるわけでもありません。

それどころか、他業界の平均月収よりも約10万円も低いという低レベルな賃金水準になります。

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財源の問題

介護保険制度は文字通り介護保険で賄われています。

その財源に限りがあり、枯渇することが目に見えている状態であれば、現場職員に満足のいく収入を支給することができないのは当然です。

その状態で騙し騙し、切り詰めながら、職員の自己犠牲に頼りながら、時々繋ぎの起爆剤(各種加算や処遇改善手当や外国人介護士等)を投入しながら、なんとか首の皮一枚で繋がっているのです。

つなぎ融資を繰り返す倒産前の会社の姿に酷似しています。

介護業界は不健全

そんな状況の中で、現場職員が身体と生活を犠牲にしながら継続している介護業界は絶望的な危機に陥っています。

利用者のQOL(Quality Of Life)、つまり「生活の質」を上げることを使命とされながら、そのサービスを提供する職員のQOLは著しく低下していく制度が介護保険制度だと言えます。

「誰かを幸せにするために誰かが不幸になる」という状況は、とても「不健全」な状態で、高齢者を支えるために現役世代の人が潰れていく国家や業界は誰がどう考えても正常な統治から外れてしまっています。

不健全な業界が繁栄することはありませんし、極論で言えば「介護保険制度は現役世代を潰していく制度」だと言っても過言ではありません。

社会保障費が増加

国家予算である社会保障費が増えれば介護対策費などの介護業界で使われる財源も増えるので喜ばしいことに聞こえます。

しかし、増えた額や増加率というのは、余裕財源が増えたわけではなく、「それだけ高齢者に使用する支出額が増えた」という意味になります。

つまり、事業所や現場職員に回ってくるお金が増えたわけではありません。

増えないばかりか減ってしまう可能性さえある悪政です。

増加分の社会保障費を賄うために、消費税や現役世代の給料がターゲットにされます。

源泉徴収税や社会保険料、厚生年金保険料などの天引きされる金額が増加し、結果的に収入が下がってしまうことになれば目も当てられません。

高齢者が自分らしく生活するために、現役世代が自分を押し殺し切り詰めた生活を余儀なくされる制度だと言えます。

最低限の介護へ原点回帰

現状を打破するためには、介護保険制度の再建やお役人さんたちの意識改革が必要なわけですが、まずは「現場職員の負担を減らす」ということが先決です。

その為には、介護保険制度下では最低限の3大介護(食事・排泄・入浴)ができていれば良しとする原点回帰が必要だと思います。

そして、国も業界も事業所も高齢者も「それ以上は望まない」こととし、制度のスリム化を図ることで、人員不足や財源や業務負担がある程度解決できるのではないでしょうか。

もちろん、それ以上の生活の質を向上させるような介護や支援が必要であれば、保険外の自費で対応したり、民間の有料老人ホームなどに入所するという選択肢があります。

現在の保険財源の中で、できることとできないことの線引きをせず、利用者や家族のニーズがあれば職員が犠牲を払ってでも成し遂げようとしている現状が「一番の問題」なのです(ニーズさえないのに、オムツゼロ推進などの方針は国や行政だけが得をするのでしょうね)。

高齢者だって、お金を支払うことで自分の望むサービスを選択する「自己決定権」がありますし、現場職員にとっても業務負担が減ったり、収入が増えるメリットがあります。

これが介護保険という制度上、一番解決が早くてしっくりくる方法ではないでしょうか。

まとめ

今回は介護保険制度が破綻している理由の第二弾の記事を書きました。

【第一弾】

介護サービスを利用するためには「要介護認定」で「要支援度」や「要介護度」を判定する必要があります。 要支援は1~2の2...

現状の介護保険制度では「最低の待遇で最高のサービスを提供する」という方針であり、そんなことばっかりを推進しているから人材も集まらず、むしろ逃げていき、既に破綻している制度だと言えます。

このまま介護の担い手がいなくなるということは、最終的に高齢者を見捨てることになり、不幸にさせることになります。

高齢者だけでなく、その家族も不幸になり、街中に高齢者があふれ出す日も近いでしょう。

まずは職員の負担を減らし、貧困問題(ワーキングプア)を解決していく必要があります。

介護保険制度内では最低限のボーダーラインで介護を提供していき、それ以上のものは自己負担で提供していくことで、今後不幸になる人が減っていくと考えます。

介護現場にも効率化や生産性の向上を取り入れていくことが急務なのです。

「最低の待遇で最高のサービス」の提供を強要する異常な業界は既に破綻していると言えます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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コメント

  1. ともちゃ より:

    誰かを幸せにするために自分が犠牲になる・・・・

    介護の現場の状況を知るにつけ、なんかやりきれない気持ちでいっぱいです。

    それも、他業種に比べて10万も低い賃金で拘束時間も長く、

    自分も家族も犠牲になって働き続けなければならない

    現実の元で働き続けていらっしゃる山嵐さんのお気持ちお察しいたします。

    わたしには無力で何もしてあげられることができないのが、

    非常に腹立たしいですが、ブログを介して勇気づけられないかと

    考えています。どうかこれからも引き続き拝読させていただき、

    コメントを入れさせていただきますのでよろしくお願いいたします。

    微力ながら、はてブ・応援ポチさせていただきました。

    次の更新をお待ちしております。

    • 山嵐 より:

      >ともちゃさん

      こんにちは~
      コメントありがとうございます^^

      そう思って頂けて幸いです。
      介護現場の現実をもっと世間の人にも知って欲しいと思っています。

      応援頂き重ねてお礼申し上げます。
      今後とも宜しくお願いします。

  2. とも より:

    こんばんは
    私も最低限度の介護は提供するが、それ以上はオプションで追加していくという考えに賛成です。難しいことではなく「特養の居室の電気代」や「療養食加算」のように目に見えるオプションでいいのです。例えば「外出させてください」と言われたら、タクシーみたいにガソリン代以外の外出同行代を取る、事故を防ぐ手だてを講じたらリスクマネジメント加算を取るなど
    サービス精神旺盛な介護職なら、自分の行動に結果が伴うと、モチベーションがあがると思います。
    現状、モチベーションの『維持』で精一杯の介護職にモチベーションの『向上』をさせる一手がほしいですね

    • 山嵐 より:

      >ともさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      そうですよね。
      無料に近い金額で何でもかんでもサービスを提供する必要はないと思います。
      どうしても暴言暴力のある利用者を受け入れなければならないのなら、暴言のある利用者なら1日5万円、暴力なら1日10万円とか取って現場に分配すればいいと思います。
      「それだけ手当くれるなら自分が介助に行きますよ」っていう人が沢山出てくると思います(笑)

  3. ダメ人間 より:

    こんばんは。

    >最低の待遇で最高のサービスを提供する
    前に似た事を書いた記憶がありますが、吉野〇や松〇の牛丼なみの値段でミシュラン3つ星クラスのお店の味を、提供しろって言ってる様なもんですよww
    どう考えたって無理って分る事を、この業界は「ご利用者様のぅ~がぁ~」なんて言って、訳分らない状態にしてるんですから……どこの介護甲子園ですか??

    またともさんが言ってるオプションの件、自分は前に書き込んだネタですが、有料老人ホームで既に色々とあります。
    包括や居宅のcm様に聞いたら、教えてくれたりしますよww

    • 山嵐 より:

      >ダメ人間さん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      どこかの介護甲子園って、全部名称言っちゃってますね(笑)
      オプションは有料老人ホームは色々ありますね。

      普通はオプションを取るべき支援を介護保険内でやってしまうから問題があるのでしょうね。

  4. デイちゃん より:

    こんにちは。
    私のデイはおかしなスタッフばかりで、仕事はものすごくいい加減なんですが。
    ある意味、「少ない給料に見合った低レベルなサービスを適切に行っている」とも言えます。(笑)

    常勤元妊婦なんて、利用者ほったらかして一日中座ってる。利用者に声もかけない。お茶もださない。記録はアフォ丸出しの文章書いてる。で一日中座ってるのに記録が終わらない。子供が熱出したといつでも急に休む。
    給料はむしろ払い過ぎなんじゃないかしら。(笑)

    これから外国人が入ってきたら、いい加減な日本人は淘汰されるんでしょうかね。

    • 山嵐 より:

      >デイちゃんさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      うちの給与支払い日は25日なんですが、今月は祝日と土日と被っているので今日給料が入金されていました。
      やっぱり「トホホ…」という気持ちでいっぱいです。