「それは言っちゃダメだってば!」個人情報保護法と守秘義務と錆びた介護福祉士

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ショートステイに勤務していると特に気を遣うのが「個人情報の取り扱いや守秘義務」です(もちろん他の事業所形態でもそうでしょうが、私の場合です)。

勤務外や家庭や飲み会の席で利用者のことを赤裸々に喋ってしまうと「個人情報保護違反」「守秘義務違反」ということになりかねません。

「個人情報の保護に関する法律」と「社会福祉士及び介護福祉士法」という法律によって「みだり(濫り)に利用者(本人)の同意が無いまま第三者に話すことはもちろん、文書にして伝えるなどの行為は禁じられています。

両方とも罰則があり、最悪の場合は懲役刑や罰金刑が待っています。

ですから、そういうことはご法度として避けなければならないのですが、ショートステイなどの居宅(在宅)系の介護サービスの場合、勤務内でもそういうリスクが大きいと言えます。

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何故、居宅系はリスクが大きいのか

特養や老健などの施設系の介護サービスよりショートステイやデイサービスなどの居宅系の介護サービスの方が個人情報の取り扱いに関してリスクが高い理由が2つあります。

①認知症者の割合が少ない

居宅系の利用者でも認知症者は多数いますが、やはり施設系に比べればその割合は少ないと言えます。

つまり居宅系には「クリア」な利用者が多いのです。

クリアな利用者は、職員一人ひとりの名前や職員が言ったことを覚えていて、職員の行動もよく見ています。

職員同士の世間話や他利用者のことについての話題も密かに聞き耳を立てている可能性も大いにあるのです。

そういう何気ない場面の情報がクリアな利用者の耳に入ることで、いとも簡単に情報は漏洩してしまいます。

クリアな利用者の近くで会話をする時は注意が必要です。

②自宅や社会生活に戻っていく

居宅系の利用者は、ずっと24時間365日介護サービスを利用しているわけではありません(ロングショートステイという謎の利用法を除く)。

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居宅系の利用者は利用時間や期間が終われば自宅に帰ったり、社会生活の中へ戻っていくことになります。

そこで家族やご近所や親せきや友人や老人会や顔見知りの人と会うことで、職員から聞いた情報を言い伝えていきます。

職員が何気なく発したセリフや会話の内容が瞬く間に地域全体に広がってしまうこともあり得る話なのです。

特養などの施設系の場合は、余程のことが無い限り利用者が自宅に戻ったり社会活動に参加することはないので(それはそれで問題ですが、現状ではそうなります)、職員の何気ない会話の中の個人情報が利用者の口から漏洩するリスクは居宅系よりも低いと言えます。

施設系の利用者にも外出や外泊がありますが、利用者が認知症だったり、クリアであっても自宅に戻れた喜びの方が大きいので、過去の職員の会話など話題に上らないのです(絶対ではありませんが)。

利用者から質問されてもはぐらかす

ショートステイは特養の入所待ちでスケープゴートに使われやすい事業所形態です。

先程触れた「ロングショートステイ」という利用法で特養の入所待ちをするわけですが、入所が決まると当然ショートステイを退所していきます。

そうすると、他のクリアな利用者から

「〇〇さん、最近見ないけど、どうなったの?」

という質問を受けたりします。

普通の日常会話なら

「ああ、〇〇さんは特養の入所が決まって特養で生活されていますよ」

という返答をしたい所ですが、それを言ってしまったら「個人情報の漏洩」「守秘義務違反」になりかねません。

ですから、介護職員としては「本当のことを言ってはいけない」のです。

だからと言って、嘘をつくわけにもいきません。

結局は

「さぁ、私はわからないんですよ~」

「どうなったんでしょうね~」

「〇〇さんがいなくて寂しいですね~」

などとはぐらかすことくらいしかできません。

それは守秘義務でもあり自己防衛でもあるのです。

錆びてきた介護福祉士

介護福祉士資格は国家資格なので更新制度がありません。

年齢がいくつになっても介護福祉士は介護福祉士のままです。

しかし、その介護福祉士も年々高齢化しています。

今後、一種の「老害」と化してしまった介護福祉士が多数発生してもおかしくはないのです。

65歳の介護福祉士、75歳の介護福祉士、80歳の介護福祉士が存在するようになってくるでしょう。

そして、万年人員不足の介護業界はそういう人材でも喜んで従事させます。

「一億総活躍社会」は良いのですが、加齢とともに色々錆びてくるのが人間です。

同じように「守秘義務」を課せられている医師や弁護士などは、錆びてくれば顧客が判断し避けることができるのですが、人材不足で高齢の職員でも喜んで使っている介護業界においては、錆びた介護福祉士は避けることができない存在になります。

つまり、今後は介護福祉士の守秘義務は危ぶまれる状態になるのではないかと危惧しています。

もう始まっている「それ言っちゃダメだってば!」

私の事業所にも高齢の介護福祉士がいます。

クリアな利用者から「〇〇さん、最近見掛けないけどどうしてるの?」と聞かれ、普通に「ああ、〇〇さんは特養に入所してこの施設の二階で生活しているよ。もう家には帰れないんだって、可哀想だねぇ」なんてことを普通に言っている介護福祉士もいます。

「それ言っちゃダメですよ!」と苦言を呈しても「あら、そうなの?」「どうせわかることでしょ」と言って終わりです。

当然、上司に報告したところで変わりません(それが介護業界のスタンダードです)。

勤続年数が長く年齢とプライドが高いのに、明らかに錆びてきている介護福祉士に成す術はありません。

人員不足なので辞めさせることもできません。

今後、本当に怖いのは「錆びた介護福祉士と一緒に働くこと」なのかもしれません。

そして、やがて自分も錆びてしまう日が来るのでしょうが、「錆びても働かねば生活していけない時代が来ていることがもっと怖い」と言えます。

まとめ

守秘義務は、会社を辞めようが職業を変わろうが終生に渡って負う必要があるものです。

懲役や刑罰の対象となるような内容は「産業スパイ」や「著しい損害を与えるもの」になってくるのかもしれませんが、親告罪(告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪)になるので、損害を受けた人(又は家族)が本気を出せば前科がついてしまう可能性は十分にあります。

そこまでいかないにしても、苦情やクレームになる可能性が高いので細心の注意と配慮が必要です。

国家資格者である介護福祉士であれば、それくらいのことは理解しているのですが、介護業界の人員不足により、今後は「高齢化した錆びた介護福祉士」による情報漏洩や守秘義務違反のリスクについて警鐘を鳴らしておきたいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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コメント

  1. ダメ人間 より:

    こんばんは。

    個人情報を含め情報の取り扱い・守秘義務が煩い時代ですが、この業界は例えるなら習字を書く時に使用する半紙よりもモロい感じで、情報の扱いが酷いですね。
    自分の介護職は通所でしか経験がないので、山嵐さんが言っている事はよ~~く分りますよ。利用者は言い方を悪くすると、変な所でクリアな機能が残ってたりしますからね。
    山嵐さんが言う錆びてきた介護士以外にも、利用者の中にいそうな年齢のパート看護師も、同様の事をやらかします…。
    そういう方に限って(信頼関係を構築しているから言えるネタでもありますが)、利用者の名前を「~ちゃん」と呼んで外部からのお客が来ていたら、速攻で止めに入ったりしてましたが。

    あと山嵐さんは知ってると思いますが、以外な所で情報が洩れますよね。
    ・出来るだけ事業所が近くにある or 固まっている地域
    ・サイゼリ〇・ガス〇・ジョナサ〇など安価で食事が出来るファミレス
    そしてこの業界に従事している人は喫煙率が高いので、出来たら喫煙スペース か その近くに座り、そこそこの時間を過ごしていたら、確実にこの業界関係者が来る可能性があり、煙草を吸いながら利用者・事業所の情報をよく話しますからww

    昔にちょっとだけ保守管理の仕事に従事していて、外回りにて色々な場所でファミレスを利用していましたが、自分は喫煙者なので喫煙エリア食事をしていると、中には制服を着たままいい感じの確立にて、ギャッギャ話すオバサン軍団に会い情報を話していましたねー。
    この業界に入った後も一時期だけですが、友人と会う為に特定のファミレスで食事をする時があったんですけど、〇ントケ〇職員の方が事業所名・職員名・利用者名をバリバリ、話していましたっけwww

    • 山嵐 より:

      >ダメ人間さん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      クリアな利用者に対して職員の何気ない発言に尾びれ背びれがつくことが往々にしてありますね。
      正直、恐怖さえ感じます。

      「火の無いところに煙は立たぬ」で、確定的なことは言わないに越したことはないと思っています。

      介護業界の人は噂とか陰口とか他人の情報を語るのが好きな人が多いので、確かに居酒屋やファミレスでの会話には注意が必要ですね。
      私は…逆にプライベートでは仕事の話はしたくないですね。
      こういうブログも書いていますし、介護のことについて多くの時間を割いていますが、遊ぶときや旅行に行く時は一切仕事のことは忘れるようにしています。

      反面、介護職には愚痴を吐ける場所も必要なのではないかと思っています。

      ちなみに、医師や弁護士が患者や顧客のことを職場外のファミレスや居酒屋で話しているのは見たことも聞いたこともないですよね。
      これがどういうことなのか、考えてみるのも面白いかもしれませんね。

  2. ダメ人間 より:

    こんばんは。

    >クリアな利用者に対して職員の何気ない発言に、尾びれ背びれがつくことが往々
    山嵐さんが言いたい事…本当に分ります。
    「○さん(→職員)が言ってた」「○さんが言ってたと△さん(→利用者)から聞いた」とか、アホみたいに聞きましたから。

    >逆にプライベートでは仕事の話はしたくないです
    自分は山嵐さんと違ってonとoffの切り替えが出来ないタイプなので、それが出来るの凄い羨ましいです。
    特に新規レクのノルマ・行事絡みの時は該当しますが、プライベートでも仕事の事を考えてしまいますし、親友が興味本位で介護絡みのネタを聞かれたら(個人情報ネタは伏せて)話してます。

    >反面、介護職には愚痴を吐ける場所も必要
    どんな仕事でも従事している人は愚痴を吐き出したい事ってあると思うので、別に介護職だけではないかと。
    愚痴を言うな!という訳じゃなく、自分が昨日にコメントで書いた場所にてベラベラ話すとか、「言うにしても場所を弁えろ」って事じゃないですかね。
    不特定多数の人がいる場所で話すなんて、常識以前の問題だと思うんですけどね…。

    >医師や弁護士が患者や顧客の事を職場外のファミレスや居酒屋で話して
    自分が思うに上記2職種は頭がいい人がなれる職なんで、第3者がいる場所で話すとか考えもしないし、コンプライアンスを守っているんじゃないですかねww

    • 山嵐 より:

      >ダメ人間さん

      こんにちは~
      返信ありがとうございます^^

      私も、ブログ記事を書いている時や情報収集している時はプライベートでも介護のことを考えていると言えます。
      正直、それだけでお腹いっぱいになり、他の時間は介護のことを考えたくはありません(笑)
      介護や仕事や職場の話をプライベートですると、あまり良い気持ちがしない自分がいるのも事実です。

      どの職業の人でも愚痴を吐きたいのは間違いないと思います。
      介護の場合はこれまでに「奉仕」だとか「自己犠牲」を強いられてきたので、その反動で「場所をわきまえること」に無頓着になってしまったのではないかと邪推しております。
      パンパンに膨れ上がった風船に針を刺した状態なのではないでしょうか。
      もちろん、それが非常識な状態になってしまっているのも否めません。
      そしてコンプライアンスが欠如しているのも否定できません。

      だって業界全体でコンプライアンスが欠如しているんですもの。