【レスパイト・ケア】家族介護より重い負担を介護職員に強いていては意味がない

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「レスパイト・ケア」という言葉があります。

レスパイト・ケアとは、在宅で乳幼児障害者(児)、高齢者などを介護(育児)している家族に、支援者が介護(育児)を一時的に代替してリフレッシュしてもらうこと。また、そのようなサービスのこと。

元々は欧米で生まれた考え方である。日本では、1976年昭和51年)の「心身障害児(者)短期入所事業」(ショートステイ)が始まりである。

【引用元】ウィキペディア

要は、家庭で介護をしている家族が、休息したりリフレッシュする目的で介護サービスを利用し、介護事業所へ利用者を預けたり入所させて介護負担や介護疲れを軽減させよう、ということです。

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「レスパイト・ケア」の実情

私は短期入所生活介護事業所(ショートステイ)に勤務しているので、レスパイト目的での利用によく遭遇します。

もちろん、在宅生活を継続するためには大切なレスパイトだとは思いますが、理想と現実とは違っており、家族の休息の為に現場の介護職員は大きな負担を感じているのが現状です。

そういう状況だと、「あっちを立てればこっちが立たず」「あっちを助ける為にこっちを犠牲にする」という負担の押し付け合いであったり、負担のロシアンルーレットでしかないのです。

家族介護での負担とは

家族介護には様々な負担があり、家族の介護をすることによって会社を退職しなければならなくなる「介護離職」も大きな社会問題となっています。

①身体的な負担

毎日、24時間365日家族の介護をすることは熾烈を極めます。

夜間にトイレへ連れて行ったりオムツを替えたり、時には昼夜逆転で家族が寝る暇もない場合もあります。

こういう状況が続くと身体的な負担は計り知れません。

②精神的な負担

身体的な負担とともに、精神的な負担も大きくなっていきます。

何度も同じことを言う被介護者の相手をしたり、近所に迷惑が掛からないよう配慮したり、気を揉んだりします。

寝たきりの状態であっても、「孤独感」や「孤立感」や「不自由感」が大きくなっていき、精神的な負担は計り知れません。

③経済的な負担

オムツや防水シーツや介護用品の購入にお金が掛かります。

補助金や介護保険が適用されたとしても、在宅介護をしていない家庭よりも出費が大きくなります。

被介護者の介護の為に、会社を辞める必要があれば(介護離職)、収入も途絶えてしまい、経済的な負担は計り知れません。

介護負担の軽減のために

上記のような家族の介護負担を軽減する為に、介護サービスが存在します。

・訪問介護(ホームヘルプサービス)

・通所介護(デイサービス)

・短期入所生活介護(ショートステイ)

などを利用して介護負担の軽減を図ります(レスパイト・ケア)。

ここまでは、何も間違っていませんし、適切な介護サービスを利用していくことが重要だと思います。

しかし、問題は介護サービスを請け負う現場のプロであるはずの介護職員に大きな負担がのしかかっていることです。

現場の過酷な状況

介護事業所や介護職員は「プロ」なのですから、被介護者を預ければ安全・安心なはずです。

しかし、本当の社会問題は「介護離職」よりも「介護職員離職」にあるのです。

現場の過重労働により、介護職員がどんどん辞めていき、常に人員不足の状況です。

人員不足では、本来可能であるサービスや満足なケアも行うことができません。

ですから、そこに安全・安心は無いのです。

現場の介護職員の問題は家族介護よりも深刻です。

①身体的な負担

少ない職員で多数の利用者を相手にし、夜間は一人の職員で約20名の利用者の介護をしています。

夜間だけで言えば、「家庭の約20倍の負担」がのしかかっています。

こういう状況が続くと現場の身体的な負担は計り知れません。

②精神的な負担

一人で20名の利用者の介護をするだけで精神的に参ってしまいますが、そこは「プロ」として不可解な人員配置基準に則ってなんとかこなしています。

十人十色どころか二十人いるわけですから色々な利用者がいます。

コールを頻発する利用者や昼夜逆転の徘徊利用者や暴言・暴力がある利用者や不潔行為をする利用者など様々です。

正直「仕事じゃなかったら逃げ出したい」というのが本音です。

しかし、職責を全うするために介護職員は今日も耐えています。

そういった現場職員の精神的な負担は計り知れません。

③経済的な負担

仕事なのですから、「お金を支払う」ということはありませんが、やっている業務に対しての対価には不満を感じてしまいます。

「お金を貰っている以上、プロ」という考え方はわかりますが、「プロと言われる専門職の手取りが20万円前後」というのも如何なものでしょうか。

残念ながら介護職員も人間ですから、自分が行った業務に対しての対価が著しく低いと感じた時は「業務の質と量を対価に合わせる」か「絶望して辞めていく(介護職員離職)」かのどちらかになってしまいます。

対価以上の能力を発揮したところで、評価されることもありませんし、収入が増えることもありません。

正当な対価が伴わない介護業務の負担は計り知れません。

④人間関係の負担

利用者とだけ向き合っていれば良いわけではなく、事業所には同僚もいれば上司もいれば他職種もいます。

その人間関係で悩まされることが往々にしてあります。

自分は頑張ろうと思っていても、サボっている同僚がいれば業務負担は大きくなりますし、上司からは常に自己犠牲を強いられます。

他職種からも責任を押し付けられがちな現場最前線の介護職員は身も心も人間関係に疲弊してしまい、その負担は計り知れません。

まとめ

現状での最たる問題点は「介護現場」にあります。

レスパイトで家族の介護負担を軽減する方法はあっても、介護職員の負担を軽減する方法がありません。

「外国人介護士」や「ボランティア」の投入や、「ノーリフティングケア」の導入など、徐々には進んでいるのでしょうが、どこか的外れなものも多く、進捗状況も牛歩のように遅いです。

いつまでも介護職員の自己犠牲にばかり頼っているから、事故や事件が多発しているのです。

「冷や飯を食うぐらいの覚悟を持って戦って当たり前だ。そういう覚悟のない人に、日本のかじ取りを任せるわけにはいかない」

と訴えた政治家もいるようですが

「日本国民である介護職員は覚悟どころか既に冷や飯を食っています」

ということを知って頂きたいと思います。

コメント

  1. アングラー より:

    介護職員離職を防がなければ、介護離職対策をしてもなんの意味も無いのにお役人は全く分かってないですね。綺麗事の研修には一生懸命だけど、仕事の質は評価されないシステムは放置してる。介護職員の良心に漬け込む、どこまでも図々しい人たち。

    • 山嵐 より:

      >アングラーさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      そうなんですよね。
      現場介護職員の処遇改善やレスパイトをもっと考えていかないと、世間や家族介護の介護離職やレスパイトは成立しません。
      介護職員の質の向上は望むけれどそれ相応の対価には言及せず評価もされない。
      どこまでも図々しいの一言ですね。

  2. とも より:

    こんにちは
    家族の負担を減らすための公的な介護サービスという考え方は分かりますし、なければならないものだと思います。
    私が考えるに、介護職員への待遇が一番てこ入れしなければいけないとこだと思いますが、偉い人には分からんのでしょうね。
    不祥事起こしても、自らは辞めない議員どもみてると「誰もお前に最後まで勤めあげるの期待してないよ」という感じです。
    順調に年収があがって、40代で500万越えてたらまだ許せるかな笑

    • 山嵐 より:

      >ともさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      おっしゃる通り、介護職員の待遇・処遇のテコ入れが急務です。
      夜勤手当込みなら40代で600万円は欲しいですね。