「こんな介護の研修やセミナーはイヤだ!」5つの注意点とは?

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自分のためにも、事業所や利用者のためにも、介護職員個々が専門性を磨いたり知識を蓄え、経験を積んでいくことはとても大切なことです。

研修を受講したり資格を取得したりセミナーや勉強会に参加したり本を読んだりネットで検索したり、各々の方法で自己研鑽に励んでいらっしゃることと思います。

しかし、「世間の常識は介護現場の非常識」と揶揄されているように、介護業界独特の情報や知識が平然と紛れ込んでいるので、注意が必要なことがあります。

また、個人的に違和感を感じてしまう研修やセミナーもあるので併せて書いていきたいと思います。

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注意点①「常識を見失わない」

情報を得る際に「自分の思考を停止させない」ということが大切です。

当たり前のことのように思われるかもしれませんが、介護業界には非常識が溢れています。

対価の伴わない「やりがい搾取」がスタンダードな業界なので注意が必要です。

例えば、

「利用者の暴言や暴力は介護職員の寄り添い方で改善するので専門性を磨くべき」

と言っている人もいれば、もう一方で

「寄り添う介護にも限界があるので、利用者の暴言や暴力に対しては適切な方法で医療に繋げる選択肢を持つべき」

と言っている人もいます。

同じ問題に対して違う見解になります。

折衷案を考えると

「利用者の暴言や暴力は介護職員の寄り添い方で改善する可能性もなきにしもあらずだが、それでも無理なら適切に医療へ繋げましょう」

と言うのなら納得もできます。

しかし、実際の現場では認知症の周辺症状(BPSD)での暴言や暴力は介護職員としての関わり合いだけではどうにかなるものではありません。

効果があるのかないのかはさておき、内服薬に漢方の「抑肝散」が処方されていたりするかと思います。

少なからず「医療」の介入は必要なのです。

そもそも、利用者の暴力や暴力ですが、認知症状ではなくて、普通の利用者が、人生や自分に失望してヤケのやんぱちになったり、職員の対応で本当に腹立たしいことがあって、一時的に暴言や暴力が出てしまう可能性はあり得ます(だからと言って他害行為は許されませんが)。

それを寄り添ったり詳しく話を聞いたり、対応の不備を謝罪することで悲しみや悔しさや怒りがおさまった例なのではないかと思っています。

そんな状況なら、介護現場でなくともあり得る話です。

それに尾びれ背びれをつけて誇張し、無理やり認知症介護に当てはめた机上の空論なのではないでしょうか。

※ごく稀に認知症の周辺症状にも効果的だった例があるのかもしれませんが、それはスタンダードとは呼べません。

つまり、情報や知識を得ていく際に、自分の思考を停止させずに、世間の常識に当てはめて考えていく必要があります。

注意点②「肩書きに惑わされない」

日本人は肩書きに弱いと言われている人種なので

「理事長」

「施設長」

「代表」

「医師」

「弁護士」

「研究者」

「コンサルタント」

「カリスマ」

「著名人」

などの肩書きやステータスのある人の発言を鵜呑みにしがちです。

過去記事でもいくつか触れていますが、肩書きやステータスの虎の威を借り鵜呑みにする前に、内容をしっかり自分で吟味する必要があります。

悪しきジャパニーズスタンダードのひとつに 「日本人は肩書きに弱い」 ということがあります。 ◆肩書きとは 会...
「介護業界の現状が許せない」 「高齢者が人として在るべき姿で生活出来るように」 「介護業界を変えたい」 そう思う人は沢山いるこ...

注意点③「需要と供給」

最近では、介護職員側に立った考え方の講師やコンサルタントも増えてきました。

「介護職員側」と言っても、ひいきしたり偏った見解ではなく「極々当たり前で常識的なこと」に過ぎないのですが、今まで虐げられてきた介護職員にとっては、「とても斬新なもの」に映ります。

そういう常識的で斬新な内容の研修やセミナーは

「介護職員ではなく事業所経営者や業界の偉いさんに聞いて欲しい」

と思ってしまうのは私だけでしょうか。

しかし、残念ながらそういった内容は介護業界のスタンダードではないので、事業所や業界の人たちには「需要」がありません。

もちろん、介護職員として知らなかった知識や情報を取り入れていくことは大切なのですが、業界や現場に活かしたり反映できない知識は「隠れキリシタン」のように後生大事に温めておくことしかできないのです。

それでも「自分の専門性を高める」という名の下に受講する介護職員がいるので、供給のターゲットが下を向いてきます。

「情報や知識を得て専門性を高めていくことは良いこと」

「需要と供給が一致しているのだから問題ない」

ということは頭でわかっているのですが、「結局、介護職員が搾取されているだけではないか」という違和感を感じてしまいます。

その構図は、内容が違うだけであって、現在の介護業界が行っている受講料や資格取得費を介護職員から搾取する構図そのものに見えます。

注意点④「講師が無資格・未経験」

自分が教わる講師が無資格・未経験だとちょっと引いてしまいます。

要は「現場経験は無いけど知識は豊富」ということになります。

それだけ知識があって介護職員を指導したり支援したいと思うのなら、まずは現場に立って欲しいと思います。

資格が全てではないにせよ、「介護福祉士」に介護の専門性や知識を伝えるのに無資格では経験不足ではないでしょうか。

他の職種や業界で無資格や未経験者が講師をしているのを聞いたことがないのですが、やはり介護は「特殊」なのでしょうか。

注意点⑤「内容がキラキラした綺麗ごと」

未だに現場職員に対してキラキラした綺麗ごとを教える講師もいます。

理想論としては理解できるのですが、そういった内容は介護福祉士資格を持っている人にとっては既にわかっていることですし、より良い介護をしたいと願っているのは現場職員だって同じなのです。

それをサブリミナル効果のようにあたかも斬新な切り口かのように精神論を訴えられても、我々が本当に求めているのは「その綺麗ごとを実行するためには具体的にどうすればいいのか」ということです。

「転倒の危険があるから利用者を長時間座らせておくのが介護でしょうか?」

「いい加減、我々は考え方を変えなくてはならない」

というような内容を言う講師もいます。

私に言わせれば「そんなことは既にわかっていること」なのです。

でも実際の現場では理想とは違い、そうしなければならない「原因や理由」があるのです。

人員不足だとか、業務過多の環境であるとか、問題は山積みです。

その原因には触れずに「考え方を変えろ」とは、現場にしわ寄せするだけの図々しい言い方だと感じます。

考え方を変える必要があるのは、講師の方ではないでしょうか。

もっと言えば、事業所や業界や国の考え方を変えていってもらう必要があります。

おっしゃるような「綺麗ごと」を介護職員が実施していくためにまず何より先決なのは「人員確保」であったり「給与水準の見直し」であったり「人間関係や業務の押し付け合い等の職場環境改善」なのではないでしょうか。

そこをすっ飛ばして、理想論や綺麗ごとを並べ立て、介護職員にばかり押し付けようとするから「何も変わらない」のです。

介護職員だって、与えられた環境の中で働く「組織の一員」であるという認識があれば、その講師の言っていることは「木を見て森を見ず」状態なのは明らかです。

まとめ

「搾取される」「お金が掛かる」と言っていたらどんな研修も受講できませんので、最終的には常識の範囲内で自分のレベルに見合った必要な研修を自分の判断で受講したりセミナーに参加したりしていけばいいかと思います。

「自己投資にはお金を掛けろ」という言葉もあるので、それはそれでいいのですが、「介護業界には違和感を感じるものが多い」という印象があります。

あまりにも「専門性」と「やりがい」を意識しすぎた業界の闇の部分なのかもしれません。

コメント

  1. ダメ人間 より:

    こんばんは。
    注意点②「肩書きに惑わされない」の「コンサルタント」という文字を見て、とある事を思い出しました。

    超短期間だけ相談員をやってた法人にて職員の数人が退職後、団結して小規模通所を立ち上げたんですよ。通所が竹の子の様にポンポンと出来ていた時代の終盤辺りですかね。
    その団結した数人の中の1人とまだ交流があり、実際に会ったりして色々と話しをするんですけど、(その人も含め)団結した職員の大多数が福祉バカで、
    「それ、民間でやったら超絶に非常識」
    的な事も普通にやってて、それが通用する福祉業界はおかしい。

    立ち上げて暫くはなかなか利用者が満員にならず苦労していた時、その事業所はとあるツテで期間限定でコンサルを入れたんですよ。
    どんな指導を受けてるんだろう?と興味を持ち聞いてみたら、
    ・2chに書いてある様なネタや、ネットで拾えるばかりのネタ
    ・自分みたいなF欄大卒でも分りそうな常識ネタ
    こんな感じで、それを有り難く聞いてるみたいで、個人的に笑ってしまいましたww
    融資を受ける時に事業計画を綿密に立ててるはずだよね?と聞くと、「?」な顔をして
    をして、「あ…こりゃダメだ」と更に感じました。

    そしてダメダメなコンサルさんに興味を持ってどんな人なのか?聞いたら、3福祉士を持ってるが、福祉畑一筋で来た人との事。言い換えたら、こちらも民間経験が無い福祉バカww
    福祉バカが福祉バカにアドバイスしてる……ダメですね。こりゃ。

  2. ダメ人間 より:

    すいません。書き忘れです。

    自分が笑っていたら、
    「貴方は民間を経験してから福祉業界にきているから分るかもしれないが、福祉畑が長い人だと分らない事が多いんだよ~」
    みたいな事を言ったんですよね。
    その人もFですが大学を出てますけど、いやいや…そういう事じゃないんですよ。

    業界の慣習はどの業界にもあるのは否定しません。超~独特な慣習もありますし。
    でも福祉業界に限って言えば、もう教えるとかじゃなくて今まで生きてきて常識的な事まで、何でねじ曲がる形になってるのか?とっても不思議なんですよ。

    何か愚痴的な書き込みになってしまい、申し訳ありません。

    • 山嵐 より:

      >ダメ人間さん

      こんにちは~
      コメントありがとうございます^^

      福祉バカなのと経営手腕は全く別物ですし、ましてや世間の常識さえわかっていないから「福祉バカ」なのでしょうね。
      世間の常識を持って運営すればわかりそうなことを全く独特の解釈な非常識がまかり通る類まれなる業界ですね。

      やはりどこか腹の中で「介護の世界は治外法権」という間違った認識があるのでしょうね。

  3. 現役保険営業マン より:

    こんばんは。

    秋晴れが続き、朝晩の冷え込みが厳しくなってきますね。ご自愛ください。

    記事の中でちょっと気になった箇所がありますのでコメントします。漢方薬の抑肝散ですが、レビー小体型認知症の患者に処方されている漢方薬ですね。

    効果があることが知られていますよ。

    • 山嵐 より:

      >現役保険営業マンさん

      こんにちは~
      コメントありがとうございます^^

      抑肝散は介護現場ではレビー小体型認知症の人だけでなく、幅広く認知症者や興奮状態がある利用者に処方されています。
      神経の興奮を鎮めてイライラや怒りっぽさや不安を改善する目的なのですが、定期的に服用していても暴言や暴力や帰宅願望のある利用者の症状が改善しているようには見えないことが多いです。

      もしかしたら、それでも少しは効いていて、服薬していなければもっと激しい症状があるのかもしれませんが、介護現場での抑肝散は「気休め程度の漢方薬」という認識があります。

      朝晩は本当、寒くなりましたね。
      ご自愛くださいませ^^

  4. デイちゃん より:

    介護福祉士の技術講習会では、片麻痺のある人の立ち上がりの練習をえんえんとやったんですけど、まあまあ役に立ちましたね。
    麻痺のある人の体を支える時は腰をもつとか、利用者の手足を持つときは下から支えるようにもつとか、布団をのけるときはそーっと風がこないようにのけるとか、わりと実践的でした。

    どうせ研修受けるなら、移乗しようとしたらかみついてくる利用者の移乗方法とか、聞いてみたいですね。
    実際の業務に役立つといえば、体重が重い人をベッド上で上に引き上げる方法とか。
    足を下につけない体重のある人を、簡単に楽に安全に移乗する方法とか。
    結構ネットではあるんだけど。
    あ、ネットで調べればいいのか。
    やっぱり研修必要ないわ。
    処遇改善とか加算とるためには、研修が必須とはなってますけどね。

    • 山嵐 より:

      >デイちゃんさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      役に立つ研修もありますが、大体はネットで調べられますよね。
      ひと昔前の夏休みのラジオ体操と一緒で、別に家でもできるけど、実際にやってるかやってないかわからないし、皆で集まってやることに意義がある、みたいなものでしょうか。
      そして参加した証にカードにハンコを貰う。

      加算に研修を要件にしているものは「お金をやるからお金を使え」という錬金術にしか見えませんね~