介護現場の「働きやすさ」を評価する「認証制度」への期待と建て前感

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介護現場の人手不足は今日も明日も深刻です。

解決する兆しすら見えない状況ですが、「厚生労働省が介護事業所の「働きやすさ」を評価する認証制度を全国で開始する」というニュースを見ました。

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ニュース概要

介護職場の「働きやすさ」評価・認証制度開始へ

厚生労働省は、介護現場の人手不足が深刻なことから、研修や休暇制度など、「働きやすさ」に焦点をあてた介護事業所の評価・認証制度を全国で始める。今年度中にガイドライン(指針)を策定し、認証制度の実施を担う都道府県に通知する。来年度から指針を踏まえた認証制度の普及を目指す。

介護職場では、昇給や昇格などの仕組みが明確でない事業所が多いことに加え、他産業と比べた賃金水準の低さや長時間労働のイメージが根強く、人材の定着や育成が課題となっている。

認証制度ではこうした声を踏まえ、「明確な給与・昇給体系の導入」「休暇取得や育児・介護との両立支援」「研修や資格取得支援などの人材育成」といった評価項目を設定。どの程度満たしているかを各都道府県が審査する。

審査をパスすれば、「認証事業所」として、ホームページなどで公表する仕組みを検討している。審査は民間の各事業所が申請する。

若者らが就職先を考える際の参考にしてもらうほか、各事業所には、「選ばれる」ための職場改善を促すことで、現在働いている職員の離職防止にもつなげるねらいがある。職員の定着率の高い事業所が増えれば、より質の高いサービスを利用者が受けられる期待もある。

【引用・出典】読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/national/20181015-OYT1T50069.html

期待が膨らむ?

この制度でメリットを得られるであろう対象者は

・若者等の求職者

・現に介護現場で働いている職員

・質の高いサービスを受けたいと考えている利用者

ということのようです。

開始時期に関しては

「今年度中にガイドライン(指針)を策定し各都道府県に通知」

「来年度中から指針を踏まえた普及を目指す」

とのことになります。

評価する項目は

「明確な給与・昇給体系の導入」

「休暇取得や育児・介護との両立支援」

「研修や資格取得支援などの人材育成」

と書いてあります。

もちろん、今後もっと内容を精査し検討し擦り合わせを行っていくのでしょうが、現に現場で働いている私たちにとっても「期待が膨らむガイドライン」のように見えます。

しかし、私は妙な胸騒ぎと違和感を覚えたので、そのことについて書きたいと思います。

建て前ばかりの介護業界

今までこうした「現場を良くしよう」「明確なガイドラインを策定しよう」「事業所を評価しよう」という取り組みや政策は幾度となく行われてきました。

例えば

・介護サービス情報の公表制度

・第三者評価

・実地指導や監査(立ち入り調査)

・ユニットリーダーの配置

・介護職員処遇改善加算(手当)

などになります。

立ち入り調査や監査などは確かに行政処分の対象になるかを調査したり、不適切な運営を是正する目的がありますが、それは結局「不適切な運営が行われた後に誰かが通報したり苦情を申し立てた場合」や「重大な事故や虐待などが発覚した場合」になります。

したがって、「より良くするもの」ではなく、「もの凄くマイナス状態にある事業所をプラスマイナスゼロの状態に戻したり、指定の取り消しや介護報酬返還等の行政処分をするもの」になります。

行政処分を受けてしまう事業所は時々見掛けますが、定期的に実施されている実地指導では「大体の事業所は書類を整備しておくことですり抜け可能」という点で建て前感が強いように感じます。

実際は他職種にも均等にばら撒かれ満額介護職員の手元まで届かなかったり、明細に明記する義務がないために支給されているのかされていないのか確かめようがない「介護職員処遇改善手当」や、切った張ったでとりあえず据えて置かなくてはならない「ユニットリーダー」だったり、どれを取っても「建て前感が強い」ものになります。

結局、どれを取っても現場の改善にはならず、人員不足を解消することも出来ていないのが現状となります。

建て前にしないために

私が感じる胸騒ぎや違和感は

「結局、認証制度も建て前だけで、何も変わらないのではないだろうか」

「今までのガイドラインや政策を見直したり改善することが先決ではないだろうか」

ということになります。

評価項目のひとつである「明確な給与・昇給体系の導入」については、斬新でありがたいように見えますが、事実、私の事業所には既にある程度のものは存在しています。

・一般職員なら〇等級

・副主任(介護リーダー)級なら〇等級

・主任級なら〇等級

・係長級なら〇等級

・課長級なら〇等級

・管理者、施設長級なら〇等級

というものです。

等級によって昇給率が変わってきます。

しかし、そんな等級をつけられても、一番問題なのは

「どうやったら昇格(出世)できるのか」

「無資格者でも介護リーダーや係長になっているのは何故なのか(私の事業所のことですが)」

「もっと高い水準の給料を貰おうと思ったらどうすればいいのか」

ということになります。

その部分を明確に規定しないと「結局は今までと一緒」という事になりかねません。

いくら知識や経験を積み、資格を取得しても、明確な基準や規定が無いと「ただの建て前の指針」であり何も変わらないのではないでしょうか。

何も変わらない以上、求職者や現場職員や利用者にとってもメリットが特になく、人手不足を解消することもできません。

もっと言えば、介護職員が辞めていく理由で一番大きい割合を占めるのは「人間関係」になります。

「人間関係や上司の人間性についても評価していく項目」を追加して欲しいと思います。

今までのような建て前指針にしないためにも、もっと具体的で有効性の高い評価項目を検討し盛り込んで頂きたい次第です。

また、やったらやりっぱなしではなく、今までの建て前指針の見直しや改善も並行して行っていって貰う必要があります。

まとめ

良かれと思ったガイドラインをどんどん検討していってくれるのはありがたいことなのですが、的外れだったり建て前感の強いものが多いように感じます。

まだ実施されていませんが「勤続10年以上の介護福祉士に月8万円」という政策も然りです。

『介護士に月8万円支給することで改善』 という見出しが躍った。 介護士も月8万円“改善” 教育無償化など政府案 政府は...

本当に介護現場の環境を改善したいと思うのなら、もっと現場の声を拾い上げ、政策やガイドラインに反映させていくことが一番近道なのではないでしょうか。

期待しています。

コメント

  1. アングラー より:

    あぁ、新しい天下り先の確保ですね、役人の。介護事業所の情報をインターネットで公開してるのも利便性は特になく、天下り先が確保されただけだし。
    本当にお金を回すべき所に使わないから介護はいつまでも駄目なんですよね…

    • 山嵐 より:

      >アングラーさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      なるほど、そういう目的が隠されていたのですね。
      いつまで経っても…うさん臭い業界ですね。

  2. ダメ人間 より:

    こんばんは。

    この記事を読んだ時、自分もアングラーさんと似た感じで「既得権益の確保?」と思いました。
    別に福祉だけではなく、この国は幅広く色々な団体がありますよ。調べると面白い業界団体があったりしますww
    ちなみに自分がお役人だったら、ちゃんと天下り先を確報する方向に仕向けます。
    ただし単なるおまとめ団体じゃなくて、認可やら資格を絡めて権益をしっかりと確保しないと何の旨みがないですし、尻持ち議員とか絡める事が出来たら、とっても良い形じゃないですかね。

    もしかしたらご存じかと思いますが、認定絡みのネタで医療・福祉なら例えば、子育てにやさしい企業を認定する「くるみん認定」があります。
    人間関係は良かったですが労働環境さえ良ければまた介護職として戻りたいと思える、サビ残山盛りで過労死ラインを越えて勤務してた社福は同族で、同じグループで病院があるのですが、そこはくるみん認定を取ってます。
    でも所詮は社福の同族が経営しており内情はボロボロで、「何処が子育てに優しいんだがww」と思える状態ですし、色々な職種の求人が相変わらず出てます。

    認定・認証絡みは上辺さえ整えれば取れるから、モンドセレクション程度の威力なんじゃないですかねww

    • 山嵐 より:

      >ダメ人間さん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      結局は既得権益とか天下り先の確保なんでしょうかね。
      今更ながら絶望感を感じてしまいますね。

      「くるみん認定」は存じ上げませんでした。
      内情はボロボロで上辺だけという点で今回の胸騒ぎが当たってしまうかもしれませんね。

      モンドセレクション程度…面白かったですが、笑うに笑えない状態ですね。

      • デイちゃん より:

        横からすいません。くるみんと聞いて黙っていられなくて。(笑)

        くるみん認定、私が昔働いてた超ブラックファミレス「ジョイ〇ル」もとってますよ。社長が穴見くるみって言うので、くるみんって言うのかと思ってたんですよ。(笑)
        ふざけたゆるキャラ作りやがってって思って。したら認定だった。(笑)
        ちなみに、くるみさんのご主人は、肺がん患者に「いいかげんにしろ!」と怒鳴って問題になった衆議院議員の穴見陽一さんです。

        ジョイフ〇って、72時間労働とかもう本当にすごくて。店長は勤務もつけないで働いてましたね。朝9時から24時までの勤務は普通みたいな感じで。休みなんか当然ないし。退職時に有給使ったら有給は全く入れられてなかったです。
        私の回りでも、心筋梗塞や脳出血、胃がんなどで何人も社員さんが死にました。
        飲食業って本当にブラックですね。
        そう考えると、介護ってまだマシかも。

        • 山嵐 より:

          >デイちゃんさん

          こんにちは~
          コメントありがとうございます^^

          介護業界に進出したことがある某居酒屋チェーン店もブラックで有名でしたね。
          ブラックな飲食店で働いている人たちが、介護職員に転職してくれたら人員不足も少しは改善されるのかもしれませんが、そう簡単にはいきませんね。