「介護は単純労働ではない」介護福祉士会がひっそりと苦言

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一部のメディアで「介護は単純労働」という扱いで報道されたことがありました。

この報道がされたのは、2018年6月15日に閣議決定した「骨太方針(PDF)」についての報道の中で「介護、農業、宿泊、建設、造船」の5つを挙げて「単純労働」という言われ方をしたのがきっかけです。

ちなみに、骨太方針と介護の関係は、簡単に言うと「介護が新たな在留資格の対象となる」ということで、つまりは「外国人介護士」のことです。

世間一般の人は、この報道に違和感や不快感を感じなかったかもしれませんが、介護業界にいる人にとっては「単純労働」という言葉に引っ掛かってしまった人も多いのではないでしょうか。

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単純労働とは?

単純労働(たんじゅんろうどう、英語: manual labor)とは、知識をさほど要しない労働を指す。工場作業・荷役作業・建設作業などがこれに当たる。

【引用元】ウィキペディア

要は「知的ではない作業」「誰でもできる仕事」ということになります。

昔で言えば「低学歴者が就く仕事」でした。

介護福祉士会がひっそりと苦言

このメディアの報道に対して、介護福祉士会がホームページ上で「ひっそり」と苦言を呈していました。

2018/06/15(金)
この度、骨太方針2018(経済財政運営と改革の基本方針2018)の中で、新たな在留資格が創設される方針が示されたことについて

経済財政諮問会議において「骨太方針の原案」が示されてから、一部のメディアにおいて、介護等の「単純労働」が、新たな在留資格の対象とされるとの報道がありました。極めて残念な伝えられ方であると考えます。

まず、今回、閣議決定された骨太方針においては、新たに創設する在留資格について、介護職種がその対象とは明記されていないこととあわせて、「現行の専門的・技術的な外国人材の受入れ制度を拡充」「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とした新たな在留資格」と説明されていることを確認する必要があります。
これを踏まえれば、今般の新たに創設される在留資格の対象が「単純労働」ではないことは明らかであり、一部の報道に誤りがあると指摘せざるを得ません。

また、介護福祉士取得が要件とされている在留資格の「介護」が、専門的・技術的分野の在留資格に位置づいていることのほか、介護職が担う業務が、厚生労働省の「外国人介護人材受入れの在り方検討委員会中間まとめ(平成27年2月)」において、「介護は単なる作業ではなく、利用者の自立支援を実現するための思考過程に基づく行為である」と整理されていることを踏まえれば、「介護」を「単純労働」と表現することは妥当とはいえません。

メディア・報道関係者におかれては、私たちが、誇りを持ち、日々の介護サービスを通し、専門性をもって、介護福祉を必要とする国民の生活支援に携わっていることについて、十分にご理解いただきたいと考えています。

日本介護福祉士会としては、介護サービスを必要とする方々に対し、質の高い介護サービスを適切に提供できる社会を目指し、介護福祉士がその専門性をしっかり発揮することが出来るよう、より一層努めて参ります。

【引用元】公益社団法人 日本介護福祉士会ホームページ
http://www.jaccw.or.jp/home/index.php

介護従事者としては「激しく同意」します。

しかし、介護福祉士会の苦言にもどこか違和感を感じてしまったのも事実です。

その違和感の正体はあまりにも「ひっそり」としているからです。

ホームページ上の「お知らせ」に掲載するだけで、直接該当メディアに苦情を言ったわけでもなく、回答を求めたわけでもなく、訂正を求めたわけでもありません。

あくまでも、ホームページ上に声明を出しただけなので、該当メディアの目に触れるかさえも甚だ疑問です。

更には、その声明はトップページに固定されているものではなく、新たな「お知らせ」が追加されるたびに、どんどん埋もれていき、過去記事のようになってしまっています。

正直、私も探すのに苦労しました。

私の個人的な見解に過ぎませんが、介護福祉士会はもっと強気で介護従事者の地位と名誉を守るために戦っても良かったのではないでしょうか。

忖度(そんたく)してしまったのか

介護業界は「忖度(そんたく)」という言葉が大好きです。

介護福祉士会は該当メディアにも忖度してしまったのでしょうか。

しかしながら、確かに「介護の中には単純労働があるのも事実」です。

国は外国人だけでなくボランティアさえ投入してこようとしています。

国が「無償の奉仕者でもできるのが介護」と言っているのと変わらないわけですから、世間の人に「介護は単純労働」と受け止められても仕方がない状況です。

介護の仕事で単純労働と言えば

・掃除、清掃

・備品の準備や片づけ

・洗濯

・ベッドメイキング

・食事の盛り付けや配膳

などの「直接利用者の身体や心に触れない業務」になります。

その部分だけをとらまえれば、確かに単純労働です。

しかし、そういう作業は「介護助手や介護補助員」などの「Bクラス」程度のものになります。

【参考記事】

介護現場の人員不足に対する改善策として 『人員不足の事業所の対応を見れば「経営者の無能さ」がわかる』の記事で 【考えつく改善策】...

つまり、一部のメディアや世間の多くの人達の介護に対する認識は「専門性を持った介護職ではなく介護助手(Bランクまで)のこと」だという仮説が立てられます。

そうだとするならば、忖度している場合ではなく、もっと世間に広く「介護職の専門性について情報を発信していく必要がある」のではないでしょうか。

まとめ

「介護は単純労働」と言われれば、介護福祉士としては不快感を感じてしまう気持ちもわかります。

しかし実際には、介護業務の中に単純作業があるのも事実です。

そしてそれ以上に、単純作業とは言えない利用者との関わり合いやプロとしての対人援助や人間関係の構築や自立支援を実現させるための取り組みやモニタリング等の専門的な業務もあります。

それでも介護業務全てを単純労働と言われたり、社会的地位が低いままなのは、介護現場の排他的な環境や非常識な慣習やタブーが闇に包まれたままだからではないでしょうか。

要は、まだまだ介護現場の実情が世間に知られていないのです。

現場を知らない人が法律や法令やガイドラインを作っているのですから、尚更闇深いと言えます。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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コメント

  1. とも より:

    こんばんは
    いやあ、山嵐さん、的確ですね。
    介護の仕事の中には単純労働多いですもんね。しかしその単純な労働(利用者が汚した物の洗濯やそうじ、週一のシーツ交換、洗い物など)に時間を費やされるのも介護あるあるかと(笑)
    あとは、この間職場の人と話題になったのですが「10年目の介護福祉士と3年目の初任者研修(無資格や実務者研修含む)の人のどちらが利用者によいケアを提供できているか」が定かでないからかと思います。一部の有資格者が研究や修養を怠っているから、介護福祉士の格を貶めている=介護福祉士は大したことない=介護は誰でもできる=単純労働、となってしまうのかなと思います。

    • 山嵐 より:

      >ともさん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      なるほど、勤続年数や資格の有無でケアの質や違いの差を見分けるのは確かに難しいかもしれませんね。
      そういう個々の問題もあるでしょうね。

      頑張ってもあまり意味がないと気づくのもひとつの経験なんでしょうかね。

  2. ダメ人間 より:

    こんばんは。
    フジTVの某ドラマに関して、斜め上の意見書を出した日本介護福祉士会が、苦言を出したの知らなったです…。
    「また斜め上な意見を出したのか?」と思っていたら、普通の事で。

    山嵐さんが言う様に介護でも、「単純労働とも言える部分」と「専門性が求められる部分」がありますね。
    ただ今回のケースは伝える側が前者の部分で全体を括っているという事は、しょっぱなからその視点で見てると捉えてしまって、いいんじゃないですかね。
    個人的にEPA以外に技能実習にて介護が仲間入りした時点で、お国は介護職を単純労働と公に認めたと思ってます。

    職能団体だからそういう提言をしなくちゃいけないのは分りますけど、現実としてその様に見られてるのは事実な訳で、こういう変りもしない重箱の隅をつつく様な事をする暇あったら他に力を使った方がいいと思うし、そんな事ばかりしてるから(悪い意味で)相変わらずな職能団体って言われるんですよ…。

    自分は「貴方の仕事は単純労働www」と言われても、不快感はないですかね。
    こう言うと真っ向から否定する人がいますけど、実際に(自分も含めた)社会のゴミ的な人間が働けるのってそういう仕事しかないですし、現場職は人手不足が酷くて動物園状態の面白い状態なのって、紛れもない事実ですから。

    • 山嵐 より:

      >ダメ人間さん

      こんばんは~
      コメントありがとうございます^^

      介護福祉士会もよくわかりませんね。
      事実は事実、現状は現状で受け止めて、介護福祉士の処遇や待遇を改善していって欲しいですね。

      世間はやっぱり「介護は単純労働」というイメージが強いのかもしれませんね。

      単純労働と言われようと思われようと構いませんが、国が「単純労働ではない質の高い介護」を求めてくる矛盾がとても闇深いと思っています。
      それならハッキリと「単純労働」の烙印を押された方が働きやすいのではないでしょうか。
      生かさず殺さずの環境が垣間見えます。